« 神武東征の神話考 (2) | トップページ | クロスワードを解く (6) »

2007年2月14日

愛の交換日

 バレンタインデーだというので、街にはチョコレートが溢れている。我々夫婦もこの日にあやかり、休日前の夜を静かに過ごさせてもらった。とは言っても、家の中にこもったのではなく、外出して夕食を六本木のホテルのレストランでゆっくりいただいた。こんな日の夜だから混雑しているに違いないと思ったが、意外にもガラガラに空いていた。窓際の席に案内され、つましくカレーとピッツァとサラダをメニューから選んだ。2人とも近年は、油こいものや食後の満腹感を避けるようになってきた。「腹八分目」の健康法である。外は小雨模様で、傘を差したコート姿の人々が通り過ぎる。朝の天気予報では、西から来る低気圧が夕刻には発達して、夜は大荒れになると言っていたが、今回も当たらなかった。

 バレンタインデーについては、本欄の前身で、ブログを始める前の2002年の「小閑雑感」に書いた(世界聖典普及協会発行『小閑雑感 Part 3』に収録)ので、言うことはあまりない。が、この国の“チョコレート騒ぎ”には食傷気味だ。「○○の日には○○をしなければならない」というのは、一種の社会的強迫観念だ。それでも、クリスマスや正月などは、その意義が十分あるから、自分なりのやり方で積極的に参加できる。しかし、「チョコレートをあげる」というのは、見え透いたコマーシャリズムが背後にある。それを知りながら、多くの人々がどうして熱意をもって参加するのか、不思議に思う。本家本元の欧米では、この日は一般に「愛情を表現する日」だから、男女双方から自分たちのやり方で愛を表現すればいいのである。また男女でなくても、親子や友人間の愛の表現でもいいのである。「この日は女から男へ」「あの日は男から女へ」などと決め、しかもチョコレートの色まで「黒はいつ」「白はいつ」と規定するなど、学習指導要領みたいで息がつまりそうだ。

Mtimg070214  とはいうものの、もらってみると決して悪い気持はしない。今年は2人の女性からいただいた。1人は妻だが、もう1人はあえて公開しない。妻はイタリア産のワイン、もう1人はフランス製のチョコレート。舶来の習慣には舶来の製品がいいということだろう。私は双方に素直に謝意を表した。チョコレートとワインの組み合わせも、なかなかいい。「味がマッチする」という意味ではなく、並べてみると絵になるのである。もともとは、カカオとブドウの実という自然食材である。が、双方とも原形をとどめないほど加工され、高度な技術を通して嗜好品に生れ変わっている。また、こういう食品としての“内側”に劣らず、容器や包装などの“外側”にも手をかけている。このような手の込んだ品であるために、「愛情」や「友情」の表現である贈物に使われるのだろう。

 ところで、人間の愛の交換日に合わせたわけではないだろうが、今夜は家の庭で、冬を越したヒキガエルたちが大いに活躍していた。彼らは、すでに先週の金曜日(9日)から出没しはじめていたが、今日の雨で一斉に出たのかもしれない。池の周囲、石段の途中に、体長12~13センチの茶色の丸っこい塊が、いくつもうずくまり、近づいていくと、次々に腰を上げて逃げる。コロコロという鳴き声は、彼らの見かけとは裏腹に、人間の耳にも案外快く響く。それが、輪唱のように微妙にズレながら、四方八方から聞こえてくる。
 
 2001年の『小閑雑感』では、2月28日にヒキガエルが出たと書いた。5年後の昨年は、2月16日に書いた「春の兆」という文の中でヒキガエルが出たことに触れている。そして、今年は2月9日で、だんだん早くなる。そう言えば、先週の月曜日(12日)に、庭の東側斜面でフキノトウをいくつも摘んだ。昨年の本欄では2月16日に「ちょうどよい大きさのものがいくつも頭を出していた」と書いている。自然界の生物たちは、地球温暖化に呼応して生き急ごうとしているようだ。

谷口 雅宣

|

« 神武東征の神話考 (2) | トップページ | クロスワードを解く (6) »

コメント

谷口雅宣先生

 先生がチョコレート二つとは意外です。もっと沢山もらえておられるのではと想像しておりました。

 実は私は今年、何と一つです。やはり妻からです。とても有り難く頂きましたが妻以外は会社でも英会話学校でももらえず、ちょっと寂しかったです。

 でもバレンタインデーって言うのはAFNでも盛んに今日はバレンタインデーだって言ってましたからアメリカでも盛んなんですね。

堀 浩二拝

投稿: 堀 浩二 | 2007年2月16日 14:24

堀さん、

 「チョコレート2つ」ですか? 絵にはもっと描いたんですが……。(笑)

 英会話を習っておられるのですか? 偉いですね。でも、まさかNOVAじゃないんでしょうね?

投稿: 谷口 | 2007年2月16日 17:27

谷口雅宣先生

 申し訳ありません。先生の本文をよく読み返させて頂くと「2つ」ではなくて「2人」と書いてありました。失礼致しました。

 英会話は私が青年会の時に先生が全国大会で「これからの青年は生長の家の真理以外に英語を学ぶ事を勧める。」と仰ったのがきっかけでもうかれこれ14年間、学んでおります。
 私はYMCAに通っておりますが、以前は英会話教室だけでしたが、そこのクラスメートからの誘いで英検一級受験クラスにも通う様になり、現在英検一級合格を目指して頑張らせて頂いております。

堀 浩二拝

投稿: 堀 浩二 | 2007年2月19日 09:09

堀さん、

 英検1級……ですか。なかなかできるものではありませんね。
英語を読み書きすることで、視野がひろがり、自分のものの考え方にも変化が生じてきませんか? 何というか……「もう1人の自分」が育ってくるような……?

投稿: 谷口 | 2007年2月19日 15:46

谷口雅宣先生

 そうですね。自分では余り気が付きませんでしたが、そうかも分かりません。
 英会話で私が何と言っても一番苦労しているのはヒアリングです。外国人同士で話す英語の速さと発音の分かり難さに辟易としていましたが(今でもそうですが)、それは単語を一つ一つ日本語に訳してそれを頭で組立直して日本語で分かろうとしていたからだとある日、気が付き、それからは英語を英語としてそのまま理解しようとしています。そのせいか英語的な考え方も出て来たかも分かりません。

堀 浩二拝

投稿: 堀 浩二 | 2007年2月19日 16:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 神武東征の神話考 (2) | トップページ | クロスワードを解く (6) »