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2007年11月 9日

『日時計主義とは何か?』について

Sundialismm  『日時計主義とは何か?』という単行本の色校正が終わった。今月下旬の生長の家の秋季大祭を期して発行される拙著だが、実物はまだできていない。しかし、生長の家の講習会のテキストとする予定なので、色校正の用紙と束見本を使って実物に似せたサンプル(=写真)を作った。並製の新書判の本で、表紙カバーの白が目立つ仕上がりになっている。カバーに使われている絵は、私が今年、生長の家教修会のためにニューヨークに行ったさい、ホテルから本部事務所宛に出した「絵封筒」である。また、この本の中には、本ブログに登録されている「わが町--原宿・青山」のスケッチ画が一部、カットとして使われている。

「絵封筒」とは封筒に絵を描いたもののことで、これをもらうと胸がワクワクする(はずである)。その由来は、6月8日の本欄で詳しく紹介したが、フランス在住の絵本作家、デビッド・マッキー氏(David McKee)が元祖で、彼は当初、絵手紙を封筒に入れてロンドンの出版社に送っていたのが、絵心があふれて封筒にまで描くことになったという。私は、芸術やスポーツのこういう自然発生的登場の話が好きだ。そこには自由さと、自発性と、生命の躍動を感じるからである。人間が本来もつ「明るさ」が、そこにある。それは「日時計主義」の展開でもあると、私は思う。

 表紙カバーの絵は、教修会の準備の合間にホテルの部屋で、備え付けの封筒にフルーツを描いたものだ。桃やイチゴ、サクランボなど、日本とは違う格好のフルーツが面白かったし、ホテルの封筒のデザインも面白かった。そう思った時に、むずかしいことは何も考えずに「面白い、面白い」と思いながら描く。それでいいのだと思う。描いた絵封筒に次のような感想文を入れて、投函したのだった。
 
「NYCのホテルでいただいたフルーツを描きました。桃が上から押しつぶしたような格好で面白かったのです。チェリーは赤黒く“美味しい”という感じではありません。イチゴは皮が乾燥していて固いのです。従って日本のイチゴのようにすぐ崩れてしまわず、何日ももちます。果物に対する考え方が違うと思いました」

 現在、この絵封筒は、絵を趣味とする生長の家の仲間が集まっている「光のギャラリー~アトリエTK」の絵封筒ギャラリーに収録されているので、興味のある方はご覧あれ。

 本書にこのことを書く余裕がなかったが、私は「絵を描くこと」自体を日時計主義の実践としてとらえている。さらに言えば、絵だけでなく、俳句も短歌も写真も書も……およそ「表現芸術」と呼ばれているものは皆、それを通して日時計主義を実践する--つまり、世の中に実相世界の「真・善・美」を反映する--ことができる有力な手段だと考えている。ただ、芸術では「真・善・美」の反対である「偽・悪・醜」やその他もろもろのものも表現することができるから、そちらの方を“有意義だ”とか“高級だ”と考える人々が、日時計主義とは異なる創作活動をしているという事実はある。それはそれで表現の自由の問題だから、この社会では許されていいと思う。が、生長の家を知った人々は、自己の“神性表現”の喜びの場として、もっともっと表現芸術を拡大していってもいい……否、拡大していくべきだ、と私は思うのである。

 この本はまた、本欄を揺籃として生まれたと言うことができる。本書は2部構成で、第1部は「日時計主義とは何か?」というその題の通り、日時計主義がどのような考え方で、どんな哲学的、宗教的前提から成り立っているかを解説している。その際、本欄で最近1~2年にわたって書いた文章を土台にした。具体的には、昨年の文章では「狭い戸口」(11月上旬)、「悪を放置するのか?」(3月上旬)、「“悪を認めない”でいいのか?」(6月中旬)などで、今年の文章では「“悪を認める”とは?」(1月下旬)、「感覚と心」(同)、「意味と感覚」(2月上旬)、「わが町--原宿・青山」(同)、などである。これらの文章を書きながら、私は結局、日時計主義についていろいろ考えていたことになる。
 
 第2部には「日時計主義講演録」という題がついている。その名の通り、私の過去の講演や講話のうち、日時計主義に触れたものを集めてある。時期的にいうと、2005年以降のものである。第1部が論文であるのと比べ、話し言葉で書かれているので読みやすいはずだ。

 生長の家からは『日時計日記』が出ていることは、多くの読者がご存じのとおりである。また、2008年版の『日時計日記』もすでに出ているので、本書を読みながら、これらを大いに活用していただければ幸甚である。
 
 谷口 雅宣

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