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2006年4月 3日

祈りは治病に効果なし?

 4月1日付の新聞各紙に、病気治癒のための祈りの効果を科学的に検証した結果を伝える記事が載った。それによると「祈りは無効果」だそうだ。『朝日新聞』の見出しは「“祈り”の効果なし?」と疑問符入りだが、『京都新聞』は「祈りは病気回復に効果なし」と断定する。宗教に携わる者にとって、こんな書き方をされては身も蓋もない。実際に「効果あり」との礼状や報告を毎日のように受け取っているのだから、このニュースによる“認知の不協和”は深刻である。いったいどう考えたらいいのか--それを考えてみよう。
 
 私は『京都新聞』に載った共同電と『朝日新聞』、そして『ヘラルド・トリビューン』に載った記事を読んだが、研究の内容についてそれぞれの説明が微妙に違う。そこで、最も詳しく書かれた『トリビューン』紙の記事をもとに、この研究がどう行われたかを記述してみよう。

 まず、記事の結論部分にはこうある--「見知らぬ人に祈ってもらっても、心臓手術を受けた患者の回復には何の効果もなかった、ということが、長期にわたる大規模な研究によって明らかになった。そして、自分が祈りの対象であると知っていた患者の方が、そうでない患者よりも、不整脈などの術後の合併症に罹る率が高かった」--こういう書き方だと、「祈りは無効果」という単純な断定とは、少し印象が違ってくる。ポイントは「見知らぬ人に祈ってもらう」というところにあるようだ。記事の紹介を続けよう--
 
 この研究は、心臓バイパス手術を受けるために6つの病院に入院していた1802人を対象にして行われた。これらの患者は3つのグループに分けられ、このうち2つのグループは祈りの対象となったが、残りの1グループの患者は祈りの対象にならなかった。祈りの対象となった患者のうちの半数には、自分たちが祈られていることを知らせたが、他の半数の患者には、祈られているかいないかは分からないと告げたという。実際の祈りは3つの教会に所属する信者が行い、対象となった患者の名前と姓の頭文字(例えば、ジョージ・B)を祈りの言葉の中に入れて行われた。祈りの仕方については、各教会の自由にさせたが、祈りの中に「手術が成功して早く回復し、合併症が起きないように」という言葉を入れることを条件にした。
 
 そして、手術後30日たってから、対象者の病状を調べたところ、祈られた患者とそうでない患者の間には、統計的に有意な差はなかったという。また、自分が祈られたことを知っていた患者(59%)の方が、よく知らなかった患者(51%)よりも合併症を生じる率が高かったという。この違い(51%と59%)について、論文の執筆者はそれが偶然起こる可能性を否定していない。しかし、自分が見知らぬ人に祈ってもらっていると知ることが、自分の病状に不安を抱く原因になるかもしれないとも言っている。つまり、「自分はそんなに悪いのか……」と不安に思うということだ。このことは、自分が祈られていることを知っていた患者の方が、そうでない患者よりも術後の状態が悪い場合が多かったこととも、関係があるかもしれない。前者では18%、後者では13%の患者が、手術後に心臓発作や脳血管障害を起こしたという。
 
 この研究が注目されていた理由は、それが「長期にわたる大規模な研究」であるだけでなく、研究の主任者が心と体の問題に詳しい心臓外科医、ハーバート・ベンソン博士(Herbert Benson)だったからだ。ベンソン博士の研究は、私が『心でつくる世界』(1997年、生長の家刊)でも取り上げている(p.256-257)ように、“偽薬効果”(プラシーボ効果)がなぜ起こるかを究明しようとするもので、研究の背後には「心の働きが肉体に影響する」という仮定が当然存在していたはずだ。にもかかわらず、「祈りは無効果」という結果が出たとすると、同博士にとっては衝撃かもしれない。
 
 しかし、生長の家での祈りの仕方についてご存知の読者は、この研究で使われた祈りの言葉に問題がある可能性に気づかれただろう。実際の論文を読んでいないので確かなことは言えないが、新聞記事の伝える限りでは、祈りの言葉は「手術」と「合併症」を心に深く印象づけるもののように思われる。また、この研究では、患者本人が祈ってくれる“見知らぬ人”を信頼しているかどうか、あるいは神を信じているかどうか、はたまた何教の信者なのか等の問題をあまり重視していないと思われる点に、不満が残る。病人が他人に快癒を祈ってもらう場合は、自分の信じる特定の宗教の、場合によっては特定の人に依頼するのが普通だろう。この研究に、そういう細かい配慮がなされているかどうかは不明である。

谷口 雅宣

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コメント

毎日楽しみに先生のブログを拝読しています。

治病にプラシーボ効果は大きいと思います。
病気のことではありませんが私は先月商売上で大きな体験をしました。
3月12日(日)は生長の家の講習会の日であり、商売においては合同展示会の日でもあったのです。
去年から講習会のお誘いを受けており、出席したいと返事をしていましたからほとほと困りました。

商売を取るか、講習会出席かの決断を迫られました。

ところが運良く、1週間前に別の会場でも合同展示会を行われることを知り、私は1週間前の展示会に参加し、講習会にも出席することに決めました。

そこから奇跡が始まったのです。
なんと決心した時から売れ出したのです。

展示会では近年にない売り上げとなり、3月の売り上げは前年比、計画比共に200%以上の達成となりました。

講習会出席と売り上げアップが単なる偶然なのか、必然なのか、この結果を通し、何を気付くべきかは分かりません。

病気とは関係のないことかもしれませんが喜びの報告です。

お誘いをして下さった方と共に、心から感謝しています。
ありがとうございました。

投稿: 太田高明 | 2006年4月 5日 00:00

太田さん、

 万難を排しての講習会への参加、有難うございます!
 どういうお仕事が存じ上げませんが、普段の生活のパターンから大きくはみ出す(抜け出す)ことで、人生の領域が新しく拡大することがあります。今回は、もしかしたらそういうケースではないでしょうか。

