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2006年2月 3日

走り出した次世代ハイブリッド車

 1月31日の本欄でレスター・ブラウン氏の提唱する「改良ハイブリッド車」の話を書いたら、山岡睦治氏からのコメントで、「すでにその車は試作されている」ことを教えていただいた。さらに、メイ利子氏のコメントにあったホワイトハウスのウェッブサイトを読んでみると、今回の一般教書演説の解説の中で、ブッシュ大統領自身もその車を念頭に置いていたことが分かった。「知らないのは自分だけか!」と驚いてしまった。アメリカでは「改良ハイブリッド車」とは呼ばず、「Plug-in hybrid vehicles (PHEVs、充電式ハイブリッド車)」と呼ぶらしい。そのうちトヨタのプリウスを改良したものが「プリウス+」と呼ばれている。

 プリウス+を推進しているのは、米カリフォルニア州の非営利法人、カルカーズ(CalCars)で、「100+MPG」という燃費効率の自動車の製造をメーカーに勧める運動をしている。100+MPGとは「1ガロンで100マイル以上走る」という意味で、メートル法に換算すると「リッター当たり42キロ以上」の燃費効率である。カルカーズのウェッブサイトによると、ここで鉛蓄電池を搭載した「プリウス+」の第1号を試作されたのは、2002年9月だという。また、カリフォルニア大学デービス校(UCD)のアンディー・フランク教授(Andy Frank)を中心にしたグループは、同大の高度ハイブリッド車研究センターで市販のセダンとSUV車を改造したPHE車をすでに9台製作しているという。

 彼らによると、PHEVは“次世代ハイブリッド車”であり、動力は電気が主体となり、ガソリンはオプションとなる。通常の120ボルトの電源で充電できるから、電気の通っている所ならどこへでも行けることになる。そして、電気走行時は排ガスゼロのクリーンカーだ。さらに、この車に電気アウトレットを付ければ、家が停電した時などの非常時に、家電を一時的に使うことができる。

 大手自動車メーカーでPHEVを最初に試作したのはダイムラー・クライスラーで、ドイツのマンハイム工場で15人乗りのベンツのバンに、ニッケル・メタル電池あるいはリチウム・イオン電池を積んだものを2003年中に製作したらしい。カルカーズは、2002年秋の第1号に続いて、2005年の1~4月にかけてプリウス+の試作第2号と第3号を製作している。そして、プリウスのほかにも「フォード・エスケープ・ハイブリッド」「レクサスRX 400h」「トヨタ・ハイランダー」などのPHEV化を検討しているらしい。また、ACプロパルジョン社は、フォルクスワーゲン・ジェッタを改造して電気、ガソリン、天然ガスの3つを使えるPHEVを製作した。その他、三菱自動車、南カリフォルニア・エジソン社、ルノー社なども、PHEVの試作車をすでに製作ずみという。

 このような背景を知ってから、先日の一般教書演説についてのホワイトハウスの次の解説文を読むと、今回の大統領の意図がより明確になる:

[より効率的な車の開発]現在走っているハイブリッド車は、エネルギー省で開発された電池を使っています。大統領の計画により、ハイブリッド車と充電式ハイブリッド車のために次世代の電池技術の研究が加速されるでしょう。現在のハイブリッド車では、搭載した電池への充電はガソリンエンジンからしかできません。充電式のハイブリッド車は、電気でもガソリンでも走れ、夜間に家庭の電源に差し込んで充電することもできます。この型の車ができれば、都会の通勤時にはガソリンほとんど不要になります。高度な電池技術は、短期間に石油の消費を相当に減らす可能性を秘めています。2007年度の予算には、この電池技術の開発を急ぎ、電気での車の走行距離を伸ばすために、06年度より670万ドル多い3000万ドルを充てています。

 自動車のハイブリッド技術は、日本の発明だ。しかし、次世代の充電式ハイブリッド車では、アメリカが本腰を上げて“起死回生”を図ってきたように見える。この技術は、環境保全と安全保障の両面で優れていることは、アメリカでも日本でも同じだ。日本もアメリカに遅れをとらないように、得意な技術をさらに磨き、化石燃料に頼った生活から早く脱却しようではないか。
 
谷口 雅宣

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