« 滝川市の発電パネル | トップページ | 自然界の循環と温暖化 »

2006年8月28日

GM作物とセイタカアワダチソウ

 北海道滝川市と空港のある千歳との往復を自動車で走ったが、広い直線道路の両脇の土手や、その先に広がる広大な農地の端、そして山林脇のあちこちに黄色い花が帯状をなして咲き誇っていた。セイタカアワダチソウである。この植物は、本州では秋の花ということになっているが、北海道では早く開花するようだ。北アメリカ原産のキク科の多年生草本の帰化植物で、日本各地には第二次大戦後、急速に広がった。その理由の1つは、地下部から他の植物の成長を抑える物質を分泌するからだ。その一方、ミツバチなどの昆虫が集まる蜜源植物でもあり、新芽は天婦羅にして食べられるという。私は、この植物の旺盛な繁殖力を見ていると、どうしても生物多様性の問題を考えてしまう。

 8月21日の本欄で、アメリカで除草剤耐性をもった遺伝子組み換え芝が、栽培認可の下りる前にオレゴンの片田舎で発見されて、当局をあわてさせている話を書いた。また翌22日には、イネの品種に対する人間の価値観が変遷することを書き、特定の品種の善し悪しよりも、品種が多様であることが重要だと述べた。遺伝子組み換え(GM)作物のもつ問題の1つは、この自然界の「生物多様性」を犠牲にする可能性があることで、もう1つは、組み換え遺伝子が近種との交雑によって自然界に広がっていくことである。このことが自然界のバランスを乱し、予測できない悪影響をもたらす可能性が指摘されている。

 アメリカはしかし、基本的に科学技術は自然界を征服し、調教するために利用すべきだと考える人が多いようだ。だから、GM作物はほとんど問題にされず、大々的に栽培されている。28日付の『産経新聞』には、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の調べた2005年のGM作物に関するデータが掲載されているが、それによると、GM作物は世界の21ヵ国で栽培され、栽培総面積は9000万haで、前年より11%増えたという。このうち4980万ha(55.3%)がアメリカ、1710万ha(19%)がアルゼンチン、940万ha(10.4%)がブラジル、580万ha(6.4%)がカナダ、330万ha(3.7%)が中国だ。このほかパラグアイ、インド、南アフリカ、ウルグアイ、オーストラリアの順で多い。作物別では、5440万ha(60.4%)はダイズ、2120万ha(23.6%)はトウモロコシ、980万ha(10.9%)はワタ、460万ha(5.1%)がナタネだという。

 同じ記事には、アメリカで未承認のGMコメが流通予定の長粒米に混入していたため、輸入国のEUが、アメリカ産のコメに対してGM種の混入がないとの証明を課すことを決めたとの話が書いてある。このコメは、ドイツのバイエルクロップサイエンス社の除草剤に対する耐性を組み込んだ「LLライス601」という長粒種で、1999~2001年にアメリカで試験栽培されたが、商品化の予定がなく承認申請されていなかったという。それなのにアーカンソー州とミズリー州で流通予定のコメの中に微量が混入していたらしい。そこでEUは8月25日、アメリカ産長粒種を輸入する際には「601」の混入がないという証明書を課すことに決めたという。ドイツがこの件でどういう態度なのか気になるが、上記のデータなどを見るとヨーロッパは概してGM作物に否定的なのに対し、北アメリカ、中南米、英連邦諸国が肯定的であることが興味深い。

 ところで読者は、除草剤耐性GM作物とセイタカアワダチソウとの共通点に気づかれただろうか? それは、前者を除草剤と併用することにより、他の植物を駆逐して自分だけが伸びる--つまり、セイタカアワダチソウと同じ効果を発揮することだ。それではいっそのこと、セイタカアワダチソウの遺伝子を組み込んだGM作物を作ってしまうのはどうだろうか。除草剤購入のコストと散布の手間が大いに省けるから、農家の人々から喜ばれるのではないだろうか。しかし恐らく、そういう遺伝子組み換えは行われない。理由は簡単だ。除草剤が売れなくなってしまうからだ。こういうところが、遺伝子組み換え技術の最もウサン臭い点である。

谷口 雅宣

|

« 滝川市の発電パネル | トップページ | 自然界の循環と温暖化 »

コメント

はじめまして、栃木教区の岡田と申します。
いつも小閑雑感を興味深く拝見させて頂いています。

>しかし恐らく、そういう遺伝子組み換えは行われない。理由は簡単だ。除草剤が売れなくなってしまうからだ。

とありますが、最近大学で「遺伝子組み換え」についての講義を聴いたところ、「Btコーン」というものがあるそうです。
http://www.biotech-house.jp/glossary/glos_103.html

安全性も高く、農薬を減らすこともできるのですが、
「遺伝子組み換え」を行うことそのものが生長の家的にどうなのかと思いまして、
副総裁先生の意見をお伺いしたい所存であります。

投稿: 岡田圭介 | 2009年2月11日 13:35

岡田さん、

>>「遺伝子組み換え」を行うことそのものが生長の家的にどうなのかと思いまして、
副総裁先生の意見をお伺いしたい所存であります。<<

 これについては、拙著『神を演じる前に』と『今こそ自然から学ぼう』にかなり詳しく書きました。そちらを参照していただけませんか?

投稿: 谷口 | 2009年2月11日 16:19

お返事ありがとうございました。

さっそく『今こそ自然から学ぼう』を再読させてもらい、改めてしっかり本を読まないといけないなと思わされました。

遺伝子組み換え技術はインスリンや青いバラなどのような使い方のほうが良いのかもしれないですね。

投稿: 岡田圭介 | 2009年2月13日 20:08

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: GM作物とセイタカアワダチソウ:

« 滝川市の発電パネル | トップページ | 自然界の循環と温暖化 »