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2007年11月 3日

都の環境税構想を歓迎する

 東京都が環境税の導入を検討するそうだ。11月2日の『日本経済新聞』が伝えている。私は、化石燃料の利用で生じる温室効果ガスが、地球環境に対して現実に「コスト」を生んでいるのだから、そのコストを利用者が支払う制度の導入はきわめて合理的だと思い、大いに歓迎する。石原都知事は東京五輪をブチ上げるなど「環境より経済優先」だと思っていたが、この点においては見直すべきかもしれない。ただし、五輪の東京開催があれば、環境税の効果が消えてしまう可能性はあるのである。

 『日経』の記事によると、都の環境税構想は、①炭素税、②電気・ガス税、③自動車税、④緑化税、の4段構えである。「炭素税」は、ガソリン1リットルにつき1.9円、軽油は同2.2円、灯油は同2.1円で、それぞれガソリンスタンドなどでの販売時に徴収される。「電気・ガス税」は、一定使用量以上の家庭から、1kWh当たり0.3円を徴収。「自動車税」は、自家用乗用車では現行の税額を5%増して徴収。「緑化税」は、個人の都民税として均等割になっている現行の1000円を1500円にし、法人都民税は5%増しにするという案である。これによって都は、上限で「890億円」の新たな税収を見込んでおり、これを一般家庭の省エネ補助、太陽エネルギー普及、緑化促進などに使う考えのようだ。ただし、4種の新税をすべて実施するのではなく、4案から「単独または複数案を組み合わせて2009年度以降の導入を目指す」としている。
 
 政府の環境税構想は産業界の強い反対に合って頓挫状態であるから、業界に弱い自民党政権下では実施は無理、と私は思っていた。が、国がやらなくても、地方公共団体レベルで実施が可能であれば、まだ希望がもてるかもしれない。上記のような分かりやすい税であれば、多くの都民も納得してくれると思うのだ。大体、都内のCO2排出量は、京都議定書の基準年である1990年と比較して、2005年で約7%増加している。これに対して、都は2020年までに2000年比で25%削減を目標としているらしいから、生ぬるい対策では目標達成はできまい。都は、今後予想される業界からの反対に負けないよう初心を貫いてほしいと思う。

 ところで同じ『日経』は、国民の環境意識の高まりが「じわりと増えている」例として、「カーボンオフセット」の仕組みが好評だとの記事を載せている。それによると例えば、JTB関東が10月に実施した「CO2ゼロ旅行」では、旅行代金1000円のうち400円を“グリーン電力”として支払うと銘打ったところ、募集人数の8割が参加するヒットとなったため、同社は今後も同様の企画を継続する考えという。また、環境志向の月刊誌『ソトコト』は9月に、年間購読料のうち約1000円をCO2排出削減事業などに寄付するとした新制度を導入したところ、9月の新規申し込みが前月の約1.5倍になったらしい。また、日本郵政は来年用の年賀状に、5円の寄付金を上乗せした「カーボンオフセット年賀」というのを新たに設け、1億枚を用意しているという。
 
 このような国民レベルの動きを見ていると、政府や業界レベルの環境意識の低さが際立ってくる。日本の電力10社の今年9月中間期の連結決算が出そろったが(1日『日経』)、それを見ると中部電力を除く9社が経常減益となっていて、原油価格の高騰や渇水による水力発電所の稼働率低下などが利益を圧迫したことがうかがえる。つまり、環境へのコストが現実に企業の収益を圧迫しているのだ。また、東京電力は、柏崎刈羽原子力発電所の停止が大きく作用し、来年3月期の決算で、28年ぶりに最終赤字を計上する予想だという。原油価格の高騰は、中東の政情不安の影響が大きく、今後の急速な改善は見込めない。かと言って、国民の支持が少ない原発への依存は、ますます困難となるだろう。だから、「環境税」の実施を突破口として、日本ではもっと国民の意識を汲み上げた政治が行われ、地球的要請に応える業界再編へと進まないか、と私は夢想するのである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

原油価格の高騰は中東情勢もさる事ながら海外のヘッジファンドに於ける株式市場から巨額な資金の移動でニュウヨークの先物原油価格を引き上げ、それが又オイルマネーとなつて産油国からの投資を生みガソリンの価格を引き上げると言う悪循環の状況を呈していると思いますが、考え方に依れば其れによって世界中の多くの人がガソリンを大事に使い、無闇に車を使用しない様になるから結果としては良いのではないか?それに依って莫大なガソリン税の増収分を環境保持にのみ使用して貰えば言う事は無いのですが政府に対して石原都知事は提言してくれるでしょうか?

投稿: 尾窪勝磨 | 2007年11月 3日 13:22

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