本欄が書籍に (2)
本欄の昨年7月から10月分がまとまった本、『小閑雑感 Part 5』(世界聖典普及協会刊)ができた(=写真)。昨年12月25日の本欄で前作の『Part 4』の発刊について書いたから、ちょうど4ヵ月で1冊ということになる。前作の総ページ数が264ページなのに比べ、今度のは296ページとやや厚くなった。文章の数は94篇から89篇に減ったのだが、1回分の文章がやや長くなったためと、絵や写真の数が少し増えたからだろう。内容的には、前作よりも「地球環境問題」「エネルギー問題」「宗教・哲学」「文化・芸術」に関する文章が増え、「遺伝子・生命倫理」「ハイテク・先端技術」に関するものがやや減っている。新しく「映画」の感想文も入った。
シリーズものでは、前作から続く「芸術は自然の模倣?」の(4)~(6)を初め、「スーフィズムについて」(6回)、「ロンドンのテロ」(4回)、「石油高騰の“効果”は?」(2回)、「信仰と進化論」(2回)などが含まれる。この時期に、私の関心がどこにあったかを窺わせる。
収録された89篇は、誤字、脱字、変換ミス等を修正したほかは、本欄に現在もある文章とほとんど変わらないが、一つだけ大きく変更したものがある。それは、10月30日付の「太陽光発電の導入盛ん」という文章で、本欄ではこの日付の時点で入手できたデータに基づいて書いてある。が、この『Part 5』の本の中では、校正の最終段階--具体的には今年の3月18日--で入手できたもっと新しいデータを突っ込んだ。“邪道”かもしれないが、この本の発行日が今年の「5月1日」であるのに、半年前の古いデータによって「平成17年度」(17年4月~18年3月)の成果を説明することは、統計的に正しくないと思ったからである。
この文章を書いている現在は、さらに新しいデータが入ってきているが、それによると、平成17年度の生長の家関連の太陽光発電導入実績(3月末締め)は、「過去最高」となっている。この運動に協力していただいている皆さんに、心から感謝を申し上げたい。
前作の『Part 4』と今回の『Part 5』、そして現在も時々触れることで、アメリカが大きく関わっている重要事項が2つある。それは「イラク戦争」と「地球環境問題」だ。私は『Part 4』でイラク戦争は間違いであると書いた(2005年4月2日)。現在、この考え方はアメリカ国内でも大方の受け入れるところになっていると思うが、当時はまだ“正戦論”が優勢だった。また、同年3月18日には、ブッシュ政権のエネルギー政策の中核をなしていたアラスカの石油開発を可能にする法案を、米上院が僅少差で可決したことを書いた。しかし、今年2月2日の本欄で書いたように、今年の一般教書演説でアメリカの「石油中毒」を認めた同大統領は、今やこの政策を後退させ、原発の増設や石炭の利用、エタノールの生成技術の振興、自然エネルギーの利用、次世代ハイブリッド車の開発を行うと宣言している。
1年で、世の中は変わるものだと思う。社会が中東の石油に依存していることが、国の安全保障上の問題を惹き起こし、“石油中毒”の生活がハリケーンの巨大化等の地球環境悪化を招いていることを、ブッシュ氏自身が認めるようになったと解釈できるからだ。しかし、原発や化石燃料の温存では、問題解決の先延ばしにすぎず、次世代への責任を果たすことができない。アメリカに安全保障を頼っている日本にも、全く同じことが言えるのだが、日本政府は別の方向を見ているようで、歯がゆいばかりである。
谷口 雅宣
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