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2007年3月 2日

ミツバチはなぜ減少する?

 この冬は、日本列島は記録的暖かさだったようだ。昨年12月から今年2月までの平均気温は平年より1.52℃高く、記録をとり始めた明治32(1899)年以降では、過去最高の1949年に並んだという。3月1日の気象庁の発表を新聞各紙が伝えている。全国の平均では過去最高と「タイ」になったが、気象庁が全国にもつ153カ所の観測地点のうち、63カ所では史上最高を更新し、12カ所でタイ記録だった。東京の平均気温は、平年より1.9℃高い「8.6℃」だったという。暖冬の主因として、気象庁は①北極振動、②エルニーニョ現象、③地球温暖化、を挙げたという。
 
 春になれば、虫もかえって空を飛び始める。わが家の庭では紅梅、スイセン、ツバキ、ジンチョウゲ、それにもうユキヤナギまで咲き始めているから、出てきた虫たちも蜜や花粉に不足することはないだろう。日本がそんな季節になろうとしている一方で、アメリカでは、24の州でミツバチの数がどんどん減っているというのである。西海岸では30~60%、東海岸の一部とテキサス州では70%も激減しているというから、ただごとではない。しかも、理由がよく分からないらしい。2月28日の『ヘラルド・トリビューン』紙が伝えている。
 
 ミツバチの減少は、農業国・アメリカにとっては深刻な影響をもたらす。蜜が採れないというだけでなく、ハチによって授粉されてきた多くの作物の収獲減につながるからだ。例えば、カリフォルニアでは今、アーモンドの花が開く季節だそうだが、授粉役の数が不足して収獲が減ることが心配されている。このほかの果実や野菜にとっても、同じことが言えるだろう。ミツバチその他の昆虫の授粉に大きく依存している作物は、アーモンドのほかリンゴ、モモ、ブルーベリーなどがある。

 アメリカでは、養蜂家が作物の授粉に大きく貢献しているらしい。彼らは大型トラックに巣箱を満載して、アメリカ各地を回るという。そして、農家の依頼によって、場所を定めてハチを放つ。ところが出て行ったハチの多くが帰ってこないというのである。恐らく野原で死んだと思われる。考えられる理由は、帰れないほど遠方へ行ったか、あるいは帰る方向が分からなかったため、寒さで死んだのか……。巣に帰れない理由の説明には、このほかウイルスや細菌の感染、ハチの栄養不足、殺虫剤の影響、ストレスのかかりすぎ、ダニの寄生などが挙げられているそうだが、はっきりしたことは分かっていない。
 
 カリフォルニア州は世界最大のアーモンド産地というが、2月になると、ここへ全米にいるミツバチの半分以上が集結するという。トラックで運ばれてくるのだ。23万5千ヘクタールの果樹園が、距離にして480キロも同州のセントラル・バレーに広がっている。典型的なミツバチのコロニー(1羽の女王バチを中心とした集団)は、1万5千~3万匹のハチからなる。今年、この1コロニーを授粉のために借りる値段は135ドルで、2004年から55ドル(69%)も値上がりしたという。元気に授粉に飛び回ってほしいため、ハチたちには蛋白質補強剤やサトウキビやトウモロコシから採ったシロップを与えていて、この値段もばかにならない。トラック1台分が1万2千ドルし、それを何台も連ねて移動するらしい。

 日本養蜂はちみつ協会のウェッブサイトによると、世界の養蜂状況をミツバチのコロニー数(基準は各国一定でない)で比較すると、中国900万群強、旧ソ連地域900万群弱、アメリカ300万群強、メキシコ300万群弱、ブラジル200万群前後、アルゼンチン150万群前後という。わが国では20万群弱しか飼われていないそうだ。

 これらのミツバチは主に採蜜の目的で飼われているそうだが、近年は上記のような授粉の用途が増えてきている。殺虫剤の使用で他の昆虫が減っていたり、温室栽培の普及によるものだ。地球温暖化の影響で気候が不順になる中、バイオエタノール需要で作物の値段が高騰している。これに加えて、ミツバチの減少による不作が起こらないことを祈るばかりである。
 
谷口 雅宣

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コメント

雅宣先生

数週間前に、トロントのニュースで聞き、気になっていました。
ミツバチは死体を巣箱の中に残さない習性なので、死因の解明が困難であると言う報道でした。
因みに、環境問題のブログです。
http://www.greendiary.com/entry/honey-bees-mysteriously-dying-across-north-america/

合掌

渕上幸江


投稿: 渕上幸江 | 2007年3月 5日 04:53

谷口雅宣先生
合掌4日の講習会盛会お喜び申し上げます。
同じ日福岡教区では立教記念式典と教化部会館開館20周年記念式典が行なわれました。
その後五者会議が行なわれ、その中で、葦の弁当箱が各行事で使われて昨年の9月から2月までで8314個使ったそうです。
各組織とも大いに炭素0に向けての運動の準備態勢は整ってきております。
久留米の生命学園福島フジエ園長先生の畑で弁当箱を土に返すことも実験中です。
10月28日福岡の講習会お待ち申しております。
再拝    
福岡教区講師会長 古谷正

投稿: 古谷正 | 2007年3月 6日 11:55

渕上さん、

 環境問題のブログ……面白そうですね。インドの人々がやっているという点が、特に興味がわきました。どうも有難う。

古谷さん、
 
 葦の弁当箱が8千個……ですか。なかなかのものですね。それを扱う業者がどんどん出てくれば、値段も下がることになるのでしょう。さらに前進です。

投稿: 谷口 | 2007年3月 6日 23:34

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