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2006年12月17日

環境意識は向上している

 岡山市で行われた生長の家講習会では、1万人近くの受講者が集まってくださり、静かな雰囲気の中で講話ができたことは大変ありがたかった。これだけ多くの人が一堂に集まる講習会では、とかく場内のざわつきが気になることがあるが、そういうことがなかったのは受講者の方々の意識の高さを示していると思う。午後の講話の最後で、私は現代人の肉食の習慣が貧しい国々の飢餓の問題を深刻化させていることを述べ、宗教的にも問題の多いこの習慣を、生長の家では「廃止しろ」とは言わないまでも、「減らすことを勧めている」と述べた。時間の関係で、肉食が環境を破壊しつつあることに言及することができなかったのは、多少心残りだった。しかしその問題は、今では世界的にも広く認知されつつあることを知った。

 イギリスの科学誌『New Scientist』のニュースサービスが12月12日に伝えたところによると、国連の食糧農業機関(Food and Agricultural Organization)が最近出した報告書には、畜産業が土壌を悪化させ、地球温暖化を促進し、水資源を汚染し、生物多様性を破壊しつつあることが書かれ、この産業が「どんな意味に於いても最も深刻な環境問題を生み出している上位2~3番目の原因」だと書かれている。この報告書の中の驚くべき事実は、畜産部門が生み出す温室効果ガスは、運輸部門が排出する割合(全体の13.5%)を上回る「18%」に達するということである。
 
 この報告書は『Livestock's Long Shadow(家畜の長い影)』と題するもので、ヘニング・スタインフェルド氏(Henning Steinfeld)らの執筆によるもの。「18%」という上記の数字はFAOによる前回の報告書よりも増えているが、その理由は、家畜の生産過程から出るすべての温室効果ガスを計算したからという。その中には、化学肥料や餌の製造過程からの排出分、牧養地開拓のための森林伐採、糞の処理過程、家畜自体が出すメタンガス、家畜とその飼料の運搬過程からの排出量などが含まれるという。家畜の生産には広大な土地が必要で、現在、地球上の凍らない土地全体の26%を占める。また、アマゾン河流域の森林伐採地のうち70%は放牧地であり、家畜の飼料は、世界の農地の3分の1で生産されている。したがって、地上に生きる家畜全体の量は生物全体の20%を占めると考えられ、生物多様性を破壊する主要な原因になっているという。

 これらの数字を以下のように並べてみると、我々人間の「肉食」に対する執着の大きさが歴然としてくる:
 
  8%----人間が使う水のうち家畜生産に使われる割合
  18%----家畜産業から排出される温室効果ガスの割合
  20%----地上の生物全体量に対する家畜の割合
  20%----家畜によって汚染される農地や放牧地の割合
  26%----地上の凍らない土地のうち家畜生産に使われる土地の割合
  30%----野生生物の生息地のうち家畜に奪われた土地の割合
  33%----家畜の飼料生産に使われる農地の割合
  37%----人間が排出するメタンのうち家畜産業から出る割合
  37%----人間が使う殺虫剤のうち家畜生産で使われる割合
  50%----人間が使う抗生物質のうち家畜生産で使われる割合
  65%----人間の活動で排出される窒素酸化物のうち畜産業から出る割合
  70%----世界の農地のうち家畜生産に使われる割合
  70%----世界の森林伐採地のうち家畜生産に使われている割合

 家畜の肉に対する需要は、中国やインドなどの経済発展にともなって増大しつつあり、FAOの予測では2050年までに倍増するという。我々はまさに今、食生活を「環境」の観点から見直さねばならないし、さらに進んで「殺生」の問題として再考すべき時期に来ているのである。

谷口 雅宣

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