偽りの古紙配合率 (2)
1月18日の本欄でこの主題を扱ったとき、「現在、製紙会社に“真相”の説明を求めているが、現時点で分かっていることはそう多くない」と書いた。そして、生長の家の機関誌の本文用紙について「エコパルプ70%、古紙30%を使用」というのはメーカーである北越製紙のウソで、本当は「エコパルプ85%、古紙15%」だったことを報告した。また、「エコパルプ」という表現の意味についても解説し、これは再生紙ではなく、植林から得られたバージンパルプであることも述べた。問題は、機関誌よりも発行部数が圧倒的に多い普及誌だが、これについては「<現在のところ「偽装はない」というのが日本教文社の回答である>」と書いたのだった。
この普及誌の本文用紙について、このほど日本教文社から報告が届いた。結論は、普及誌には「本誌は環境負荷の少ない再生紙を使用しています」とだけ書いてあり、「再生紙を使用している」ことは事実なので、我々“消費者”向けには表示偽装はないという。しかし、出版社と製紙会社との間では古紙の配合率について数字を掲げた契約がある。こちらの方は、偽装があったという内容だ。
具体的に言おう。最も大量に使われる本文用紙は、普及誌専用に漉かれた「ヘンリーRM」(別名、教文用紙)という紙で、原紙を日本製紙が生産し、富士コーテッドペーパー株式会社が塗工・加工した後に日本教文社に供給されているという。ありがたいことに、こちらの方は古紙配合率は契約通りであるという。数字で示せば、「古紙30~40%、バージンパルプ70~60%」だそうだ。これに対し、北越製紙から供給されている表紙の紙は「ミューマットER」といい、当初の契約では古紙配合率は「15%」だったものが、実際の調査では「10%」であることが分かったという。北越製紙は、日本教文社宛に「この度、実際の古紙配合率が、定められた数字を下回っておりました。貴社の弊社に対する信頼を大きく損ない、多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と書いた「古紙配合率証明書」(1月24日付)を出している。
それでは、『生命の實相』などの書籍用紙はどうだろうか? 日本教文社によると、同社発行の書籍で再生紙を使用しているものは全部で15点、このうち古紙の配合率を数字で示した書籍は11点あるという。この11点については、すべて表示通りの配合率であったという。残りの4点は、普及誌と同様に「再生紙使用」とだけ表示されているので、消費者に対する配合率の偽装はない。ただし出版社に対する契約違反の問題は、現在調査中とか。私が同社から上梓させてもらっている単行本で、古紙配合率を明示したものは『神を演じる人々』(2003年)と『秘境』(2006年)の2点だ。表示は「本書の本文用紙は70%再生紙を使用しています」とある。胸をなで下ろしたしだいである。
谷口 雅宣
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
本当に「分かる」と言う事が「分からなかった」のですね!その為に会社の成長と繁栄以外の事に力を注がなくてはならない羽目になり、多大な迷惑をお得意様及び生活者に与えると言う結果を招いています、「赤信号皆で渡れば怖くない」と言う事にならない様に今回を肝に銘じ"神商"を心掛けて頂きたいと思います。
投稿: 尾窪勝磨 | 2008年1月31日 13:15