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2007年1月29日

「悪を認める」とは? (2)

 前回は、生長の家で「悪を認めない」というのは、「悪を実在として認めない」という意味が含まれる、と書いた。が、それだけの意味ではないので、さらに補足しよう。

 「悪を実在として認めない」だけであれば、悪を「現象」としては認め、その内容を微細に検討したり、その原因を細かく分析するのが、善を実現する正しい方法だ、という議論が成り立つ。しかし、生長の家では、そういう方法はお勧めしていない。なぜなら、これは「類は類をもって集まる」という心の法則の逆用になるからである。「悪い」ものに心の焦点を合わせることによって、私たちには「悪い」現象が次々に見えてくるのである。このことは、私たちがニュース報道の世界でよく経験することだ。例えば、どこかで「17歳の少年が人殺しをした」というニュースが大きく報道されると、不思議なことに、連鎖反応が起こるのである。「悲惨な自爆テロで大勢の人が殺された」と報道されると、同種の事件がそれに続いて起こることがある。これは、航空機事故についても観察されることがある。社会心理学の研究テーマとして興味ある現象だ。
 
「悪」はこうして社会的に伝播すると同時に、個人の心の中にも拡がる傾向がある。誤解のないように言っておくが、私はここで仮に「悪」という言葉を使っても、それは実体をもった“悪の塊”のようなものを想定しているのではなく、(前回使った言葉を採用すれば)「人間の心の中に生じる否定的な力(拒絶感)」のことを便宜上そう呼んでいるのである。人間の心は、対極にあるものを同時同所に感じることが困難にできている。例えば、「悪」と隣り合わせに「善」が存在することを容認することが難しい。「悪」を思っているときに「善」を同時に思うことが難しい。否定的に見ているものを、同時に肯定することは難しい。だから、悪に心を集中し、悪を分析していれば、その周囲のものも悪として感じ、さらにその周囲に隣接する、より広い領域にあるものも悪として感じやすい。こうして彼の心には“暗黒”なるものが次々と広がり、それがまるで黒々とした実在であるかのような印象が生まれるのである。

「悪を認めない」ことは、だからこのような心中の悪(否定的印象)の拡大を未然に防止する優れた方法でもあるのだ。「悪を認めない」どころか、心を実相の光明円満完全のイメージで満たすことは、「類をもって集まる」という強力な心の法則を発動して、私たちの心が現象の奥に光明・円満・完全を見出す契機を与える優れた方法である。谷口雅春先生は、この素晴らしい方法を用いられて数多くの聖典のページを、力強い光明の言葉で埋められている。例えば、『真理の吟唱』の「想念感情を浄める祈り」には、次のような件がある:
 
「今より後、決して私は悪しき事を思わず、悪しき事を言わず、人を呪うことなく、怒ることなく、現象の悪に心を捉えられることなく、ただ善のみ、光のみ、美のみ、幸福のみ、豊かさのみ、調和のみ、平和のみの実相を心に見、コトバに発し、常に想念感情を浄めて、この世界の実相たる天国浄土を地上に実現せんことを期するのである」

 私たちは、この教えに従って“日時計主義”を生きることにしている。だから『日時計日記』では、悪い出来事は書かないのが原則である。悪いことを書かない、印象しない、記録しない、思い出さない、という方法によって、多くの人々は「悪はない」という実感がもてる。加えて、「よいこと」のみを書き、印象し、記録し、思い出すことによって、多くの人々は「善が満ちている」という実感を抱き、その実感を通して、現象の背後にある善一元の世界の実在を確信することができるようになる。そういう宗教的実感や悟りへ到達するための優れた方法が「悪を認めない」という生き方である。
 
 以上のように、私たちが「悪を認めない」ということには、①現象世界における「悪を実在として認めない」という認識論的(静的)意味と、②「善一元の実相を観ずる」という宗教的実践(動的)の意味があるのである。

谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生へ
合掌 ありがとうございます
「悪を認める」とは?の2日間にわたる御指導に心から感謝申し上げます。先生がたくさんの聖典やご講話やブログを通じて私達に発信して下さっていたコトバの奥にある中心がよく理解できました。とても感動しております。ありがとうございます 感謝 再拝

投稿: 宮本京子 | 2007年2月 1日 13:14

宮本さん、

 コメント、ありがとうございます。
 お役に立てて嬉しいです。今後とも本サイトをご愛顧ください。

投稿: 谷口 | 2007年2月 1日 18:13

谷口雅宣先生へ
いつも、あたたかいお返事を下さり感激しております。そして、いつも、楽しみにそして興味深く拝見させて頂いております。ブログを通じてリアルタイムの真理のお勉強をさせて頂けますことに心から感謝申し上げます。

投稿: 宮本京子 | 2007年2月 2日 11:54

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