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2005年12月10日

季語・クリスマス

 前回に引き続いてクリスマスのことを、もう一つ。というのは、生長の家講習会のため新幹線で奈良へ向う車中、月刊『ウェッジ』の12月号に俳人の佐川広治氏が、クリスマスのことを書いているのを読んだからだ。そうなのだ。「クリスマス」は、日本ではすでに俳句の季語になっているのだ。そのことを考えると、古代のローマから2千年の歳月と地球半周をかけて東洋の東の端にまでたどりつくと、宗教行事がいかに変化するかを思い知らされるのである。佐川氏の理解によるクリスマスとは、「キリスト教の最大の祭日」であり、具体的には次のようなものだ--
 
「前日24日から荘厳な儀式が行われる。各家庭では、クリスマスケーキなどを囲んで楽しい夜を過ごす。圧倒的に仏教徒の多いわが国のクリスマスは、西欧諸国とは異なり、プレゼントの交換や若い恋人たちのデートの日であったり、大人たちが歓楽街に出向いたりする風習が一般化した」

 引用の前段は西欧の習慣を描き、後段はそれが日本化した様子を描いているのだろう。「プレゼント交換」や「歓楽街」と仏教の関係はよく分からないが、確かに日本のクリスマスは佐川氏が描く通りに“変形”されていると思う。人の姿で生誕した“神の独り子”の受難を回顧し、神とイエスに尊崇と感謝の念を捧げる記念日が、この国へ来ると、恋人や夫婦が愛を語らう日や、上司や同僚との親睦の日に見事に変質してしまっている。西欧のクリスマスには「神と人」あるいは「キリストと人」という“上下”の関係が明確にあるが、日本のクリスマスには人間同士の“左右”の関係しかない。宗教の周縁を構成する儀式や文化の表現が、明確な変容を示している一例だと思う。

 この俳句の季語としてのクリスマスは、「幸福な人々の親交・親睦の日」というニュアンスを運んでいる。佐川氏は、次の3例をもってそれを証明する--
 
 クリスマス地に来ちちはは舟を漕ぐ (秋元不死男)
 へろへろとワンタンすするクリスマス(  同  )
 クリスマスイヴ好きな人ふたりあり (後藤比奈夫)
 
 私にとってのクリスマスは、西欧的でもあり日本的でもある。11月17日の本欄でも言及したが、幼稚園から大学までミッション系の学校へ通った私は、キリストの誕生劇に親しみ、讃美歌をいくつも暗唱できた。キリストが実際に誕生劇どおりに生まれたと、当時の私が信じていたかどうかは別として、この日が「神」や「キリスト」と直接関係があり、その神やキリストの「愛」を通して、人間同士が愛を与え合うことを学ぶ特別な日であることは自明だった。だから、この特別な日を迎える前夜が、たまたま自分の誕生日であることを、私は誇りに思っていた。結婚して子供ができてからも、私たち夫婦はこの日を家族にとって特別に“楽しい日”に仕立て上げようと、様々な工夫をしたものだ。
 
 クリスマス特大靴下忍び入れ

谷口 雅宣

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コメント

今日はクリスマス・イブです。今晩は、日本の多くの家庭でも、親御さんたち(あるいはおじいさん・おばあさんたち)が「サンタさん」になって、プレゼントを「特大靴下に忍び入れる」夜になることでしょう。

我が家では一人娘がまだ2歳なので、私が「サンタさん」になる必要はまだありませんが、いずれそうなることだろうと思います。

クリスマスの起源とその変容も大変興味深いのですが、それに関連して、「サンタクロース」の起源とその変容についても、面白そうな話題がいっぱいありそうですね。

「サンタさんの存在を信じるかどうか」、あるいは「子どもに何歳までサンタさんの存在を信じさせるか」の問題に、親御さんたちは多かれ少なかれ悩む時期が来るのだと思いますが、雅宣先生はいかがでしたか?

私は、大きくなった我が子から、たとえば「サンタさんて、本当にいるの?本当はいないんじゃないの?だって本当はお父さんなんでしょ、プレゼントしてくれているのは…?」なんていう質問を投げかけられたとしたら、そのときには、次のように答えようと思っています:

「うん、そうだね…。でもね、サンタさんっていうのはね、“プレゼントをあげて、喜んでもらいたい”っていう『思いそのもの』が、その象徴が『サンタさん』なんだよ。だから、その思いを持ったら、誰でもサンタさんになれるんだよ」

これって、いい答えでしょうか…?(笑) これは説得のための便宜的な説明ではなく、私自身、本当にそう考えて自分を納得させている答えなのですが…。

山中 拝

投稿: 山中 | 2005年12月24日 18:35

たびたび失礼します。ちょっとした俳句を思いついたもので…:

クリスマス誰でもサンタになれる夜

失礼いたしました(笑)。

山中 拝

投稿: 山中 | 2005年12月24日 18:39

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