« 福知山散策 | トップページ | 祈りは治病に効果なし? »

2006年4月 2日

温暖化防止は、これから

 福知山市で行われた生長の家講習会で午後、アメリカの雑誌の最近の特集記事について言及した。前日に東京を出るときに羽田行きの車中で入手した時事週刊誌『TIME』の4月3日号と、科学誌『Science』の3月24日号が、偶然か必然か地球温暖化に関する特集を掲載していたからだ。実は、前掲2誌の前に私が読んでいたイギリスの『New Scientist』誌(3月18日号)も、論説と4ページの記事で温暖化に警鐘を鳴らしていた。世界のオピニオン・リーダーの視線が最近、この大問題に注がれるようになったとの感を強くしたのである。本欄に付き合ってくださる読者は、あのブッシュ大統領でさえ「アメリカ人は石油中毒」と認め、新世代ハイブリッド車の振興策に(形だけだが)触れたことを記憶しておられるだろう。
 
Time040306 『TIME』誌の表紙には、氷の溶けかけた海面を心配そうに眺めるシロクマの写真をあしらい、その脇に「心配だ、すごく心配だ(Be worried. Be very worried.)」という大きな文字を配し、何が心配であるかを小さい字で書いている--「気候変動は未来の漠然とした問題ではない。それはすでに警戒すべき速度で地球を傷つけている。それが我々にどう影響し、我々の子、そして孫にどう影響するかをここに報告する」。そして特集記事は、大判のカラー写真を含めて全部で26ページも続く。特集の前半は、自然界がどのように変化しつつあるかを「大気中の二酸化炭素の増加」「気温の上昇と減少する極地や高地の氷」「旱魃と森林火災」などの側面から描いているが、これらについては、本欄でも度々触れたので省略する。

 私が知らないことが多かったのは、特集の後半で報じられている「温暖化防止への実際の取り組み」ついての情報だった。例えば、コールドプレイというロックバンドは、自分のCDアルバムを出版する際、インドのカルナタカの人々のために1万本のマンゴーの木を買ったという。なぜなら、CDの製作・販売の過程で生じるCO2の量が、マンゴーの木1万本が吸収するCO2の量に相当するからだ。これによって、インドの人々は近い将来、マンゴーの実から経済的対価を得られるだけでなく、京都議定書の下の排出権取引制度によって、1万本のマンゴーの木の中に蓄えられたCO2からも利益を得ることができるのだそうだ。

 こういう活動は、有名人でない誰でもできるような枠組みが整いつつあるらしい。例えば、Carbonfund.org (炭素基金)というアメリカの非営利団体は、トン当たりのCO2を5.5ドルで販売している。これはどういう意味かというと、5.5ドルをこの団体に支払うと、そのお金がCO2の排出削減活動をしている団体や企業へ渡り、1トン分の排出削減努力に配分される。だから、CO2を1トン分買った人は、それと同量のCO2を排出しても、地球レベルで考えるとCO2排出量は「ゼロ」ということになる。これが「排出権購入」の考え方だ。Carbonfund.org では、個人が1年間の生活で排出するCO2の基礎量を「99ドル」で売っている。だから、この金額を支払えば、その人は1年間を「CO2の排出ゼロ」で生活したことになるのだそうだ。現在の我々の日常生活では、どんなに努力しても電気やガソリンを使うことになるから「CO2の排出ゼロ」は不可能だ。が、この制度はそれを実質可能にするというわけだ。

 また、化石燃料に依存しない経済を実現するためのスウェーデンの取り組みには、感心させられた。この国は、1970年にはエネルギーの77%を石油に依存していたという。しかし、2003年にはその依存度は34%に減少した。この間、工業生産は劇的に上昇したのに、である。これを可能にしたのは、地理的に恵まれた水力、バイオマス、風力の活用である。しかしそれだけでなく、国の政策も強力なものだった。化石燃料とCO2に課税して技術の進展と自動車の買い替えを図り、灯油から自然エネルギーへと暖房の方式を切り替える家庭には税を一部免除した。現在、同国にはガソリン車はあるものの、ハイブリッド車が多く、またエタノールのほか、植物性廃棄物から作られたバイオガスでも走るという。そして、そういう代替燃料を供給するスタンドが全国各地にあるため、今年2月に販売された自動車の13%が代替燃料で動くまでになっている。だから、同国の持続可能発展相(Minister for Sustainable Development)は、「2020年までには、この国の化石燃料への依存は終ります」と言うのである。

 個人も団体も企業も国も、まだまだやることがあると感じた。
 
谷口 雅宣

|

« 福知山散策 | トップページ | 祈りは治病に効果なし? »

コメント

初めてコメントいたします。 福岡教区白鳩会 壮年層対策部員の酒井幸江と申します。
 先生のプログを学びたくて、3ヶ月前、我が家の収入では高値の花だったパソコンを購入しました。 先生のプログをカテゴリーごとに一生懸命読みました。 地方講師なので御著書は学んで来ましたが、プログから先生を通して、神様が描かれる愛の構図が観えて来ました。 今まで、難しく感じていたお話が霧が晴れて行くように理解出来ました。 
 感動して感謝しておりましたら、教区白鳩会のIT担当になりました。 先生のプログの素晴らしさを皆さんに熱く語ります。 先生のご指導に心から感謝いたします。

投稿: 酒井 幸江 | 2006年4月 3日 20:03

合掌。

ありがとうございます。
「温暖化防止はこれから」というタイトルを読み
初心に帰ることができました。。。
「炭素基金」や北欧の試みなど読みますと
まだまだ日本人の優れた智慧で世界に地球全体に愛を
ささげることができるのではないか、
また地球全体への日本国からの愛のメッセージや態度が
アジアの模範になるのではないかと感じたしだいです。

まずはレジ袋をお断りすることや、ごみをひらうことなど
足元からやっていきたいと思います。
                       再拝

               大阪教区青年会 尾崎伸行

               

投稿: 尾崎伸行 | 2006年4月 3日 23:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 温暖化防止は、これから:

« 福知山散策 | トップページ | 祈りは治病に効果なし? »