ネコ好きの人に注意!
徳島県での生長の家講習会を終えたばかりの今日、『日本経済新聞』の夕刊を見たら、国と徳島県は、鳥インフルエンザから変異した新型インフルエンザが発生したとの想定で「対応総合訓練」をやったという記事が載っていた。それによると、新型インフルエンザは、発生すると短期間に一気に世界中に広まるので、日本でも水際で食い止めるのは難しい。だからこの訓練は、国内で患者が発生することを前提に、早期に被害を最小限に食い止めることで新型ウイルスを封じ込めるためのものだという。なぜ徳島県が訓練の場に選ばれたのかはよく分からないが、「阿波尾鶏(あわおどり)」などのニワトリを多く飼育しているからかもしれない。
訓練開始に当たり、いま“渦中”にある柳沢厚生労働大臣が、「いつ新型インフルエンザが発生するか予断を許さない。関係省庁は発生時に適切な対応を講じられるよう、(訓練で)問題点を確認していただきたい」と述べたという。これは今年に入り、宮崎県や岡山県で高病原性の鳥インフルエンザ(H5N1型)が相次いで発生したことから来る、危機感を表明したものだろう。上の記事によると、この新型インフルエンザは海外では人間への感染も散発的に確認されており、世界保健機関(WHO)の2月3日現在のまとめでは、すでに「165人」が亡くなっている。感染者の致死率は60%というから、危機感を抱いて当然だろう。
この問題では、鳥から人への感染に続いて、感染した人から他の人への感染が起こることが恐れられている。H5N1型のウイルスが「人→人」の感染が容易な形に変異した場合、大流行すると考えられているのだ。上記の記事では、「新型インフルエンザが国内で大流行し、人口の25%が病気になると想定した場合、医療機関の受診者は最大で約2500万人、入院患者は約200万人、死者は約64万人に上ると推定される」などと書いてある。これは“最悪”の事態を想定しているのだろうが、何とも悩ましい数字である。
ところで、日本ではあまり話題にならないようだが、「鳥→ネコ」の感染がすでに起こっていることを読者はご存じだろうか? 1月半ばに分かったことだが、インドネシアの鳥インフルエンザが流行している地域では、ネコにもH5N1型のウイルスが感染していた。1月27日付の『New Scientist』が詳しく伝えている。それによると、インドネシアのスラバヤにあるアイルランガ大学(Airlangga University)のチャイラル・アンワー・ニドム博士(Chairul Anwar Nidom)の調査では、鳥や人への感染が広まった地域のネコから、5匹のうち1匹の確率でH5N1型ウイルスの抗体が発見されたという。
より具体的には、ニドム博士はジャワ島の4カ所のニワトリ市場近くにいたノラネコと、スマトラ島の1カ所のノラネコの合計500匹から血液のサンプルを採取したという。これら5カ所は、いずれも最近ニワトリまたは人間がH5N1型ウイルスに感染したことが確認された場所という。検査の結果、20%のネコから同ウイルスの抗体が検出されたのである。ネコへの感染は、感染したニワトリを食べたからだろう。ニドム博士は生きているネコを調べたのだから、ウイルスに感染して死んでしまったネコを考慮すれば、感染率は20%を上回るということになる。
このことから考えると、問題のウイルスはネコの体内で適応する機会を得ているから、同じ哺乳動物である人間への感染の危険が増大しているかもしれない。このウイルスは、「鳥→人」のルートでは感染力が弱いことが分かっているが、「鳥→ネコ→人」という別のルートで感染が起これば、人への感染力が増すかもしれないのである。上記の記事では、ニドム博士はこの2月に来日し、東京大学で検体の調査をするらしい。だから、日本のノラネコの危険性についても、まもなく分かるだろう。
実は最近、家の庭にハトの羽が散らばっているのを妻が発見した。私の家ではハトもネコも飼っていないから、野生のハトがノラネコに襲われたに違いない。私はしばらく、ノラネコとかかわるのをやめようと思う。ネコ好きの読者は、くれぐれもご注意あれ。
谷口 雅宣
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