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2006年2月21日

都庁ビルが「雨漏り」!

 あの48階建ての豪華な都庁ビルが、こともあろうか「雨漏り」に悩まされているそうだ。今日の『朝日新聞』夕刊の4段抜きの見出しを見て、私は自分の目を疑った。完成してわずか15年、総工費1570億円の“現代の江戸城”が、本格的に修繕すれば1000億円もかかるほど傷んでいるなんて、信じられない話だ。「耐震強度偽装」は生命の危険があるが、「雨漏り」にはそれがないから、建築会社は免責されるのだろうか。それとも設計がお粗末だったのなら、設計士が御用か。東京生まれ、東京育ちの私にとって、税金のこれほどのムダ遣いは「腹立たしい」のを超えて、「あーあー」と慨嘆するほかない。記事のリードには、こうある--「バブルの塔」は、首都東京の未来に大きな負の遺産となりかねない。

「バベルの塔」の間違いではないかと思ったが、これはシャレなのだ。バブル経済の中の税収で建てたのだから「バブルの塔」というわけだ。しかし、私は昔この庁舎に「バベルの塔」を見て一文を書いたことがある。それは4年前の5月で、『小閑雑感 Part 3』(世界聖典普及協会刊)に収録されている「バベルの塔は崩壊する」という文章だ。他人の金で豪華な建物を好き勝手に造るメンタリティーを批判したのだが、別に予言するつもりではなかった。『朝日』の記事によると、この庁舎の維持費は年間約「18億円」、光熱費を含めた年間の管理経費は「34億円」にもなる。確定申告の季節に、この壮大なムダ遣いを思い出してはいけない。私は自分がスパイダーマンになって、あの高層ビルに巨大な横断幕を張ることを想像した。そこには、極太の書体でこう書くのだ。

 「都民の皆さん、健康のため庁舎の見すぎに注意しましょう」

 都民でない読者は、どう思われるだろうか。上記の一文にも書いたことだが、県庁や市庁舎や、最近では町役場でさえ、新築される地方公務員の仕事場としては立派すぎるものが多い、と私は思う。豪華なビルは、往々にして光熱費も維持費もかさむから、納税者への負担もかかる。しかし、一方では、そういう“金食い庁舎”を歓迎し、誇りに思う人もいるようだ。「オラが県庁」「私の市庁舎」というわけだろうが、私にはそういう感覚がよく理解できない。多分、江戸時代からの感覚が残っているのではないか。もしそうであれば、私は豪華な金食い庁舎を建てるよりも、いっそのこと昔からあった各地の城を復元した方がいいと思う。現在、日本の地方都市では、城を取り壊して公園にしているところが多い。しかし、公園はどこにでもあるのに比べ、城はその土地のオリジナルだから、地方振興にも寄与するはずだ。同じ維持費をかけるのであれば、公務員の福祉と地方文化の育成のどちらを優先すべきだろうか?
 
谷口 雅宣

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