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2006年2月10日

“環境”に目覚めたキリスト教保守派

 ブッシュ大統領が一般教書演説で「アメリカは石油中毒」だと認めたことが影響したのか、京都議定書を蹴った彼の国でも、環境保護派の勢いが増してきたようだ。

 その中で注目されるのは、同大統領の選挙基盤の一つである保守派の宗教指導者たちが“環境志向”に転換しつつあることだ。2月10日の『産経新聞』によると8日、保守派のキリスト教指導者八十数人が、ホワイトハウスの前でブッシュ政権に対して温暖化対策強化を求め、発電所、製油施設、運輸業界などに対して、温室効果ガス排出削減を強制する法律を制定するよう訴えるキャンペーンを張ったという。

『ニューヨークタイムズ』はそれを事前にキャッチし、前日の紙面で「仲間の反対を押し切って86人のキリスト教保守派(evangelical Christian)の指導者が地球温暖化防止の大きな動きに同調することを決めた」と報じた。この指導者の中には、救世軍の指導者やベストセラーを書いたリック・ワーレン氏(Rick Warren)も含まれている。キャンペーンの趣意書は、「我々のほとんどにとって、この(地球温暖化の)問題は最近まで重大な問題、あるいは早く取り組むべき問題ではなかった」とし、「事実、我々の多くは、地球温暖化が本当のことであり、クリスチャンとして真面目に取り組むべき問題だと納得するまでに、相当の議論が必要だった」と認めている。「しかし」と趣意書は続き、「今や、我々は充分に納得した」と宣言する。彼らの関心は、「気候変動によって、今世紀中に何百万人もの人々が死ぬかもしれない。そして、そのほとんどは我々の地球上の最も貧しい隣人たちである」という点にある。

 このキャンペーンは「福音主義による気候に対する発議」(Evangelical Climate Initiative)と名づけられ、温室効果ガスの排出削減のための法律制定を実現するため、テレビやラジオを使ったコマーシャルのほか、教会やキリスト教系大学での情報イベントなども計画されているという。ABC放送も9日(日本時間)に放映されたニュースでこれを取り上げ、ECIのコマーシャルを紹介したり、リック・ワーレン氏のインタビューを流した。そして、地球温暖化がキリスト教者の問題である理由として、「神の創造になる地球を大切にしなければならないし、隣人を愛することが必要だから」と解説した。が、その一方で、キリスト教保守派内部では、地球温暖化に対する考え方がまだ割れていると伝えていた。
 
 ECIのウェッブサイトによると、彼らの主張は次の4点からなる--①人間が気候変動を起こしていることは真実である、②気候変動の影響は大きく、貧しい人々に最も厳しい結果をもたらす、③キリスト者としての道徳的信念がこの問題への対応を要求する、④今行動しなければ手遅れとなる。この主張の神学的な裏づけも書かれているから、参考にされたい。

 何年も前に、生長の家が環境に配慮した業務や伝道に真面目に取り組もうと「ISO14001」を取得したとき、「何をもの好きな」と思われた方々もいると思うが、宗教が人間のためだけでなく、地上の生物すべてに対しても“神の愛”を現す助けになるべきことが、世界的にも理解されつつあるのは嬉しいことだ。日本の一部には、環境問題の根源はユダヤ=キリスト教の伝統的考え方にあると指摘する人がいるが、明治維新以降、神道の国・日本が自然破壊のお先棒をかついで来た事実は否定できない。人間中心主義が全世界に蔓延してしまった今日、人類全体の責任を一部の宗教に帰しても、善い結果は何も生まれないと思う。目覚めた者同士が協力して進む以外に道はないのである。

谷口 雅宣

 

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