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2006年2月 8日

ニューギニアの“楽園”

 日本のトキやニホンオオカミばかりでなく、世界各地で生物種が絶滅に追いやられている中で、人間に未知の生物種がまだ発見されつつある。植物の世界ではそんな話を聞いたことがあるが、動物にも新種はまだまだ存在するらしい。しかも、1種や2種でなく「何ダース」もの未発見種がニューギニアの奥地で見つかったのだ。2月8日付の『ヘラルド朝日』が伝えている。

 記事によると、昨年12月、インドネシア東端のニューギニア島に広がるフォジャ山地(Foja Mountains)へ入っていたアメリカとインドネシアの探検隊は、前人未踏の熱帯林の中に見たこともないような動植物が棲息する小世界を発見したという。カエルの新種20種、チョウ4種を初め、ヤシの新種は少なくとも5種、また別の地で絶滅したと思われていた大型哺乳動物など、何ダースもの珍しい生物種が同定された。探検隊のリーダーの一人であるブルース・ビーラー氏(Bruce Beehler)によると、隊が動いたのは半径にしてほんの数キロの範囲で「まだ表面を引っかいた程度」というから、もっと多くの新種の生物が発見される可能性がある。

 これらの生物の多くは人間を恐れず、掴まれるままになるものもいる。中でも科学者を驚かせたのは、捕獲されすぎて絶滅したと思われていた、樹上生活をする金色マント・カンガルーという哺乳動物と、目の周りに鮮やかな橙色の肉垂れのついたミツスイ科の鳥の新種だという。私には何のことだかよく分からないが、探検隊の撮影したカラー写真が見れるようになっているから、興味のある読者は同紙のサイトを参照していただきたい。
 
 こういう話を聞くと、私は昨年2月に静岡県で生長の家講習会があった後、掛川市の「花鳥園」に行ったときのことを思い出す。天井の高い温室の中で花が咲き乱れ、極彩色の鳥が飛び回る空間へ足を踏み入れた私は、しばし言葉を失ったものだ。鳥は人間に馴れているから、私の肩や頭にとまるのを躊躇しない。妻は恐がってそれを避けたが、私は表情を緩めて肩にとまった鳥たちに声をかけようとした。もちろん、こんな環境はきわめて人工的だ。しかし、危害を加えない動物たちと交流をもてることは、人間にとって喜びであることがよく分かる。昨今のペットブームも、そんな喜びを求める人が増えていることを示している。そういう動物たちを、人間の生活の場へ連れてきたい気持はよく分かるのだ。

 しかし、これは人間の煩悩なのだろう。人類は古来、そういう気持を満足させようとして、多くの動物たちを絶滅に追いやってきた。また、生態系の撹乱ももたらした。もちろん、それとともに、イヌやネコ、家畜のような人類の“伴侶”も生み出してきた。が、全体的に言えば、絶滅種の数の方が“伴侶”の数よりも圧倒的に多い。今回発見されたニューギニアの“楽園”も、人間の煩悩の被害に逢わないことを祈るのである。
 
谷口 雅宣

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