投稿: 谷口 | 2006年4月 5日 14:40

谷口雅宣先生

 国際部アジア・欧州・大洋州課の阿部哲也です。

 4月1日はたまたま新聞をゆっくり見ていたので、『朝日新聞』の国際面の左上に小さく出ていた『「祈り」の効果なし?』という見出しが目に飛び込んできました。記事では、「祈りのマイナス効果」が強調されている気がして、「あれれ?」という感じでした。

 それで、私も英語の勉強のため3年前ほどから購読している『ヘラルド朝日』に関係する記事がないかを探したら、1面にのっているのですね。そして、先生が書いておられますように、記事のトーンが『朝日新聞』と少し違っているように感じました。

>> しかし、生長の家での祈りの仕方についてご存知の読者
>> は、この研究で使われた祈りの言葉に問題がある可能性に
>> 気づかれただろう。実際の論文を読んでいないので確かな
>> ことは言えないが、新聞記事の伝える限りでは、祈りの言
>> 葉は「手術」と「合併症」を心に深く印象づけるもののよ
>> うに思われる。

今度「祈り」の効果について実験する方は、ぜひ、「既にあなたは完全円満な健康そのものです」等の、生長の家のお祈りの仕方で実験して頂くと良いと思います。

しかし、その次か次の日あたりのABCニュースで、キャスターのエリザベス・バーガスさん(確かにジュリア・ロバーツに似ていますね…)が、イラクで誘拐されたアメリカ人女性ジャーナリストが解放されたことを伝えるニュースの冒頭部分で、「Our prayers were answered」と言っていた(ように聞こえた)のがとても印象的でした。「祈り」は日常生活に溶け込んでいるのですね、特にアメリカにおいては。

 私は今回の記事を読み比べて、翻訳されたものは、どのような記事をどんな意図で翻訳するかによって、受け取る人の印象が違ってくることを改めて感じました。海外在住の幹部や信徒の方々との窓口業務をする私たちにとっては、とりわけ言語が変わるときには、それぞれが発するメッセージを正確に把握し、こちらからも正確に発信することがいかに大切であるかを思い知らされた気がいたしました。

 阿部 哲也 拝

投稿: 阿部 哲也 | 2006年4月 5日 17:23

ありがとうございました。

私は岡崎市で電気店を営んでいます。
3月はプラズマテレビの50V型が1台、42V型が1台、37V型が5台、液晶テレビの32V型が2台とテレビ中心に大型冷蔵庫2台、ヒートポンプ式の斜めドラム洗濯機3台、お掃除ロボットのエアコンが3台等々近年にない売り上げでした。
量販店攻勢の市況の中、従業員ゼロの個人経営の電気店ですから、この成果はとても自分1人の力であるとは思えません。
目に見えぬ何者かが後押しをしてくれたようにも感じました。

投稿: 太田高明 | 2006年4月 5日 21:20

阿部さん、

 宗教を医学的に考えるというのは、なかなか難しいですね。

太田さん、

 今年は液晶やプラズマなどの大型テレビが随分売れているんですね。ニュースでもやっていました。ところで「お掃除ロボットのエアコン」って何ですか? 興味あります。

投稿: 谷口 | 2006年4月 7日 14:03

お掃除ロボットエアコン

「キレイキープシステムで10年先までお手入れいらず」と宣伝しています。
 
吸引ノズルが左右に動いて掃除するシステムになっています。
吸引ダクトがこすり取ったホコリを吸い取ります。
排気ダクトでホコリを屋外へ。排気量はごくわずか、1回のホコリ量は約6mg(実測値)わずか耳かき2~3杯分です。
空気の汚れ具合、フィルターのホコリ量、エアコンの使用時間をエアコンが自分で考えて、お掃除回数をコントロールします。
エアコンを使うたびに毎回お掃除しますから、手間なしでずっと清潔、ずっと省エネになり、吹き出し口も汚れを寄せ付けず、風を送り出すファンも清潔です。
自分ではお掃除しにくい熱交換器をエアコンが自動で除菌。お手入れなしで、手の届かない奥まで清潔に保ちます。
送風運転で内部を乾燥させるとともに、熱交換器を過熱。ニオイを除去しカビの繁殖を抑制します。
冷房または除湿運転スタート時、熱交換器に付着したニオイの成分を洗い流すことによって付着したニオイの元を取り除きます。

お掃除ロボットエアコンは今年で2年目ですが、CO2を減らすための6つのアクションである「チームマイナス6%」に取り組んでいますから、夏場の主力商品になります。

投稿: 太田高明 | 2006年4月 7日 18:40

太田さん、

 「お掃除ロボット」の意味、やっと分かりました(笑)!
 メーカーは、いろんなことを考えるんですね。

投稿: 谷口 | 2006年4月 8日 20:11

「2006年4月 3日
祈りは治病に効果なし?」の記事をたまたま読みましたが、面白い記事ですね。私も大学の研究所で、祈りに関する実験をしたことがあります。植物の成長に対する祈りの実験ですが、結論から言うと、①祈りは植物の成長に明らかに効果がある。②祈る回数が多いほど効果が大きい。 ③対象物(植物)と祈る人間が数キロ離れていても、祈りの効果がある。というものでした。ご参考までに。

投稿: 通りがかりの者 | 2008年5月 4日 20:20

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