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2006年5月 3日

ひと仕事終って

 5月の1~3日にかけて東京・千代田区の日本武道館で行われていた生長の家の4つの組織の全国大会が終った。その準備と実行のために、日本全国のみならず、世界中の生長の家の幹部・信徒の方々が大勢奔走してくださった。心から感謝申し上げます。私もブログの執筆を一時中断し、担当する講話の準備に専念した。1時間の講話を、対象を変えて3日連続でやるというのは、毎年のことながら神経と労力を使うものである。そのわりには、講話が聴衆の皆さんの期待に沿えたかどうか心もとない。が、とにかく「ひと仕事終えた」という感慨をもてるのは有難いことだ。

 大会の期間中、気候の“揺れ”がこれほど大きかったことはなかったと思う。1日の白鳩会全国大会の日は好天に恵まれたのはよかったが、気温が今年初めて29℃を超えた。2日の相愛会・栄える会合同全国大会の日は、一転して小雨も降る低温となり、北海道では雪の降った地域もあった。3日の青年会全国大会は、さらに一転して快晴となり、気温も上がって最高18.4℃と快適、爽快な1日だった。日本で「三寒四温」と呼ばれてきた気候が、1ヵ月ほど後ろにズレてしまったような気がする。
 
 白鳩大会と相・栄大会では仏教の「三施」の考え方に触れた。「三つの布施」という意味で、法施、物(財)施、無畏施の3つを指す。「法施」は真理を説くことで、宗教ではこれが最大の布施とされる。が、明日の食事もなく、安心して眠る場所もないような人々は、真理よりも衣食を求めるのが普通だ。そんな人々には、とりあえず飢えや生活苦を和らげるために、食物や財物を与える「物施」あるいは「財施」も重要である。また「病気治し」なども、「健康な肉体を与える」という意味では物施に属するものだろう。最後の「無畏施」は、「畏れのない状態を与える」という意味で、恐怖心から解放してあげることである。これには、様々な方法が考えられるが、大地震の被災地へ行ったり、テロ被害の現場へ行って救援活動を行うことも、「物施」であると同時に、それが恐怖心の除去につながるならば「無畏施」と言えよう。
 
 では、地球環境問題の解決に取り組むことはどうだろう? 2日の夜だったろうか、NHKテレビで水没しつつある島国・ツバルの最近の様子が放映されていた。当地では満潮が近づくと、アスファルト道路の真ん中から噴水のように海水が吹き上げ、見る見るうちに民家が床下浸水となり、やがて床上まで海水に浸される。これは重要な生活の手段である家屋と、その中にある家財道具が使い物にならなくなることであり、農作物の栽培が不能となり、食物を奪われることでもある。また、しばしばそういう状況に置かれる人々は、浸水に恐怖を感じているに違いない。だから、海面上昇を防ぐための行為は、ツバルの人々にとっての物施であり、無畏施でもある。このように考えれば、レジ袋削減運動も、太陽光発電の利用も、自動車の燃費の向上も、宗教的な意味があると言えるのである。

 問題は、我々のそのような活動が実効性をもったレベルに達しているかどうかだ。人類の中で環境意識の高い人々が力を合わせ、二酸化炭素の排出削減の努力を続けても、ツバルやモルジブの水没までの時間を延ばすことはできても、結局水没を防げなかった場合、大量に出る環境難民を受け入れる義務を負うのは、誰だろうか? 論理的に考えれば、そういう悲劇の原因を作った国に最も責任があるのだから、難民を受け入れねばならないのはCO2の排出量が多い国ということになる。日本も、環境税等の抜本的環境対策を採らないのであれば、環境難民受け入れのための制度をきちんと整備すべきだろう。
 
谷口 雅宣

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コメント

全国大会でのご指導、誠にありがとうございました。

5月3日の夜にNHKテレビで放映されていたのは、もともとは4月30日夜9時から放映されたNHKスペシャル「同時3点ドキュメント:煙と金と沈む島」の再放送だったのだと思います。

私は、妻が白鳩会の全国大会から参加するため、4月30日から5月3日の3泊4日間、東京のホテルに宿泊していたのですが、その宿泊先のホテルで4月30日に見ました(ビデオも予約録画しておきました)。

私もこの番組を見て、ツバルの浸水状況が確実に悪化している様子に息を呑みました。まさに唖然としたのです。

他方で、この番組でスポットを当てられていた「排出権取引」の意義と限界について、色々と考えさせられました。

その「排出権取引」については、小生のブログに「排出権取引は地球環境を救えるか?」と題した文章を書いてみました。ご覧いただければ幸いです。

http://masaruyamanaka.cocolog-nifty.com/kenkyu_diary/

投稿: 山中 | 2006年5月 5日 17:33

上記の番組の再放送の日時ですが、NHKのホームページで確認いたしましたところ、「5月2日(火)深夜【水曜午前】0時から0時49分」となっていました:

http://www.nhk.or.jp/special/rerun/index.html

私の先のコメントには「5月3日の夜」とだけ書いており、誤解を招くかもしれない表現となっていたので、正確性を期するために付け加えさせていただきます。失礼いたしました。

