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2007年3月17日

空の環境保全をどうする?

 丸亀市など香川県下4会場で行われる生長の家講習会のために、四国・高松へ飛んだ。前回の本欄で、ムダの多い消費生活の“甘い夢”から醒めて、地球温暖化の現実をしっかり見るべきだと書いたこともあり、航空機を使った旅が地球環境にどれほど悪影響を及ぼすのか気になっていた。だから、家にあった科学誌『New Scientist』の2月24日号の表紙に「GREEN SKIES THINKING」と書かれているのを見て、急いでその雑誌を鞄に入れ、車に乗った。特集記事の題が大書されていたのだ。その意味は「空の環境保全を考えて」というほどのことだろうか。その言葉の下に、副題が「Eight radical ways to a cleaner flying future」とある。「未来のクリーンな飛行のための8つの抜本的対策」ということか。機上で読むにはおあつらえ向きだった。

 この記事によると現在、世界の空を飛んでいる飛行機のジェット・エンジンは、1960年代と比べて40%ほども燃費がよく、煤や硫黄分などの汚染物質をほとんど出さないものに変わっているという。そして、さらに排気ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の量を半減し、窒素酸化物を80%減らす努力が続けられているらしい。とは言っても、中進諸国の経済発展などで航空業界の拡大は目覚しく、今後もその勢いは増すと予想されている。現在、世界中で毎日8万5千便もの商業飛行が行われており、2050年にはこの便数は倍増するという。

 このようにして毎年、世界で消費されるジェット燃料は、1億3千万トンにもなる。大西洋をジェット機で1回渡ると約6万リットルのジェット燃料が消費されるが、この量は、平均的ドライバーが消費するガソリンに換算すると、実に50年分以上になるという。この間、140トンのCO2と、750kgの窒素酸化物が大気中に排出されるだけでなく、1万メートル上空を飛行する際には、空中に排出された窒素酸化物は温室効果ガスの1つであるオゾンに変換されるという。さらに、排気ガス中の水蒸気は飛行機雲を形成するが、これが元になって絹雲が生じやすくなる。この雲は、地球上の熱を逃がさない効果--つまり、温室効果があるらしい。

 こうしてジェット機による飛行は、地球温暖化の主要な原因の1つになっている。この悪影響を減らすために考えられる方法は、①課税などで業界の拡大速度を抑制する、②植物性燃料に切り替える、③排出量を植林などで相殺する、④飛行中や空港での燃料のムダ遣いを減らす、⑤航空機のデザインを変更する、などがある。それぞれにメリットとデメリットがあるようだが、④の中にはすぐにでも実行可能と思われるものがある。

 それは、飛行機がゲートを離れて滑走路に向うまでの“タクシーイング”の間、エンジンを回転させて進むのをやめることだ。これによって、渋滞時などには大量の燃料がムダに消費される。この区間はジェットエンジンを動かす必要はないのだから、牽引車を使うなどの方法に変更することは可能と思う。また、⑤については、同誌には驚くべきことが書いてあった。それは、現在の航空機のデザインは、基本的には1950年代のものと同一だというのだ。では、よい改善策がないのかというとそうではなく、航空機業界が寡占状態であるため、コストがかかるデザイン上の変更を避ける傾向があるらしい。つまり、“もうけ優先”の航空機業界の体質にも原因があるのだ。その証拠に、“もうけ”以上に重要な基準がある軍用機の分野では、ステルス戦闘機やB-2爆撃機に見られるように、主翼と尾翼の区別がない三角形のデザインの機体がある。このデザインの方が燃費もよく、騒音も少ないことがよく分かっているらしい。

 そう言えば最近、自動車メーカーのホンダが小型ジェット機を売り出して、アメリカで人気を博しているという記事を読んだ。これまでにない斬新なデザインのおかげで、同クラスの他社機より燃費が格段にいいという。日本の技術や独創性が世界に役立つ分野は、ここにもあると知って嬉しくなった。いま燃費がセールスポイントになるのは自動車と同じで、石油の値段が高騰しているからだ。考えてみれば、炭素税や航空税の実施や値上げは、航空燃料の値上げと似た効果--つまり、消費者が支払う航空運賃が上がるか、航空会社の利幅を減らすことになる。いずれの場合も、燃費のいいエンジンや機体を開発しなければ利益が減る恐れがあるから、メーカー側の技術開発が促進される。そういう意味で、私は上記の対策の中の①も、十分現実味のある選択肢だと考える。
 
谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生
環境に対する企業の取り組みの好例が、創刊されたばかりの「オルタナ」という雑誌に載っています。この雑誌は、ヒトと社会と地球を大事にするビジネス情報誌という謳い文句で、「良心が経営を変えた―環境・健康・社会貢献―他社とは違う51社」という特集が組まれています。HPで創刊を知っておりましたが、本日その創刊号が届きました。思ったより出来がよく、その中には、7世代先の環境を考える米バーモント州の「セブンス・ジェネレーション」などの取り組みも紹介されていました。
 この雑誌は、3月中に申し込めば、無料で購読が可能です。
http://www.alterna.co.jp

投稿: 久保田裕己 | 2007年3月19日 02:08

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