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2006年4月18日

竹林へ行こう

 今朝、庭のタケノコを4本採った。2本を隣家の父母に渡し、残りを妻が茹でた。今春2回目の収穫だが、東京のど真ん中で採りたてのタケノコが食べられるということは、感謝してもしきれない。若竹煮やタケノコ御飯、木の芽和え、ちらし寿司、中華スープ、八宝菜、野菜餡かけ、タイ・カレー……など、多くの料理に使える。もちろん私が使うのではなく、妻が使う。私は「食べる人」だけでは申し訳ないので、毎年この時期になると「掘る人」の役を買って出る。庭の南西の隅にモウソウ竹の林があるので、子供がまだ小さい頃は、彼らを動員して掘った。その際、庭の真ん中や軒下、あるいは既存の竹の脇など「出てはいけない」場所に出たものを優先して採る。そして、翌年のことを考えて、伸びるべきところのものは放っておく。そんな付き合い方をしてきたが、モウソウ竹は地下茎でどんどん広がっているのである。

 4月17日の『産経新聞』が「主張」欄で、モウソウ竹林の放置問題を取り上げている。日本全国の里山で、世話する人がいなくなった竹林が荒れ放題で拡大し、景観を損ねているだけでなく、生物多様性の減少問題も引き起こしているという話だ。そこで、これを積極的に利用して燃料に使えば、CO2の排出削減にも役立つというのだ。とてもいいアイディアだと思う。
 
 2月2日の本欄でお伝えしたように、ブッシュ大統領は今年の一般教書演説で国内での代替燃料の開発を推進する考えを打ち出したが、その演説の中に「トウモロコシからだけでなく、木屑や雑草などからもエタノールを作れる革新的な技術研究を進め、2025年までに中東から輸入される石油の75%を代替できるようにしたい」という野心的な構想があった。アメリカは世界最大のトウモロコシ生産国だが、その多くは動物の飼料になる。注目すべきはそういう穀物ではなく、「木屑や雑草」からエタノールを生成するという発想である。それがもしできれば、アメリカの国土の広さから考えても、温暖化防止に大きく貢献すると思うのだ。国土の狭い日本の場合は「木屑や雑草」ではなく、成長が速い「竹林」の活用を考えてみたらどうだろう。竹林を「厄介者」と考えないことだ。それは“春の味覚”の宝庫であるだけでなく、代替燃料の生産地であり、地震の際の安全地帯でもあるからだ。
 
 私は生長の家の講習会で日本各地を回るが、竹林の無秩序の拡大で荒れている山を見るたびに、心が痛む。竹と真面目に付き合えば、竹は人間に多くの恩恵を与えてくれる。これをエタノールにするのが現実的であるかどうか分からないが、中国産の安いタケノコばかり食べ、裏山のタケノコを放置して自然を荒れ放題にしておくのでは、知恵のない国民と思われても仕方がないだろう。

 私の仕事場の隣にある中学校の庭にも、まだ狭いモウソウ竹林がある。先日、数人の生徒がタケノコを眺めているのを見た。興味津々の様子だった。皆さん、子供に竹との付き合い方を教えてあげてください。タケノコはスーパーにではなく、裏山にあることを見せてあげてください。

谷口 雅宣

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コメント

谷口 雅宣 先生:

竹はコルクと共にエコフレンドリー素材として最近アメリカでは結構使われています。よく聞くのが家の床のハードウッド素材として竹を使うことです。エコフレンドリー素材を置いてある店などに行くとあるようですが、一般よりは多少値段が高いようです。しかし、好んで使うデザイナーもいて、テレビなどでは時々紹介されます。以下のアドレスは一つの例です。

http://www.marigoldlane.com/articles/bamboo.html

川上真理雄 拝

投稿: Mario | 2006年4月22日 01:56

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