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2006年1月27日

サツマイモ、食べてますか?

 真夏のブラジルから帰ってきたため、よけいに寒さが身にしみるのかもしれないが、こう寒いと、町角の焼きイモ屋の前で立ち止まりたくなる。あの甘い香りとホカホカの熱さの誘惑には、逆らいがたいものがある。が幸い、私の妻はサツマイモ好きで、家にいるときはほとんど毎朝、それにありつける。かつては“救荒作物”とか“食糧難の食事”とか、英語でも“貧者の食物”(poor man's crop)とか言われていたサツマイモだが、最近は利用価値が各方面から見直されているようだ。

『朝日新聞』の夕刊にちょうど「さつまいもシンデレラ物語」(27日に終了)という記事が連載されていて、サツマイモの効用を学ぶことができた。暑さに強く、やせ地でもよく育つため、アフガニスタンやスリランカでも日本の援助で栽培が始まっているという。食物としては、繊維量がジャガイモの2倍近くあるため排便促進の効果があり、ポリフェノールも多く、糖度もあるから評価が高い。また、米アラバマ州のタスキギ大学では、NASA(米航空宇宙局)の委託により蛋白質とアミノ酸が通常の3~5倍のニュー・スイートポテト(新サツマイモ)の開発に取り組んでいるという話だ。その目的は「肉なしでも生きていける完全食品」を作るためだという。
 
 食品以外の用途としては、燃料用アルコールや、生分解性プラスチックの原料にもなるといい、千葉大学の古在豊樹学長(62)の言として「食糧とエネルギーを奪い合い、環境破壊が深刻化する」現代にあって、「この3大問題を同時に解決できる」と紹介してあった。このため、トヨタは2000年に10億円をかけて同大と共同で栽培施設を開設したそうだ。

 1月23日の本欄で、ブラジルでの生長の家国際教修会で「肉食の弊害」を扱ったことを書いた。上に挙げたNASAの計画と古在学長の話は、関係がないようでいて関係があるように思う。というのは、宇宙空間では最も効率よく育ち、最も栄養価がある食品が求められるが、人口増大により資源を極限まで使いつつある“宇宙船地球号”でも、同じことが求められると思うからだ。今どきの牛は、肥育のために穀物を大量に与えられており、そこから採れる牛肉1キロに必要な穀物は7キロと言われている。人類が肉食を増やせば増やすほど、地球の資源は枯渇し、環境破壊が深刻化するのである。

 地球政策研究所のレスター・ブラウン所長は、経済発展目覚しい中国やインドがこのまま化石燃料にたよった成長を続けていくと、環境破壊が進み、人類を含めた生物多様性に甚大な被害が及ぶことを警告している。つまり、“経済大国”中国に住む人々の胃袋を満たすために穀物が足りなくなり、貧しい国々の飢餓が深刻化する。その穀物不足を補えるかどうかは、“食糧大国”ブラジルの農業政策にかかっているという。しかし、ブラジルが農地拡大のためにアマゾンやセラードの開発を際限なく進めれば、地球温暖化は後もどりできない状態になる--と警告しているのだ。(『プランB』参照)
 
 27日の『ヘラルド朝日』紙には、中国での鶏肉消費とダイズ輸入の関係が書いてある。それによると、中国にはダイズを破砕して動物の餌にする能力が7000万トン分あるが、昨年は鳥インフルエンザが流行して2100万羽以上の鳥が殺処分されたため、飼料工場の操業は停滞しているという。にもかかわらず、昨年のダイズ輸入は前年より31%増えて2660万トンとなり、今後5年間はさらに40%増えて3500万トンに近づくという。中国はダイズの国内消費の半分以上を輸入に頼っており、主な輸入先はアメリカ、アルゼンチン、そしてブラジルである。鶏肉の消費が増えればダイズの国際価格が上がるか、あるいはダイズ生産を増やすための土地が海外に必要になる。これが飼料効率の悪い牛肉の場合は、鶏肉の数倍の土地が新たに必要になるわけだ。

 宗教的な問題を考えない人も、領土や資源・エネルギー面から見て今後、人類が肉食を拡大していくことの危うさに気がついている。牛肉を食べるよりも、サツマイモを食べる方が倫理的であるばかりでなく、地球資源の保全に寄与でき、平和にも貢献できるのである。にもかかわらず、日本の総務省統計局によると、1世帯当たりのサツマイモの購入量は年間3.3キロ(2004年)で、1965年の6.6キロから半減しているそうだ。皆さん、寒い日だけでなく、もっとサツマイモを食べましょう!

谷口 雅宣

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