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2007年3月 9日

クロスワードを解く (8)

 だいぶ遅くなってしまったが、2月22日の本欄に掲載した「教義クロスワード No.8」の解答は、以下の通りである。

【縦の答え】
(イ)常住。(ロ)かばう。(ハ)体得。(ニ)一宇。(ホ)運。(ヘ)大生命。(ト)茎。

【横の答え】
(ハ)対談。(チ)一意。(ホ)うめく。(リ)羽化登仙。(ヌ)自縛。(ル)湧。(ヲ)神域。

 今回の出題の中には、あまり宗教的な内容のものがなかった。その中でも縦の(イ)と横の(ヌ)には触れておいていいかもしれない。
 
「常住」という言葉は仏教から来ていて、サンスクリットの「nitya」の漢訳という。(太陽出版『仏教日常辞典』)これは「生滅変化のない」という意味で「無常」の対語である。聖経『甘露の法雨』の「物質」の項には、神に創られたままの完全な人間は「常住健康永遠不滅なる生命なり」とある。また「実在」の項には、「実在を知り、実在に住(お)るものは、消滅を超越して常住円相なり」と書かれている。だから、生滅変化する無常なる現象の奥に、永遠に存在する完全なるものを形容した言葉の1つが、「常住」である。英訳の聖経では、これに「constant」(恒久の、不変の)という語を充てている。「無常」は「impermanent」(永続しない)と英訳されることが多いが、この対語が常住であれば「permanent」という訳語も使えるはずだが、使っていない。

 生滅変化する現象の“奥”に、常住不変の実在があるかどうかという問題は、哲学の古典的課題でもある。生長の家では、現象の奥に神の創造になる実在があると考えることは、改めて言うまでもない。このことについては、前回の「クロスワードを解く (7)」で「今ここ」とはどこかという説明でも触れた。また、昨年11月15日17日で扱った「神の国」の在りかとも深く関係している。これらは宗教的な説明だが、理論物理学の考えを借りて説明を試みた文章もある。興味のある方は、拙著『心でつくる世界』(1997年、生長の家刊)の290ページから305ページあたりを参照してほしい。
 
 さて、「自縛」のことを「“こうでなければならない”と心に掴むと、この状態になる」と説明した。辞書的な説明には「①自分で自分を縛ること」と、「②自分の言葉(主張した意見)のために、かえって言行の自由を失うこと」(『新潮国語辞典』)がある。私の説明は、この①②より広義の意味になっている。なぜなら、私たちは「自分の言葉」を発することなく、心で「こうでなければならない」と固く信じるだけでも、十分に自縄自縛することがあるし、個人だけでなく、国家や社会全体がそういう状態になる場合もある。生長の家では「自然法爾」を説くことで、そのような“心の凝り”をなくすことをお勧めしている。
 
 さて、冒頭で私は今回のパズルに「宗教的なものが少ない」と書いた。この理由は、密かに用意しておいた“アンチョコ”のデーターが枯渇してきたからだ。そこで、これを機会にクロスワード・シリーズは一応終りにしたいと思う。パズルを考えるのは、それを解くよりも多くの時間がかかる。そういう時間的余裕がなくなってきたので、残念ではあるが本企画は幕引きとしたい。
 
 そもそも宗教の教えを「パズル」にするなどという発想は、不真面目で不遜だと考えた読者もいるかもしれない。しかし私は、このパズルで「教え」そのものよりも、主として教義に関する「知識」を扱ったにすぎない。その種の知識を覚えたからといって、真理を体得できるとか、悟りが開けるわけではない。かといって、そういう知識が“救い”や“悟り”のために全く役に立たないわけでもない。それは、目的地に行く道程に立っている「標識」にも似たものである。標識の見方を知っている方が、知らないよりも早く、楽に、目的地に着くことができる場合が多い。しかし、標識を見て行き先がわかっても、自分の足でその方向へ実際に歩かなければ、永遠に目的地に着くことはできない。宗教上の真理は結局、実践の中から体得されるのである。

谷口 雅宣

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コメント

合掌ありがとうございます。

8回にわたる"教義クロスワード"堪能させていただきました。
短いヒントから答えを探るクロスワード本来の醍醐味もさることながら、
解答の際に用語について詳しい説明をしていただけることが、
何よりも楽しみでした。
教えていただいた知識を生かすべく、
信仰生活を実践してまいります。
ありがとうございました。

再拝

投稿: 古谷伸 | 2007年3月12日 10:46

古谷さん、

 「何よりも楽しみ」とお誉めいただき、感動しました。努力のしがいがありました。ありがとうございます。
 このブログでは、皆さんの反応が少ないのでヒンシュクをかっているのではないかと心配していました。

投稿: 谷口 | 2007年3月12日 10:58

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