« 偽りの古紙配合率 (2) | トップページ | 「万教帰一」の考え方 »

2008年1月31日

低炭素社会への決断は、今!

 私は通常、本欄で国際政治の話はしても、国内政治の話をしないことにしている。特定の政党に肩入れしたり、その逆に特定の政党を批判することは避けている。理由は、生長の家は政治活動をしないからだ。しかし、宗教や環境問題、戦争と平和の問題で重要なことは、政治がらみの話も書いてきた。理由は、生長の家が推進している人類光明化・国際平和信仰運動に影響があるからである。そのスタンスは、今後も守りたいと思う。だから、私がこれから書くことは、今年中に来るかもしれない解散・総選挙に際して、私がどこかの政党を応援するためだと考えないでほしい。そんなことよりも、私は民主政治のマイナス面を、本欄の読者の良識によっておぎなってほしいと考えながら、これを書いている。簡単に言えば、「政治家の言うことを額面通り受け取るな」ということだ。
 
 具体的には、3月末に期限の切れる揮発油税の暫定税率の問題である。ご存じのように、民主党は諸物価値上がりの中で、本来より高い税率を国民に課し続けることに反対し、暫定税率維持を盛り込んだ歳入関連法案の成立を阻止しようとした。一方、自民・公明の与党は、暫定税率を5月末まで延長するだけの目的に作られた“つなぎ法案”(または“ブリッジ法案”)を衆院に提出して、とりあえずの成立を図ろうとしていた。ポイントは、ガソリンなどの揮発油にかける税率を現状のままとするか、それとも下げるのかということだ。
 
 この動きに対し昨日、衆参両院議長の仲裁により“つなぎ法案”の国会提出が見送られた。その代わり、上記の歳入関連法案と来年度予算案について「年度内に一定の結論を得る」ことと、「税法について各党間で合意が得られれば修正する」ことの合意が与野党間で成立したというのである。この2つの条件はきわめて抽象的で、解釈の余地が大いにあるから、これによって国会審議がスムースに行くとは思えない。しかし、とりあえずは、「3月末までに揮発油税の税率を決める」ことは合意されたようである。
 
 長期政権を維持してきた自民党は、当然のことながら官界や業界とのパイプが太い。これに対し民主党などの野党は、どちらかというと“消費者寄り”である。今回の野党のツッパリは、“市民の足”に大きな影響を与えるガソリン代を下げることで、次の総選挙を有利に戦いたいとの意図が見えている。しかし、ガソリンの値下げは今回の与野党合意で実現が難しくなった。そこで野党は、揮発油税をもっぱら道路建設に使うという旧来の問題を国会で議論し、法案の修正につなげることで、政権担当能力を示したいとの考え方に傾いた、と推測される。私は、国会というものは、国民の生活に密接な諸問題について「議論する」のが本来の役割だから、これでいいと思う。
 
 問題は、衆参両院でネジレ現象がある国会で、与党の権益の場であった道路問題に関して与野党の合意が成立するかどうか、である。私はぜひ、成立させてほしいと思う。その際、各党の国会議員に忘れてほしくないことが1つある。それは、「世界は動いている」ということだ。オーストラリアの政権は交代した。アメリカも、共和党から民主党への政権交代がほぼ確実である。戦後の基軸通貨だったドルは凋落しつつあり、代りにユーロが台頭している。BRICs諸国の経済力が日本を凌駕する時期は、そう遠くない。そんな中で、地球温暖化が進行している。これを抑制することは、すべての国において第一位の優先課題としなければならない。このように、激しく「動いている」世界にきちんと対応した新しい政策を、政治家は打ち出してほしいのである。そして、その政策とは「低炭素社会の実現」だろう。日本が技術的にまだ優位にある今から始めれば、それは可能である。しかし遅れれば、米中欧に負けるだろう。
 
 そこで1つ提案なのだが、3月末までの国会では、道路特定財源の制度を廃止してほしいのである。これは、与党の権益をはがすことだから、与党にとっては“身を切られる思い”かもしれない。が、不要な道路工事が全国津々浦々で展開されていることを国民は皆、知っている。今後、高齢化がさらに進み、ガソリンが値上がりし続ける中で、自動車に乗る人の数と機会が減ることは、誰でもわかる。にもかかわらず、不要な道路が造り続けられるという状況を国民が許すはずがないのである。ここまでは、民主党の主張に似ているかもしれない。しかし、その先がある。それは、民主党はガソリンの値下げを唱えているが、これは温暖化抑制の目的に逆行している。そうではなく、揮発油税を一般財源化して、地球温暖化抑制の種々の対策に使うのがいい。そうすることで、自民党は「業界との癒着」という古来の悪いイメージを払拭でき、「環境対策に熱心」という民主党のオハコを奪える。一方、民主党は、もっと中身の濃い温暖化対策の構築によって、与党との差別化を図る必要に迫られる。
 
