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2007年1月25日

衣服は綿か化繊か?

 環境問題に敏感な消費者は、自分の服をどう選ぶだろうか? 例えば、綿と化繊のシャツだったら、環境意識の高い人ほど綿を多く選ぶような気がする。その理由は、化繊は石油を原料としているから、製造過程でより多くの温室効果ガスを排出する。それに比べ、綿の原料は綿花だから、木綿生地の製造過程からはそれほど多くの温暖化ガスは排出されない。さらに、木綿生地そのものは大気中の炭素を固定している(大気中にあったCO2を吸収して綿花ができた)から、これを燃やしてもCO2の総量は増えないと考えられる。これに比べ化繊を燃やせば、地中深く眠っていた炭素(C)をCO2として放出することになるから、大気中のCO2は確実に増える。だから、環境意識の高い人は化繊でなく木綿のシャツを着るべし--こう考えるのが普通かもしれない。

 ところが、上の話は綿と化繊を使ってシャツなどの衣服を作るまでのことで、シャツになったものをどう使い、どう洗うかなど、衣服の寿命が来るまでのことを考えていない。これら「製造後の使い方」を考慮すると、木綿シャツと化繊シャツの環境への“有害度”は逆転するのだという。ケンブリッジ大学科学者のそんな研究結果を、25日付の『ヘラルド朝日』紙が伝えている。

 それによると、木綿のTシャツは、製品が廃棄されるまでに112メガジュールのエネルギーを使うが、化繊のブラウスの場合は54メガジュールですむという。この違いの主な原因は製品の使い方にあり、木綿のTシャツは60℃の温水で洗った後、乾燥機で乾かし、アイロンを必要とするのに対し、化繊のブラウスは洗濯時の温水が40℃ですみ、ハンガーに吊るして風で乾燥でき、しわが寄らないのでアイロンもいらない。だから、両製品とも廃棄までに25回洗濯・乾燥すると仮定した場合、木綿のTシャツは使用の過程で65メガジュールのエネルギーが必要だが、化繊のブラウスは7メガジュールですむ計算になるという。

 私は洗濯・乾燥のプロではないので、上の計算による比較が適切であるかどうか確かではないが、盲点を突いた指摘のように思う。ただ、私はTシャツを洗うときは水温を「60℃」などにしないし、乾燥機もアイロンも使わない。しかしワイシャツは、そういうわけにはいかないと思う。この問題の所在は、しかし「生地が木綿か化繊か」という点にあるのだろうか? 私はそんなことより、今の時代、衣服が「必要性」から選ばれるよりも「ファッション性」から選ばれる方が多いという事実にあると思う。特に先進諸国においては、この要素が強い。その場合、素材が化繊であっても木綿以上にエネルギーを使うことは大いにあるだろう。

 上の計算では、化繊製品の使用は木綿製品の半分のエネルギーで足りることになっているが、その化繊製品を買って、2~3回腕(または脚)を通しただけで、次の化繊製品を買うというようなムダ遣いをしていれば、木綿製品を何年も使っている人よりはるかに多くのエネルギーを使うことになり、地球環境への有害度も木綿以上になる。つまり、流行を追ってバンバン衣服を買い換えるという「使い捨て」のライフスタイルが、地球環境に有害な影響をもたらすことは確かだろう。
 
 そんな意味でも、私は衣服のデザインは、はやり廃りのない、できるだけスタンダードなものを選ぶようにしている。

谷口 雅宣

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コメント

今でも日本で購入した化繊と綿の混合のワイシャツを着ています。もう襟がほころんでいます。クリーニングに出さなくてもアイロンや糊の必要がないからです。昔、中学校の頃、白いワイシャツを学校に着て行きましたが、何回も何回も洗うため、襟の堅い部分が摩耗して中のプラスチックが見えてきました。新しく購入する程の余裕が無かったのか、ただ勿体なかったのか知りませんが、母がワイシャツの下の方、ズボンの中に入る部分は前方と後方は長く横は割れて短くなっている、その下の部分を切り取って襟の部分を覆って、繕ってくれました。体育の時間の着替える時、自分のワイシャツだけ後の方が短くなっているのが恥ずかしくて、そっと着替えたことを思い出します。何でもないことですが、何となく恥ずかしかった。でも、今では、そこまで繕って着せたか、と母の素晴らしさを少し感じています。

投稿: mario | 2007年1月27日 03:45

最近、主人のお気に入りのワイシャツの襟や袖口が擦り切れてきました。このワイシャツは、当時、肥満体型だった長男の小学校卒業式に買ったものでした。長男は1日しか着ていないので、引き続き主人がずっと着ていて、今年で、ちょうど丸6年になります。主人はクリーニング屋さんの、のりのきいたワイシャツが苦手で、私は結婚して22年間ずっと家で洗濯してきました。今は45度のお風呂の残り湯を使っても、翌日の温度はもっと低いと思います。外に干すので乾燥機は使わず、軽くアイロンをかけます。週に5日着ます。ワイシャツは8枚、休日を除くと6年間でざっと180回洗濯した事になります。綿80%、ポリエステル20%のワイシャツです。主人はおしゃれに無頓着で、天邪鬼で、ワイシャツも自分では買いませんが、環境には良かったのかもしれませんね!

投稿: 花かんざし | 2007年1月29日 17:00

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