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2006年5月31日

ヤギは除草上手

 前回は、自然界の食物連鎖が切れた際の問題の1つとしてシカの増殖を考え、自然界には本来“害獣”や“害虫”はないなどと書いた。しかし、農業をしている人からは、「何と観念的な議論!」とか、「実際に自分で作物を育て、虫やイノシシに食い荒らされてみろ!」などと怒られるかもしれない。誤解のないように言えば、私が言いたかったのは、虫や動物の食害を諦めろということではなく、作物を食う虫や動物を“悪”として見るなということである。“悪”と見なすことは、そういう生物を憎んで絶滅させることにつながり、自然のバランスを崩すことになる。生物種が減っていけば、自然界に何重にも張りめぐらされた食物連鎖の“絆”を薄めてしまうことになる。その逆に、食物連鎖の絆を厚くすることで、“悪者”を無害化する方法もあることを指摘したかった。その一例が、イエローストーン公園へのオオカミの導入だ。

 これは、ある地域の生物種の数を増やすことが、人間への害を減らすことにつながる有力な証拠だ。これほど大規模でなくても、同様の方法で自然界での人間への“害”を減らすことは、日本でも普通に行われている。例えば、アイガモを田んぼで飼って除草してもらう「アイガモ農法」がそれである。また海外では、田んぼ以外での“雑草”を扱うのに、その地域に別の生物を導入することで、人間への害を減らすことが行われているらしい。

 北カリフォルニアの生長の家信徒、周愛子さんから教えて頂いたことだが、パロアルト市の地域水質浄化施設(Regional Water Quality Control Plant)では、7.7ヘクタールの土地に生える雑草管理のために500匹のヤギを使っているという。ヤギは丈夫な消化器官と旺盛な食欲をもっているので、どんな除草剤や芝刈り機にも勝るらしい。今春は、この地域に特に雨が多かったため、雑草や潅木が生い茂ったそうだが、ヤギは期待通りの活躍をしているという。普通の大きさ(体重約45キロ)のヤギは、1日に体重の5%の草を食べる。だから、500頭を1日放し飼いにしておけば、1トン以上の雑草や潅木類がなくなってしまう。この費用は1万4000ドルで、1エーカー(約4,050㎡)当たりでは737ドルになるという。同じ仕事を人間がすれば、1エーカーは最高で千ドルを超えるという。だから、植物や人体に有害な薬品を使わずに、機械の音も出さずに除草できるヤギの利用は、十分効果的なのだという。

 以上のことは、周さんが送ってくれた地方紙『Palo Alto Daily News』の記事によるものだが、周さんは手紙の中で、「私達の所も、ヤギさんに1.5エーカーに生えた雑草を食べて頂こうかと考えました……。毎年人を雇ってトラクターで雑草と土をまぜてしまう方法を採っておりますが、ガソリンを沢山使いますし、音も大きいので御近所に迷惑をかけてしまうのです」と書いている。私はふと想像する--ヤギを1日放せばきっと糞をするだろうが、それは業者が持っていくのだろうか? 何百頭分ものヤギの糞は、有機肥料として使いでがあると思うのだ。
 
谷口 雅宣

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