« ネコリョーシカ | トップページ | 東京に雪 »

2008年1月22日

生長の家が排出権取得へ (2)

 このほど生長の家は“炭素ゼロ”運動の一環として温室効果ガスの排出権取得の決定をした。このことは、すでに1月10日の本欄で報告ずみだが、そのときは教団の側から見た今回の決定の意味を説明した。が、今日(22日)付の『日本経済新聞』には、排出権取引を仲介する商社の側から見た記事が載っている。双方の記事を読むと、この複雑な制度の全貌がより明確になると思う。後者の記事のリード文を引用する--
 
「三菱商事は温暖化ガス排出権を数千トンの小口単位で提供する新サービスを始める。23日から東京海上日動火災保険、サンリオや電機メーカーを含む6団体向けに計5万トンの排出権を、三菱UFJ信託銀行の信託の仕組みを利用して譲渡する。排出権は電力や鉄鋼など二酸化炭素(CO2)の大量排出事業者が数十万トン単位で取得するケースが大半。企業の業務負担を軽減することで、自主的な排出量削減や企業の社会的責任(CSR)などを目的とした、すそ野需要を取り込む」
 
 ここには企業名が2つ出てくるが、その他は「電機メーカーを含む」いくつかの「団体」だと書いてある。この「団体」の中に、生長の家が含まれていることは記事からは分からない。この記事によると、東京海上日動火災はCO2換算で「1万トン分」を購入し、サンリオは「5千トン前後」を購入するという。生長の家の購入は「5千トン分」であるから、量としては決して小さくない。それなのに、団体名の表記が避けられている。『日経』は恐らく、宗教団体がこの中に含まれることを意識的に伏せたのだろう。宗教に対する偏見の大きさを改めて感じ、残念に思う。

 さて、同じ『日経』には、フロンガスの一種であるハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の全廃が10年前倒しで決まったことが書いてある。昨年9月に行われたモントリオール議定書締約国会議で、HCFCの全廃の時期を2040年から2030年に早めることで合意されたからだ。その結果、このガスを製造する際に出るハイドロフルオロカーボン(HFC)という別のフロンガスの排出も減ることになる。地球温暖化抑制の立場からは、大変心強いことである。なぜなら、HCFCは二酸化炭素の約1500倍、HFCは1300倍以上の温室効果があると言われているからだ。

 しかし、『日経』の記事のポイントはそこにあるのではない。温室効果の大きいフロンガスの排出が少なくなると、今後は排出権の発生が大幅に減る--という点に注目しているのである。分かりにくい話かもしれないが、この「排出権」という考え方の弱点を示しているようで、興味深い。問題は、これまで京都議定書のもと、日本政府が国連のCDMの枠内で承認した大規模事業の上位10位の中で、HFCの削減に関連した事業が6件もあることだ。つまり、日本はこれまで、CO2の千倍以上の温室効果をもつフロンガスを排出させない事業を主体にして、京都議定書の目標達成を図ってきた。

 ところが、別の国際条約でこのフロンガスの排出が禁止された(権利がなくなった)ので、これを排出する権利(排出権)もやがてなくなることになる。その時期は2030年だから、今から20年以上あとだ。しかし、この間に代替品が開発され、使われるようになるだろうから、実際上は、HFCの排出量は先細りになると予想される。すると、HFC削減のプロジェクトは急減する。企業はこれを獲得できない場合、HFC削減事業なら1件で得られる排出権を、CO2だと千件以上集めなければ得られないことになる。だから、この記事には、昨年9月の合意以降、「企業の政府へのCDMの承認申請は、省エネによるCO2削減事業やメタン回収事業などが増えている」と書いている。
 
 今回、生長の家が獲得する排出権は、韓国でのHFC削減事業から生じたものだ。そういう意味では、よいタイミングでの決定になったと言える。なお、今回の排出権に関しては、1月4日付の『日経BP』の記事も参考になる。
 
 谷口 雅宣

|

« ネコリョーシカ | トップページ | 東京に雪 »

