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2007年5月 5日

環境対策の流れは今…

 日本人が“大型連休”を楽しんでいる間にも、世界ではいろいろなことが起こっている。本欄ではすべてをフォローできないが、地球環境問題の関連をピックアップしてみよう。まず私が驚いたニュースは、北極の氷の融けかたが予想を上回るペースであるということだ。5月2日の『ヘラルド・トリビューン』が伝えたところでは、1日付でネット上に発表された研究によると、北極の氷の融解は、2月の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会」第4次評価報告書(IPCC4)の内容よりも、実際は速く進んでおり、“氷結しない夏”が今世紀中にもやってくる可能性があるというのである。

 この研究は、『Geophysical Research Letter 』(地球物理学研究通信)のオンライン版に発表されたもので、アメリカのコロラド州ボールダー市にあるアメリカ氷雪データ・センター(The National Snow and Ice Data Center)の研究者、ジュリエンヌ・ストローブ氏(Julienne Stroeve)らがまとめた。2月のIPCCの報告書では、温室効果ガスの排出がこのまま続けば、2050年から来世紀の前半までに夏場、北極が氷結しなくなるとされていた。しかし今回、ストローブ氏らが行った研究では、60年近くにわたって船舶や航空機、人工衛星によって集められた北極のデータを再検証し、これをIPCC4で使われた最新のコンピューター・モデルで計算したところ、1953年以降、9月の時点での北極の氷は10年間に平均7.8%の割合で減少してきたとの結果を得たという。(北極の氷は3月が最大に、9月が最小になる)これまでの同じ時期のシミュレーションでは、氷の減少率は10年間に平均2.5%とされてきた。これと比べると、違いは大きい。

 この記事に続く小記事には、4月の西ヨーロッパの気温が異常に高く、乾燥していると書いてあった。アフリカから北上した暖気団と気象変動によるものらしい。この4月で、ドイツは平年気温を8カ月間連続で上回り、フランスは同じく平年以上の気温が13カ月連続しており、イギリスでは、4月で終る12カ月の気温が、過去350年間で最高だったという。また、イタリアでも4月の気温が過去の記録を塗り替えた可能性があるとしている。
 
 タイのバンコクでは、温暖化対策をどうするかについてのIPCCの次なる報告書の内容が討議されているが、文案では「早急な省エネ化」と「化石燃料からの脱却」が書かれているものの、アメリカと中国は「早急な対策により悲劇的結果を防ぐことができる」という表現や「直ちに行動すれば温暖化ガスのレベルを安定させられる」という文言に、異議を唱えているようだ。上記の『ヘラルド』紙の別の記事が伝えている。前2回のIPCCの報告書では、2050年までに地球の平均気温が2℃上昇すれば、20億人が水不足となり、生物の20~30%が絶滅の危機にさらされるとしていた。EUの気象変動の専門家は、温暖化を現在より「+2℃」に抑えるためには、先進国の努力に加え、中国やインドなどの発展途上国の協力が必須だとして、“京都後”の温暖化防止条約へ途上国の参加を強力に呼びかけているようだ。

 このような世界的な動きを受けて、アメリカでも代替エネルギー関連の投資が急増していて、バブル化の危険さえ出ているという。上記『ヘラルド』紙のニューヨーク発の記事によると、昨年、クリーン・エネルギー部門への投資額は15億ドルとなり、2005年のレベル(6億二千三百万ドル)を141%も上回った。ニューヨクの投資調査会社、ラックス(Lux Research)の話では、その理由は石油生産のピークが近づいているとの憶測や、環境対策のための新税導入などを見越したものらしい。ラックス社のマシュー・ノーダン社長(Matthew Nordan)によると、現在、環境技術関連の新会社は世界に千五百ほどあり、そのうち930がエネルギー関連だが、この中の198社に何らかのベンチャー資金がすでに流れているという。この比率は通常の「1割」に比べてかなり高いそうだ。
 
 各国が温暖化対策に真剣になれば、EUが先鞭をつけた温室効果ガスの排出権取引が活発になることが予想される。その場合、ある企業の排出削減プロジェクトが国連への登録にいたるかどうかが重要な判断となる。これを事前に評価するための「格付け」を日本で行う会社が登場した。2日付の『日本経済新聞』によると、ロンドンに本社を置くアイディアカーボンは、国際協力銀行と提携して、同銀行が関係するCO2排出削減プロジェクトなどから生じる排出権を格付けする。つまり、事前に「プロジェクトの内容や国情、制度上のリスクを精査。排出権として国連に登録できる可能性を段階的に示す」のだそうだ。国連登録前の比較的安価な段階で、排出権の取得を目指す企業や団体の需要を見込んでいるのである。同じ日の『日経』は、商社の双日が10月から、日本企業を対象に排出権購入の仲介事業をオンラインで始めることも伝えている。

 地球温暖化が深刻化すればするほど、CO2の排出削減の需要が増えるから、排出権の値段が上がる。世界銀行などによると、昨年の世界の炭素市場は前年(110億ドル)の2.5倍に当たる280億ドル(約3兆3千億円)に膨れ上がったそうだ。同じ『日経』が伝えている。

 このような動きを見ていると、炭素税や環境税のように環境へのリスクを価格に反映させる方法ではなく、リスクを回避した割合に値段をつけて売買する方向へと、世界は動いているようだ。私は、前者の方が分りやすくて好きなのだが……。
 
谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生
合掌ありがとうございます。全国大会でご指導ありがとうございました。排出権取引について、私は、様々なものを勉強しても、どうもよくわかりません。Co2を削減して、それが売買されるのが、理解できません。電脳紙芝居で、説明いただければ大変ありがたいのですが、無理なお願いでしょうか?

投稿: 長部彰弘 | 2007年5月 7日 22:34

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