投稿: 山中 | 2006年5月 5日 21:34

ありがとうございます。
大阪の尾崎と申します。
山中さまのブログを拝見しました。
NHKスペシャルについて真剣に書かれておられうれしかったです。
以前、この雅宣先生のブログのコメント欄にNHKスペシャル放映予告を報告しましたが感想をみなさまがどのようにもたれたのか気になっていました。ありがとうございます。

山中さまのブログにも書かせていただいたのが以下の文章です。

資本主義と環境問題について折り合いのつかぬ事を実感されたのですね。私もあの番組をみて資本主義の世界の広さを感じました。
資本主義制度を基本にするアメリカの一部の人は排出権という権利を売買し利益を目指すあまり、ツバルの水没さえ「環境問題への関心」の目安にすぎないものになっている事実に愕然としました。
あの社長が「ツバル。。。もう手遅れでしょうね。」と軽く言い放ったのが印象的でした。悔しかったです。

環境問題を世界で考える中に「信仰心」のようなまじめなものがベースになってもらいたいものです。レジ袋削減など、まさに一人一人の誠意のみの世界です。環境問題とは国は変わっても一人一人が「足元から平和を」求める世界だと思います。

資本主義であれ共産主義であれ、GNPなどの経済指標に「宗教団体の活動」のような「愛」や「夢」を基本にした生産活動がどれだけフィードバックしているかは考える必要があるようです。なにがいいたいかというとその国の物質的豊かさに「心」が加えられ見直される必要があると思うのです。

中国の重慶の労働者たちの、求めるものは物質的欲望であり、車を買うという見栄や便利さです。ただ、昔の日本も同様の産めや増やせやの時期があって、公害問題があって今のグローバルな意識に基づいた環境問題への自覚につながっているのです。どの国も同じような失敗をしてほしくはないです。

中国の重慶の炭鉱における生産量イコール豊かさとか、自国の幸せイコール国民の豊かな生活、とするならばこれは昭和30年代から40年代の日本であり、公害問題が中国の悩みとして現れるのは間違いありません。中国のことを心配し協力してあげるなら、「地球意識を踏まえた環境問題」を金以外のレベルでつたえてあげたいです。それが信仰心や愛とともにお伝えできればいいのですが。


「世界がひとつ」となったり、「地球全体の環境」を考える上で、みんなが協力しあえる、わかりやすいテーマや指標をこしらえてあげるのもひとつの工夫かもしれません。

何か具体的で世界中がわかりやすいものは、もしかしたら「愛」のような「仏心」のような本気の信念に基づいたものかもしれません。マザーテレサなど実際に世界をまたいで「愛」をつないでいます。世界規模、地球規模で考えるために「信仰」はあるのかもしれません。

今もツバルは苦しんでいます。あのツバルのみんなにも「キリスト教」が伝わり、みんなで祈っていましたよね。「祈り」は世界を救います。中国の重慶の人たちはツバルを知らない。世界中のひとが
本当にツバルを映像で見たらどう思うのかと思います。

以上が山中様のブログに書かせていただいた感想です。
まさに今、ツバルが苦しんでいる。
そのことを忘れてはならないように思います。

投稿: 尾崎伸行 | 2006年5月 6日 07:02

先ほどのコメントに書き忘れて恐縮です。
5月4日木曜日の産経新聞にトンガ付近M8.1地震とありました。
ツバルも世界地図でみると近いので心配です。
大津波の恐れがあるとのこと。
祈っています。みなさんも祈ってあげてください。

投稿: 尾崎伸行 | 2006年5月 6日 07:56

合掌 相愛会・栄える会合同全国大会が閉会したあと、東京第一教区のメンバーが集まって、大会の感想を述べ合いました。
谷口雅宣先生、谷口純子先生のご講話に関するもののうちメモした一部をご報告します。
谷口雅宣先生のお話では、
「実相と現象のお話がすごく良かった」(50代のSさん、40代のFさん)
「目で見えるものがすべてではない、というお話は普通の人にはコペリニクスが殺されかかったと同じくらいの大きな変化だ。私たちは殺されることはないのだから、堂々と人類光明化運動に邁進していきたい」(60代のOさん)
「物施と法施のお話は大変分かりやすかった。物施と法施のバランスをとることは今年度のテーマだと思う」(60代のIさん)
谷口純子先生のご講話に対しては、
「男は顔に責任がある、というお話で自分も責任の持てる良い雰囲気を持つようになりたい」(40代のKさん)
などがありました。

投稿: 田原康邦 | 2006年5月 6日 16:06

山中さん、

 コメントありがとう! 貴方のブログ読みました。学者らしく論理的で、なかなか力作ではないでしょうか。また、NHKの放送の情報、ありがとうございます。

尾崎さん、

 私もあの放送を見て、中国の人々の経済発展への“熱情”のようなものを感じました。日本もかつて、あんなふうだったのかもしれませんね。一国の国民が学習したことを、他国の国民によく理解してもらうというのは、なかなか難しいことだなぁと思いました。中国も日本の過ちを繰り返すのかと思うと、寂しいです。

田原さん、

 東京都の皆さんの反応を知らせていただき、感謝、感謝です! 

投稿: 谷口 | 2006年5月 6日 23:12

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