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2006年4月 7日

洞窟住宅に住む

 中国では、今でも2千万人もの人が洞窟内の住宅に住んでいることを知っているだろうか。特に、北西部の黄土高原の黄河流域には、現在も新たな住宅が洞窟内に建設されつつあるという。これらの家は、高原の南向きの崖の横穴に造られることが多く、日光によって暖まり、北風から守られるだけでなく、半ば地中にあるため夏は涼しく、冬は暖かい。そして、周囲を平地にする必要がないから環境への影響は最小限で済む。こういう優れた“環境性能”に注目した科学者が、陜西省の洞窟住宅を調査した結果を、このほど米アリゾナ州で開かれたインテリア・デザイン教育者の国際会議で発表した。
 
 発表者はイースタン・ミシガン大学のジャン・ルー助教授(Jiang Lu)で、彼女の研究チームはダンジァシャン(Dang Jia Shan)という30所帯ほどの古い山村の洞窟住宅の生活を調査した。チームは、住宅の構造を調べて測定し、建築材料を撮影し、周辺温度の変化を測定し、そして村民から住宅の機能や建築方法について聞き取り調査を行った。その結果、ルー助教授は「この崖の洞窟に造られた伝統的住宅の特徴は、現代の持続可能なデザインの原則とほとんど一致していることがわかった」という。彼女によると、「これらの洞窟住宅は、“自然との調和”という中国文化の中核的思想を反映しており、この地方の人々とその文化は、環境に過度の負担をかけずに何百年も続いてきた」という。
 
 もっと具体的には、ここの住宅の建築材料はすべて付近から入手し、器具や道具はすべて手を使う簡単なものだから、器具や大型機械の製造や運搬をしないですみ、環境への負担が少ない。また、農地に使えるような貴重な平地に住宅を建てないので、土地の効率的な利用が可能である。そんな意味で、地球温暖化時代の人類の生活を考えるうえで、過去の人類の知恵にも学ぶところは多いと言えるだろう。実際の洞窟住宅の写真は、このサイトで見られる。

 考えてみれば、日本列島は山地で覆われている。南向きの崖など数限りなくあるに違いない。が、崖の洞窟の中に住宅を構えるという話は、あまり聞いたことがない。山形県にある立石寺(通称、山寺)は西暦860年に建てられたものだが、絶壁のような岩山の上に建てられていて、洞窟を掘ってその中に堂を造るという形式はとっていない。また、日本各地には自然にできた洞窟が多くあるが、その中に小さな祠を建てることはあっても、そこで人が生活することはないだろう。日本人も古くから「自然との調和」を心がけてきたのだから、中国の洞窟住宅のような工夫がどこかで行われていたと思うのだが、どなたかご存じの方があったら御教示願いたい。それとも、洞窟住宅は神仙思想にもとづく中国独特のものなのだろうか。

谷口 雅宣

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コメント

 合掌
 地下に住居を構えることは、良い事らしいですね。
 私も日本でそれが成功している例を知りません。 
 素人の意見ですが、現時点までで世界で地下住宅が成功している土地柄は、乾燥して木々が少ない土地が多いように見受けられます。
 日本で行おうとすると、山肌からは水が噴出す可能性が高いのではないでしょうか。現代の技術なら可能かもしれませんが・・・。
 また、日本の山は、自然の生命力が旺盛で驚くほど沢山の虫がいます。
 丘ほどの高さの裏山に、叔父が冷蔵庫代わりに部屋を掘っていましたが、ムカデやゲジゲジが集まっていました。
 その代わり日本では、昔から木の下住宅がありますね。
 漢民族の行くところ森が消滅すると言われているので、中国の洞窟住宅が、自然との調和が目的だったかどうかは疑問と思いました。

 皇室制度の頁では、長い書き込みをしてしまい、申し訳ありませんでした。
                再拝

投稿: 松尾かおり | 2006年4月 9日 01:28

松尾さん、

 虫と湿気のこと、私も考えました。日本の気候がそういう状態ですから、もしかしたら洞窟住宅は作られなかったのかもしれませんね。ただ、洞窟は必ずしも「地下」ではありませんから、日当たりのいい場所は少しは過ごしやすいかもしれません。

投稿: 谷口 | 2006年4月10日 18:05

 ごめんなさい先生、出来るだけ文章を短くしようとして、誤解を招くような書き方でした。
 地球環境の事を考えると、眠れないような時期があったので、住宅と環境の事を私なりに真剣に考えておりました。
 どうしたら環境に影響を出さないような住居に住めるのか・・・”外に露出しない”方がいいのかどうか迷っておりました。
 しかし専門家でないので、知恵が足りませんでした。
 南向きの斜面を使うと、今でさえ動物達の行き場がないのですが、動物たちはどうなるのでしょうか。
 鹿、猪が食料を求めて山を降りてきて、山すそ付近は見るも無残な有様になってきているのを昨日痛感してきた所です。
 ”地下”ではだめなのでしょうか。例えば、いっそのこと海底では?氷河が溶ければ、6メートル海面が上がると聞きました。(他の予測もあると思います)
 海辺に故郷の家がある人間として、他人事ではありません。
 本当かどうか分かりませんが、地下に住居を作るのは、精神性の深まりを表すと耳にしたことがあります。
 私たちはどうすべきなのか、胸の痛む問題です。

 いつも善導をありがとうございます。

投稿: 松尾かおり | 2006年4月10日 23:16

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