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2007年12月19日

サンタクロースは中国人?

 環境運動家として知られるレスター・ブラウン氏(Lester R. Brown)が主宰するアースポリシー研究所から18日付で送られてきたニュースレターの題は、「サンタクロースは中国人」だった。副題は「中国が浮上し、アメリカが沈下している理由」である。意表をつくタイトルなので思わず読んでみると、ブラウン氏がなかなか愛国者であることが分かった。彼は、アメリカの経済の現状を憂えて、「石油に頼った生活から早く足を洗い、元来アメリカの技術だった太陽光発電や風力発電の分野で世界をリードすべきだ」と訴えているのである。ニュースレターによると、実はこの文章は、1年前のニュースレターに載ったものという。だが、反響が大きかったのと、状況は1年前と基本的に変わっていないので、クリスマス前のこの時期に再びニュースレターに載せたという。

 ブラウン氏の論点をまとめれば、こうなる--今、アメリカ人が購入するクリスマス・プレゼントのほとんど70%は、中国製である。具体的には、バービー人形やビデオゲームなど玩具の80%、アイポッドやXボックスなどの電子機器も、カシミアのセーターや国内メーカーのトレーナーもほとんど中国製である。クリスマスツリーは、本物の木は国内産でも、プラスチック製の人造ツリーの8割は中国製である。このように、中国人はアメリカのクリスマスの“製造元”であるから、サンタクロースの役割を演じている。中国人は豊かになりつつあり、アメリカ人は貧しくなっている。その理由は、中国人が収入の40%を貯蓄しているのに対し、アメリカ人はクレジットカードで収入以上の買い物をどんどん行っているため、貿易赤字が急速に増大しているからだ。

 ブラウン氏は続けて言う--アメリカ人は、将来のために貯蓄をするという考え方を忘れ去り、流砂のような消費生活の中に埋没している。我々は子供たちに将来の明るい未来を残そうとするかわりに、歴史上かつてないほど巨大な借金を遺していこうとしているのだ。

 問題なのは、我々のクリスマスが中国で作られるということではなく、そういう状況に至らしめた我々の考え方だ。それは、「どうしても今ほしい」と願うことだ。「今消費して、代金はあとで子供に支払わせよう」とすることだ。「将来のために今は我慢する」という考え方がこの国から消え去ってしまった。だから国の政策でも、戦争で高い犠牲を払いながら減税をしている。増大する貿易赤字を抱えながら、高い石油を輸入しつづけている。今、この莫大な国の借金を肩代わりしているのは中国と日本だ。その中で、太陽光や風力など、もともとアメリカが考え出した再生可能エネルギーの開発努力をせず、社会保障制度が破綻し、高齢化が進んでいる。こんなことで世界を導き、世界への影響力を維持することなどできるはずがない。我々が直面しているのは、アメリカのクリスマスが中国で作られているという単純な問題では最早なく、かつて我々を偉大な国に育て上げたもの--世界が誉め、尊敬し、かつ見習おうとした規律と価値とを、我々が恢復できるかどうかということだ。

 クリスマスが近づくにつれて、日本の街は華やかさを増している。ブラウン氏のこの警告を読んで私の脳裏に浮かんできたのは、欧米のブランド・ショップが軒を連ねる銀座や原宿や渋谷の繁華街であり、そこを行く、ブランド物で“重武装”したような人々の姿である。アメリカ人に比べて、日本人の貯蓄率はまだまだ高いだろう。しかし、日本全体が、ブラウン氏が憂えるように、「今ほしいものを得て、ツケは子供に支払わせる」という、無責任な方向に走っているような気がするのである。無理、無駄、無目的、無思慮な買い物をしていないだろうか? 子の世代、孫の世代にツケが回るような生き方をしていないだろうか? 悩むアメリカの姿は、我々にも多くのことを教えているのである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

>かつて我々を偉大な国に育て上げたもの--世界が
>誉め、尊敬し、かつ見習おうとした規律と価値とを、
>我々が恢復できるかどうかということだ。

子供が小さい頃は四六時中母親と一緒にいましたし、親の影響を受けやすい心理状態でありましたが、長女と次女はすでに小学校の6年と5ねんですので、学校や友人の影響が大変大きいのです。そんな彼女たちに何が大切かということを教えることは、そのまま彼女たちの将来に影響することでもあります。必要でもよくよく考慮すると現在は購入すべきでない物もけっこうあります。一つの方法として、チャンスがありましたのでそれを生かして、彼女たちに一週間に一度一時間、小学校3年生と2年生の生徒に勉強を教えるいわゆる、チュータリングをしてもらっています。また、長女が所属する学校の合唱団の大会がフロリダであるのを参加を断りました。彼女はどうしても行きたいと泣くので、クリスマスプレゼント、誕生日のプレゼントをなしにして、お小遣いも貯めて、ファンドレージングもして、それで足りない分を親が出すことでフロリダ行きに同意しました。次女は、最近、学校で居残りをしてボランティアをしたり、もらったバス代ほどのお礼をアフリカに井戸を作る基金に寄付するために貯金しています。しかし、なによりもやはり大人の態度が一番大切ですから、私自身がもう一度、隅から隅まで、自身を振り返って見本となるような生活を実践したいと思います。

投稿: 川上 | 2007年12月20日 05:20

副総裁先生

合掌
全く、その通りです。
レスターブラウン博士がアメリカを憂いていることは
そっくり日本に当てはまります。
日本で作った優秀な太陽光発電システムや風力発電システムは日本で使われるより外国で80%も使われている。
国民が富に現(うつつ)を抜かしている間に教育は惨憺たる結果で毎年低下の一途をたどっている。

どれほどの価値があるかわからない欧州のブランド品を日本人が買い漁って、日本の優秀なハイテク技術が欧州に買い漁られているといっても過言じゃないような気がしております。
作った自動車で地球をCO2塗れにしている自動車製造会社が空前の利益をあげても、環境保全活動は「私もやっておりますよ」程度の見てくれだけです。

なにか、残念な気がします。

投稿: 佐藤克男 | 2007年12月20日 08:54

ブラウンさんの警告はありの儘の報告だとは思いますがパイオニアと称してインディアンを追い出して建国した多民族銃社会国家アメリカと4000年の歴史と称する中国、独自の神話の国日本とは文化、国民性、考え方として消費を美徳、貯蓄を美徳とするか個人、企業、国によってかなりの違いがある、只買い手のアメリカが無いと中国も日本も豊かにはなれない、アメリカのお陰で現在の日本の物質文明がある事も事実です、国際貿易は赤字、黒字を交互に繰り返しながら将来は(子孫のことを考えるか考えないかは個人、企業、国が考える事として)共にお互いが繁栄して行くものと思います、「どうしても今欲しい」とか「将来の為に今は我慢しない」「今消費して代金は子供に支払わせる」等々の考え方、アメリカ現国家が地球温暖化に消極的なのもこの辺に原因があるのかも知れません、地球温暖化に積極的なEUが軍事的な圧力を背景にしたアメリカを何処まで飲み込む事が可能か今後に期待しています、日本の規律と価値の??復は今の儘だと出来ないと思います、私は温故知新、つまり日本の古き良き伝統を学育偏重ではなく、心の教えを組み込んだものにして行く事が出来たならば??復は可能であると考えます。

投稿: 尾窪勝磨 | 2007年12月20日 12:39

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