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2007年3月 6日

中国の信仰リバイバル

 前回、中国の全人代で温家宝首相が使った「和諧世界」という言葉には、宗教性があるかもしれないとの憶測をした。これには理由がある。それは、中国で宗教がリバイバルしているからだ。最近のある大学による調査では、16歳以上の中国人の31.4%が宗教を信じているとの結果が出た。この数字を人口に当てはめると「約4億人」という数になる。中国政府の公式推定では、この数はかつて「1億人前後」ということになっていたが、上記の大学の調査の発表が許されたという事実と、それを政府の管轄下にある中国のニュース・メディアが報道したということを考え合わせると、中国政府もこの「4億」の数字に一定の信憑性を認めていると考えられる--3月5日付の『ヘラルド・トリビューン』でハワード・フレンチ記者(Howard W. French)がそう分析している。

 同記者は記事の中で、中国の正月に寺院を訪れる人々を眺めながら、興味ある観察をしている。それは、60代以上の人々は寺院の中でどのような作法や儀式をすればいいかをよく心得ているものの、会社員などの働き盛りの人々は--大勢が寺院を訪れてはいるのだが--、礼拝の作法や儀式の仕方が分からずに、ぎこちない動作をするというのである。これはつまり、年輩の中国人は共産党政権下の宗教禁止政策に従っていたものの、宗教心を捨てなかった一方で、禁制下に生まれ育ったより若い年齢層の中国人は、宗教についてほとんど無知だから、見よう見まねで信仰を始めている、ということだろう。

 中国では、仏教、道教、カトリック、プロテスタント、イスラームの5つの宗教が公式に認められている。これらは政府の統制下に入ることを条件に公的活動が保証されていて、寺院や教会建物などの諸施設も次第に増えてきつつあるという。そういう政府の政策転換の理由について、フレンチ記者は「政府が“和諧世界”と呼ぶものの建設のためには、限定的な信仰は有益な要素になる」と見るからだと書いている。ここで「限定的」と書かれているように、中国には日本のような“信教の自由”はない。中国政府は、上記の5大公認宗教の上級の指導者を自ら選び、公認されていない法輪功のような宗教はしばしば弾圧する。そして、教育機関での宗教教育は厳しく制限され、伝道活動は禁じられている。また、共産党員は宗教への参加は禁じられているという。
 
 そんな中で、前回書いたように、中国首相は「和諧世界」の実現を目指した“所信表明演説”を行ったのである。世界では対立しているように見える宗教同士が、中国政府の統制下では和諧し、調和した関係に整う。それを追求していこう--何かとてもナイーブな考えのように思う。あるいは、そんな考えなど初めからなくて、宗教を統治の道具に使うというのが、本当のねらいなのかもしれない。宗教に関する中国の今後の動きを、しっかり見つめていこう。
 
谷口 雅宣

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コメント

「和諧世界」を唱える中国ですが、いわゆる「南京屠殺記念館」の拡張工事をして世界遺産にしようとしたり、反日を国是として国を纏めようと言う戦略も見受けられます(私は南京事件なるものは歴史的事実では無いと思います)。

他者を憎悪の対象として人民を纏めようとする様な国は、法則からして繁栄するものではありませんが、日本人としては腹が立ちます。

生長の家を信仰する者としては実相直視と世界平和の祈りでしょうか。

投稿: 北田 順一 | 2007年3月 7日 13:10

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