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2007年7月 5日

6月の異常気象

 6月29日の本欄で、今年は「ラニーニャ現象」が発生していることに触れ、それにより「異常気象が起こる可能性があるという」などと書いたが、世界的にはすでにそれが起こっているらしい。日本では2日、6月が“空梅雨傾向”だったと気象庁が発表している(3日『日経』)。特に四国は、月間降水量が平年の39%という状態で、1946年以来2番目の少なさで、都市単位の降水量を見ても、高知が平年比23%、福岡が同15%と、2005年に次ぐ少雨。これに伴い、6月の日照時間も伸び、伊豆大島と千葉・館山では平年より57%長く、青森の深浦では同43%長かったそうだ。関東などでは、7月に入って梅雨らしい雨模様が続いているのはありがたいが、九州地方では渇水状態からいきなり豪雨という極端な変化が起こっている。

 世界に目を向けると、ラニーニャの影響は国内よりひどいようだ。『日経』は4日の夕刊でそれをまとめているが、ヨーロッパは南部と東部が猛暑に襲われる一方、北部と西部は冷夏だという。南欧各地では日中40℃を越える日が続き、アテネでは最高気温が46℃を記録、イタリアではエアコンの使用増大で大規模停電が起きた。中国では南部と内陸部が豪雨となり、広東、湖南などで洪水によって66人が死亡。その反面、東北部の吉林省などは旱魃という。昨年、歴史的少雨を記録したオーストラリアでは、南東部が豪雨に襲われ、6千人以上が避難する事態となり、露天掘りの炭鉱では水が溜まって一時、採掘できない状態だったそうだ。アメリカは、南東部や西部が歴史的な旱魃に見舞われ、山火事が多発しており、カリフォルニア州では牧草が育たないため、肉牛の飼育頭数が大幅に減る見込みという。

 この『日経』の記事によると、ラニーニャとは、太平洋上の日付変更線と赤道が交差する付近から南米のペルー沖に至る海面の温度が平年より低くなる現象をいい、これが起こると、世界的な大気の循環が影響を受けて、気温の均衡が崩れるのだという。地球温暖化との関係ははっきりしないが、温暖化により寒暖や降雨・乾燥の「変動」が激しくなることが指摘されているから、一種の“相乗効果”が起こっているのかもしれない。
 
 ところで、6月23日号のイギリスの科学誌『New Scientist』は、地球環境問題に関するアメリカ国民の意識調査の結果を報じていて、興味深い。中でも意外に感じたのは、アメリカ国民がこれまで日本が行ってきたのと似た方法で、この問題への対処を希望しているらしいことである。より具体的に言おう。現在、CO2の排出量を減らすために考えられている方法には、大別して次の3つがある:①排出基準を厳しくする、②炭素税を実施する、③排出量の上限設定と排出権取引を併用する。日本は、このうち①を実施してきていて、それなりの省エネ、省資源効果を上げてきているが、ご存じの通り、炭素の排出量は年々増加しており、京都議定書の目標達成にははるかに及ばない。そこで私は、本欄などで①に加えて②を推奨してきたが、③にもある程度の効果は認めている。この③は、ヨーロッパ諸国が積極的に導入・実施していることは、本欄で何度も触れたとおりである。
 
 同誌の調査によると、アメリカ国民は上記3つの中では①を希望している人が多いそうだ。私などは、アメリカは「自由」を重んじる歴史や国民性などから、政府の干渉が少ない③の方法を重点的に用いる可能性があると考えてきた。ところが、この意識調査の結果では、アメリカ人は市場原理の活用によって排出削減をしようとするこの方法に対して、疑問をもつ傾向が見られるという。そして逆に、①のような、電力会社やメーカーに対して明確な基準を示す方法を支持する傾向があるそうだ。また、アメリカにおいては、「発電」と「自動車の利用」が炭素の2大排出源となっているが、この2つを比べると、後者よりも前者の規制を強化することを好む傾向があるという。
 
 もっと具体的に表現すれば、①の方法は、例えば自動車燃料の場合、石油会社に対して化石燃料とバイオ燃料の混合割合を明確に示すことであり、発電事業の場合、発電1kWh当たりに必要な化石燃料とバイオ燃料の割合に、一定の基準を設けることである。②の方法はもっと単純で、電力や自動車燃料に、それらの製造過程で排出される温室効果ガスの量に応じて税金を課すことである。そして③は、メーカーや企業が排出できる温室効果ガスに上限を設けて、この上限に達しないレベルでの活動を実現した企業が、それができなかった企業に対して、上限値までの“排出権”を売る制度を実施することである。

 地球温暖化とそれに伴う気候変動の現状を見ると、人類は今後①~③のすべての政策を実施していく必要があるが、どれもが消費者が支払う電気代や燃料費の値上がりにつながる。今回の調査は、そのことを告げたうえで、「どの方法なら、いくらまでの値上がりを支持しますか?」とアメリカ全土の1491人のアメリカ人に尋ねたもの。調査の実施主体は、同誌のほか、『ワシントン・ポスト』紙、ABCニュース、スタンフォード大学である。調査の詳しい方法や内容については、ここの文書を参照してほしい。

 谷口 雅宣

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