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2007年9月 8日

「9」の縁起

 明日9日に行われる生長の家講習会のために、台風が通過したばかりの北海道函館市に来ている。30℃を超えた東京から来てみると、27℃の気温は涼しく、夕方になるとさらに気温は下がり、海からの風は心地よくありがたい。空の半分以上を雲が覆い「台風一過」という感じではないが、明日はきっと“講習会日和”のよい天候になるだろう。

 中国の陰陽の思想によると、割り切れない奇数は「陽」の数で縁起がいいとされている。日本でも、偶数よりも奇数を重んじる。そこで9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」といい、最大の奇数である「9」が2つ重なる縁起のいい日にされているらしい。日本では「菊の節句」と呼ばれ、平安時代には宮中で不老長寿を願う行事が行われたそうだ。函館空港から宿舎までの車中、畑山宏・教化部長がそのことに触れながら、「明日は平成19年の9月9日で、9が3つ並びますからさらにおめでたい。そう言って運動を進めました」と報告してくれた。また、「菊」の節句だから、講習会を「聴く」のに最適な日なのだそうだ。ちなみに、台風は「9号」が過ぎ去り、同教化部長の函館での生活は「9年目」に入っている。「9」の数字は「苦」に喩えられることもあるが、このように善い方向に心を振り向ければ、「苦」はたちまち「楽」に転じるものだと感銘した。

『北海道新聞』の8日の夕刊に、道産のトウモロコシが東京で高値でも売れているという記事が載っていた。興味をもって読み進んでいくうちに、頭の中に疑問符がいくつも浮かび上がった。トウモロコシの産地は岩見沢市郊外の農場で、ここで午前3時半に懐中電灯の光をたよりに1本1本もぎ取ったものを、すぐに倉庫に運び込み、そこで真空冷却器で2℃に急速冷却する。これを保冷コンテナに積み、午前9時半に新千歳空港発の全日空機で羽田空港へ運び、トラックに積み替えて、東京・世田谷のスーパー「成城石井」成城店へ運ぶ。その店頭に並ぶのが同じ日の午後2時40分ごろなのだという。収獲から約11時間で店頭に並ぶという新鮮さが付加価値となって、通常のものより100円ほど高い「1本298円」でもよく売れるのだという。

 私は、消費者に柔らかくておいしい新鮮なトウモロコシを食べてもらおうという関係者の熱意に、文句を言うつもりは毛頭ない。食品は新鮮さが“命”だから、遠方の人にそれを届けるためには「航空機」や「保冷コンテナ」が必要なのは当然である。しかし、その過程で大量のCO2が排出されることを忘れないでほしいのである。この「CO2の排出」は、地球環境全体にとってマイナスのコストである。が、現在の法律・経済システムの中ではこのコストは全く計算されずに、トウモロコシの値段が決定されている。ものの値段に、環境へのコスト(負荷)が正しく算入されずに経済活動が行われれば、環境破壊が進行することは明らかなことだ。これは「制度上の欠陥」なのであって、消費者を喜ばそうという「人の心」の問題ではない。別の言い方をすれば、人々の心が善意に満ちていても、制度上の欠陥が改善されない限り、社会や環境が悪化することはあり得るのである。

 地球温暖化を抑止するためには、「CO2の排出」を商品やサービスのコストに正しく算入する制度が、早急に施行されなければならない。これを行うための最もわかりやすい制度は、化石燃料の使用量に応じて課税する「環境税」や「炭素税」である。これと同じ効果は、企業や団体のCO2排出量の上限を定め、それを超える部分の削減を義務づける「キャップ・アンド・トレード」の制度と排出権取引によっても実現可能である。しかし後者は、煩雑で検証が難しいから、事務コスト等の余分なものが発生するし、効果は確実には予測できない。日本においては、このいずれの制度的変更も経済団体の反対で実施されていない。まことに残念なことである。
 
 安倍首相は、現在進行中のAPECの首脳会議で温暖化ガスの中・長期的削減を提案したそうだが、京都議定書の目標達成もおぼつかない現状の中では、包括的数字だけを示したとしても実効性はきわめて乏しいと思う。政治的意志を伴わないボランティア精神や国民運動だけでは、化石燃料の利用を基盤とした現在の社会・経済制度を変えることはできないのである。
 
 谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生

 台風の接近で講習会に影響が出ないか、心配しておりましたが、無事に行われたようで安堵致しました。
 当日は妻と子供(4人)が受講させていただきましたが、函館からの帰り、次のようなオカゲを頂いたそうです。
 青森行きの特急に自由席券を持って乗車したところ、あいにく自由席は満席、通路も乗客で一杯だったので、デッキで青森までの2時間辛抱しようと覚悟したそうですが、見知らぬ男性が突然、「指定席券が4枚あまったのであなたにタダで差し上げます」と申し出られたそうです。
 妻はその男性が「神様の使い」に思えたそうで、指定席でゆったりと帰ってくることができ、「講習会を受講したら早速よいことがあった!」と大喜びしておりました。
              竹村 正広 拝 

投稿: 竹村 正広 | 2007年9月10日 09:44

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