コメント

副総裁先生

ありがとうございます。
生長の家が排出権を、それも5千トンも取得されたことを嬉しく思います。
また、自分が信仰している団体がこのように環境問題に対応していることに更なる誇りを感じます。
心より感謝申し上げます。

合掌

投稿: 佐藤克男 | 2008年1月22日 22:44

 生長の家が京都議定書の削減義務に貢献する排出権を購入されたことをうれしく感謝いたします。すばらしい決断であると思います。

 ところで、私はある方から昨年COJという中間法人が出来て京都議定書の削減義務に貢献出来る排出権を個人的にも購入出来るということを知りました。

 そのサイトで調べてみますと、例えば私の家で1年分のCO2が約2,500キロで、1万2千円ほどで購入出来ることがわかりました。ぜひ参加したいと思いましたが、その資金の活用方法が現在のところよくわからないのです。

 そこで思ったのですが、生長の家がわれわれ個人の希望を叶えられるような組織というか、機関というかを指定して下されば、組織的に宣伝して多くの人々に参加してもらえるのではないかということです。
 本部が購入された排出権の一部をさらに個人で購入するという方法でもよいのですが、生長の家のメンバーが誇りと使命感をもって参加できる道を開いていただけたらすばらしいと思います。

 伝道を兼ねて全国的に活動すれば、相当なCO2削減量となり、地球温暖化の阻止に有効な手段になると思いますがいかがでしょうか。

  加藤 忠司拝

投稿: 加藤 忠司 | 2008年1月25日 11:28

加藤さんのコメントで(「COj」と言う中間法人が出来て)とありますが何者なんでしょう?この手のもの(キチンとした法人なら申し訳ありません)が横行し損害を蒙る善良な人々が出て来なければ良いのですが、、、この排出権と言うものを複雑化、金融商品に利用し暴利を貪ったり、素人には分かり難い複雑なものにして詐欺行為等々が出て来ない様に規制し、加藤さんの言われます様に信頼できる組織作り(例えばユニセフの様な)が必要だと考えます。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月26日 16:24

今朝ラジオを聞いていたら、面白いニュースがありました。
太陽光だけで、二酸化炭素を分解成功。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/01/post_3078.html

このセンターの研究者がラジオに電話出演してました。
もっと開発が進むといいですよねぇ。。。
(太陽炉一つ作るのに1000万かかるのが、難点とか。)

投稿: はぴ☆まり | 2008年1月29日 16:45

尾窪 勝磨 様

 コメントありがとうございます。
 COJと言いますのは、「有限責任中間法人日本カーボンオフセット」と言いまして、立派な法人です。詳しくはインターネットで検索してご覧になって下さい。URLは
https://www.co-j.jp/auth_mng.php?page=member/index.php&action=/index
です。私は間もなく転居しますのでまだ入会しておりませんが、会員となりいろいろと調べてみようと思っております。

 この法人で購入した排出権は、本部の場合と同じように
京都議定書のCO2削減成果に貢献出来るということで意義があると考えます。

> 今朝ラジオを聞いていたら、面白いニュースがありました。太陽光だけで、二酸化> 炭素を分解成功。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/01/post_3078.html

> このセンターの研究者がラジオに電話出演してました。
> もっと開発が進むといいですよねぇ。。。
> (太陽炉一つ作るのに1000万かかるのが、難点と > か。)
 
 すばらしいニュースですね。私の希望としては、このようなプロジェクトに我々の排出権で提供する資金が活用されることです。

投稿: 加藤 忠司 | 2008年1月30日 12:08

加藤様
情報有難う御座います、COjの仕組みについては理解出来ました、このCOJの獲得した排出権が完璧に国に無償で譲渡されれば素晴らしい組織だと思いますがこの様な組織を真似て正体不明なものが混じり込み乱立したり、排出権の転売で暴利を貪る組織の出現を危惧しています、温暖化防止に前向きで善良な多くの人々ががっかりする事の無い様にしっかり静観する必要があると思います。

投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月31日 11:14

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ネコリョーシカ | トップページ | 東京に雪 »