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2007年4月 1日

日本の環境技術に期待 (3)

 科学技術の進歩は「日進月歩」とはよく言われる。環境技術も例外ではないので希望がもてるのはいいのだが、自分がいざそれを利用しようとすると、どの時点でどの技術を選択するかで悩むことにもなる。私の住む家の屋根に太陽光発電装置が設置されて、もう9年近くになるが、当時の発電効率に比べると、現在の装置のそれはかなり改善されていると聞いている。しかし、数百万円の元手がかかっているから、すぐに新製品に替えるわけにもいかない。そんな理由もあり、私は今、山梨県北杜市にある山荘に新しく太陽光発電装置を設置することを考えている。しかし、新製品でさらにいいものが出るかも……などと考えていると導入へのふんぎりがつかないのである。

 30日付の『日本経済新聞』には、そんな私の悩みを深めるような記事が載っていた。大日本印刷が、フィルム状の太陽電池で世界最高の発電効率をもつ装置の実用化にメドをつけたというのである。同社はまだ太陽光発電装置の販売実績がないが、得意の印刷技術を応用したフィルム状太陽電池を市場に投入することで、2008年から新規参入をねらっているという。フィルム状の発電装置は薄くて軽く、丸めれば持ち運びができる。家屋の屋根への設置はもちろん、自動車にも簡単に取り付けられ、空気抵抗の増加も最小限に抑えられる。価格も現在のシリコン型装置の半分以下になるとされているから、同じ値段を出すなら従来型の装置よりもメリットが大きいように思えるのだ。

 記事によると、この型の装置は「色素増感型太陽電池」と呼ばれ、シリコンを基板に使わない。シリコンは現在、コンピューター関係の需要増大のため品薄で値段がなかなか下がらない。それに対しこの色素増感型は、大日本印刷の場合はプラスチック製フィルムを基板として使うが、シャープやアイシンなどの先行メーカーはガラス基板を使うタイプを開発中だ。これだとシリコン型に比べて原料が安く、製造も簡単らしい。この技術の基本特許が2008年に切れるので、各メーカーはそれ以後の商品化を目指しているという。こんな状況から考えると、来年すぐに家庭用の製品が発売されるとは思えないが、期待できる技術には違いない。
 
 太陽光発電装置は風力発電装置とともに今後ますます普及が進むだろうが、この双方の難点は、発電量が天候に左右されて安定しないことだ。とりわけ太陽光の場合、夜間はまったく役に立たない。そんな難点を補うのが昼間作った電気を貯めておく蓄電の技術だ。蓄電池の進歩はまた、次世代ハイブリッド車の進歩には必須である。つまり、蓄電容量が大きければ大きいほど、ガソリンを使わずに電気のみで(CO2を出さずに)走る距離が増える。だから、30日付の『日経』で報じられた新タイプの蓄電池の開発は、朗報と言えるだろう。

 それによると、この新蓄電池は大阪市立大学の小槻勉教授が開発し、電極の材料にマンガンとチタンを使ったもの。従来の鉛蓄電池に比べて3~5倍の電力を充放電できるという。IT危機を多く使う次世代車用蓄電池、風力や太陽光発電用の蓄電池への利用も考えられる。自動車に使った場合、鉛蓄電池より軽量となるため、燃費向上にも貢献する。ただし、実用化までには5年ほどかかるらしい。
 
 こうして、日本の技術が具体的な形で温暖化ガスの排出削減に役立ちつつある様子を知ってみると、わが国はトラブル隠しを続けてきた原発などに過度の期待をせず、新しい自然エネルギー利用技術の育成に、官民一体で全力を挙げてほしいと思うのである。
 
谷口 雅宣

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