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2006年6月15日

ペンマウスを買う

 最近、絵を描く機会が極端に少なくなってきた。「絵心が出ない」というと、何か「やる気が出ない」感じの怠惰な人間のように聞こえるが、「文章を書く」ことと「絵を描く」ことの脳の領域が違っていて、片方をフルに使っていると、他方がお留守になるのかもしれない。この「脳の領域」とは、よく“左脳”とか“右脳”などと呼び分けられているものだ。しかし、本当は双方を適度に使うのが、人間としてベターであるに違いない。
 
 ということで、文章作成に毎日使っているノートパソコンを、絵を描くためにも使えないかと考えて、休日を利用して新宿駅西口のヨドバシカメラまで足を延ばした。最近、キーボードを使わずにペンで画面を触れるだけで入力できる「タブレットPC」というのが出ていると知ったので、それで絵を描くテストをしてみたかった。絵は、紙の上に鉛筆やペンで描くのがいいに決まっているが、それをPCで利用するためには、描き終った絵をスキャンして取り込む作業が必要となる。これには案外手間がかかり、色調やペンタッチなどをオリジナルに近づけるのに苦労する。だから、直接PCで絵が描ければ、スキャンニングの手間が省けるだけでなく、スケッチブックなどの画材を持ち運ぶ必要もなく、さらに絵の保存もPCだけで効率的に、省スペースで行える--そんな虫のいいことを考えていた。
 
 目当てにしていたのは富士通のLOOX-Pシリーズ「FMVLP70S」という機種で、サイズが232 × 167mm と小型である。重さも1kg を割る軽量だから、使い勝手さえよければスケッチブック代りに持ち運べるだろうと考えていた。しかし、現物を触ってみると、ペンタッチはいいのだが、キーボードを使おうとすると小さすぎて文字がスムーズに入力できない。また画面も小さくて見にくい。私は「文章も絵も」と欲張っていたから、別の機種を探した。すると、レノボの ThinkPad シリーズにタブレットPC(ThinkPad X41 Tablet)があり、これはキーボードも使いやすく画面も大きかった。しかし、私が現在使っている機種(ThinkPad X40)とほぼ同じスペックなので“上等すぎる”のである。結局、「PCは2台もいらない」という結論に落ち着いた。資源のムダだし、ファイルの管理が複雑になる。そして何よりも、値段が高い--富士通機は23万円、レノボ機は24万円だ。

 そこで現有のPCに接続して、ペンで絵が描ける周辺機器を探した。すると、絵の具メーカー「ぺんてる」が出している「エアペン」というのと、ワコム社の「インテュオス」というのが目についた。前者は、手帳様のメモ用紙にペンで字や絵を描くと、そのストロークの1つひとつを機械が記憶し、あとでPCへその情報を転送する方式だ。これだと、手帳セットだけを持ち運べるが、どうも色が使えないようであり、手続きも煩雑だ。後者は、PCのUSBポートに接続したタブレットの上に絵を描く大掛かりな方式で、プロ仕様だ。旅先に持っていくわけにはいかない。
 
 結局、私が選んだのは「ペンマウス」と呼ばれるものだった。値段は 9,420円。これは基本的には光学式マウスそのものであり、ペン型であるところだけが違う。これだとマウス同様に気軽に持ち運べるし、ソフトウエアも、今使っている「NeoPain」という“お絵かきソフト”で取りあえずは用が足りると思った。販売員は「入力はこちらが正確です」と、USB接続式のペン・タブレットを勧めたが、私は簡単で安価な方を選んだ。1万円未満だから、テストのつもりで買ったのだ。
 
Pensample01  帰宅して早速、使ってみると、販売員の言っていたことがよく分かった。ウィンドウズに標準で付いている「ペイント」という“お絵かきソフト”を使ったことがある人は知っていると思うが、マウスで自由な線を手描きすることは非常に難しい。それがペン型のマウスであれば、相当描きやすくなるだろうと私は考えた。これが大きな間違いだった。確かに普通のマウスでするよりは描きやすいが、マウスパッドの上を行くペンのわずかな動きや角度の違いで、描線がトンデモナイ方向へ滑ってしまう。「紙の上にペンで線を引く」という簡単な作業が、ペンマウスでやるといかに困難であるかを思い知らされた。
 
Pensample02  昨年8月21日の本欄で、灘波田龍起画伯が晩年に病床で描いた絵の話に触れたが、その時の鉛筆やペンの線が、縮れ毛のように絡み合っていたことの意味がよく分かった。灘波田画伯は、恐らく脳の損傷で手先が自由に動かせなくなっていたのだ。それでも絵を描こうとすると、物の輪郭を線で表現するのではなく、絡み合った無数の細かい線の重なり具合で濃淡を作り、その濃淡の違いの中から輪郭が浮かび上がるような絵になっていた。私が最初にペンマウスで描いたのも、そんな感じの奇妙な線画になった。さらに色々工夫して、もっとまともな絵を描こうとやってみた。その2点をここで披露します。笑ってやってくだされ。
 
谷口 雅宣

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コメント

雅宣先生。こんにちは。いつも学びをありがとうございます。
今私もペンタブで絵を練習しているところでしたので、少し嬉しくて、コメントさせていただきました。
お忙しい中で、先生も色々練習されているんですね。
尊敬いたします。
先生の絵の、カラーのほうの、黄色とグリーンのコントラストが好きです。あと、サインの線の色の混じり具合が、素敵ですね。どうしたらこうなったんでしょうか。
私も本当に最初はペン先の行方が思うようにいかず、びっくりしました。ちなみに私は、インティオス3です。
線画もそうですが、色塗りも、、枠線が途切れていると顔まで紙の色と同じ真っ黒になってしまったり、難しいですよね。
でも最近になって、鉛筆を水彩ブラシにしてみたり、重ね塗りOKの線を使ってみたりして、色塗りも水彩で透明度を変えたりしてみたら、ぐっと手書き感がまして、楽しくなりました。
お絵かき掲示板のヘルプなどを見て、練習しています。
書き直しで素早くできて、紙も無駄にならなくて、いいなぁと思います。
これからも絵のほうも是非更新してくださいませ。
楽しみに、励みにしながら、私も頑張ります。(無限力ですから!)ありがとうございました。

投稿: 米山恭子 | 2006年6月18日 14:34

米山さん、

 お粗末な絵に、過分なお言葉……。ありがとうございます。
サインの線の色の件ですが、私の使っている“お絵かきソフト”でそういうペンを指定すると、あんな感じに仕上がるようです。
 そうですか、「インティオス3」というのも、ペンの描き具合は難しいのでしょうか。ペンマウスでは限界があるので、そっちへ移行しようかとも考えていたのですが……。
 貴女の絵は、どこかに公開されているのでしょうか? 覗いてみたい気分です。(笑)

投稿: 谷口 | 2006年6月19日 23:07

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