 以上は、政治の素人である私の提案だから、笑って聞き流してくれていい。
 
 谷口 雅宣

|

« 偽りの古紙配合率 (2) | トップページ | 「万教帰一」の考え方 »

コメント

ありがとうございます。

揮発油税を一般財源化して、地球温暖化抑制の種々の対策に使うのがいい。

ガソリンが値下げされれば大助かりですが、
そうは言っておられないと思います。
先生のお考えに大賛成です。

投稿: 太田高明 | 2008年1月31日 17:44

副総裁先生

ありがとうございます。
《以上は、政治の素人である私の提案だから、笑って聞き流してくれていい》

私も政治は素人ですが副総裁先生のお考えの通りだと共鳴します。いつか、ガソリン税が環境税に変わればと言うような主旨のコメントをさせて頂きましたが、時代の移り変わりは激しく動いているようです。

あの、社民党が一番最もらしいことを唱えていることに驚きました。

これから人口も減っていく日本に新しい道路は要らないと思いますし、どっかの知事が「道路が出来なきゃオリンピックができない」と息巻いておりましたが、オリンピックも必要ないですし、本当に必要なことに税金を使ってもらいたいと思います。

ところで、副総裁先生は
《私は民主政治のマイナス面を、本欄の読者の良識によっておぎなってほしい》
とのことですが、教えていただきたいと思います。
民主主義も制度疲労がきているのでしょうか?
それとも最初から欠陥があったのでしょうか?

投稿: 佐藤克男 | 2008年1月31日 17:48

民主党の主張はねじれを利用して早期解散に追い込むのが目的の様に感じられます、政権を獲る事に固執せず、デタラメな政治をされない様に監視して欲しい、ガソリンは下げなくても良いのです、ただその財源の使い方を議論して欲しい、代替エコエネルギーの開発や再生医療、福祉、教育、所得格差の是正等々幾らでもあります、元教師の新国会議員が「今の国会は学級崩壊している様だ!」といみじくも嘆いておられましたが政治屋ばかりで政治家が少ない様に思われます、度素人の私は良識の府と言われる参議院は選挙の時から衆議院と違って人物本位、全員所属政党無し、個々人が自由に判断して採決してはどうか?と思ってしまいます、足を引っ張るのが仕事の様で立派な人達が情けない!国際協調をしながら国民の生命と財産を守り、若者が希望を持って生きていける国造りと言う本来の公務である仕事に戻って働いて欲しいと切に願っています。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月31日 18:58

合掌ありがとうございます。

温暖化対策の政策論議。ぜひ見てみたいものです。

巷では炭水化物をあまりとらない、
ローカーボダイエットというのが流行っているようですが、
低炭素社会を国会で議論することは、
まさにローカーボ ダイエットですね。

投稿: 古谷伸 | 2008年1月31日 19:09

先生の素晴らしいご提案に大賛成です。
 今日本の「低炭素社会」へ向けての取り組みは、ヨーロッパ諸国から非難されるほど遅れています。洞爺湖サミットを目前にして今政財界を上げて取り組むべき時期であると思います。
 全国の知事会が道路工事の必要性を訴えて、自民党と共同歩調を取りつつあるかのように見えますが、私には現在取り組まれている道路建設がどれほど必要性のあるものかよくわかりません。一部は緊急必要なものもあることでしょう。でも大半は先生の言われるように、絶対に必要なものとは思えません。

 また、民主党も支持者が増えて自民党と勢力が拮抗してきた現在、内容的・思想的にも成長を遂げて、政権交代の可能性を持つ政党になってほしいと思います。ガソリン代の値下げだけで国民に支持されるというのは日本と世界の将来を考えない浅い見解であると思います。

投稿: 加藤 忠司 | 2008年2月 1日 11:45

佐藤さん、

>>民主主義も制度疲労がきているのでしょうか?
それとも最初から欠陥があったのでしょうか?<<

 どんな制度も、この世の制度である限り完全ではありえないと思います。政治家は選挙民の利益のために選ばれ、政策をつくります。しかし、問題は、この“選挙民の利益”とは何かということが、合意できないことです。そこで結局、身近で、目や耳に訴え、肌で感じられるようなことが利益だとして、余分な駅をつくったり、道路を通したり、橋を架けたり、収入が増えることの方を“利益”と考えるわけです。この方が、分かりやすいからです。
 「道路を通すよりも、自然の生態系を守る方がいい」という良識を、選挙民の意思として知らしめれば、政治家もそういう政策を真面目に考える、と私は期待しているのですが……。

投稿: 谷口 | 2008年2月 1日 12:52

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 偽りの古紙配合率 (2) | トップページ | 「万教帰一」の考え方 »