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2007年7月 6日

出発と帰還

 誰でも知っている日本の昔話「桃太郎」「浦島太郎」「一寸法師」に共通しているのは何か? 桃太郎は鬼退治に出発し、見事目的を果たして帰還する。浦島太郎は亀の背中に乗って竜宮城へ潜行し、再び帰還して元の浜辺へもどる。一寸法師もやはり小さい体のまま冒険に出かけ、見事つとめを果たして帰還する。彼らは当初、一種の“変わり者”であるが、人生における困難な務めを果たして帰還することで、“英雄”となるのである。このパターンは、しかし日本だけにあるのではない。

 旧約聖書にある預言者モーセの話も、釈迦の修行も、ギリシャ神話のプロメテウスも、イエスの物語でさえ、この共通パターンを内に秘めている。アメリカの神話学者、ジョセフ・キャンベル(Joseph Campbell)は、かつてこのことを次のように描いた。
 
「英雄は日常世界から危険を冒してまでも、人為の遠くおよばぬ超自然的な領域に赴く。その赴いた領域で超人的な力に遭遇し、決定的な勝利を収める。英雄はかれにしたがう者に恩恵を授ける力をえて、この不思議な冒険から帰還する」。(『千の顔をもつ英雄』上、p.45)

 多くの物語も劇も宗教神話も、出発と帰還の間に展開する「超人的な力との葛藤」の部分で多様性を発揮するが、上記のパターンを忠実にたどっている。我々の人生でさえ、このパターンを模倣して「故郷に錦を飾る」ことが暗黙裡に求められる。また、我々が「旅をする」こと自体、このパターンをなぞるものであることが多い。だから、出発と帰還が無数に交錯する駅、空港、港は、そういう数々のドラマの集積場として、ロマンや哀愁や喜びを湛えて感じられるのだろう。
 
 先日、横浜港へ行ったとき、夜の港を往き来する船を見ながら、こんな感想をもった。それを簡単な映像に表現してみた。
 
 谷口 雅宣

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コメント

副総裁先生

インターコンチネンタルホテルの側のようですね。
あの界隈へはよく行くのですがじっくりと観ることが
ないものですから、今度感傷的な気分で観たいと思います。

夜のMM21は立派な観光スポットですね。
あんなきらびやかな遊覧船が行き来していることさえ
知りませんでした。

投稿: 佐藤克男 | 2007年7月 8日 22:25

佐藤さん、

 サスガ……地元の強さですね。インターコンチの船着場から撮影しました。海に浮くフローティング・レストランがあります。そこで奥様とデートなどされたら如何でしょうか。

投稿: 谷口 | 2007年7月 9日 12:59

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