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2005年12月 6日

“京都後”の交渉は難航中

 日本列島は一気に冬に入ったようで、このところ各地で降雪の知らせが続いている。地球温暖化にともなう気候変動がどのような結果をもたらすかは、世界中の気象学者がスーパー・コンピューターを使って予測しようと試みているが、実際のところ正確な予測はなかなか難しいようだ。しかし、科学者の予測している「気象の激化」という点では、今のところその通りの現象が起こっているように感じる。つまり、夏はさらに暑く、冬はさらに寒く、乾期は旱魃が続き、雨期には激しい雨が長く降って洪水が起こる、ということだ。ヨーロッパと北米を覆った寒気団が、韓国や日本にも降りてきているという。

 カナダのモントリオールでは、京都議定書の締約国による第1回会合(COPMOP1)が開かれており、7日からは日本の小池環境大臣も出席して閣僚レベルでの会合が始まる。最大の課題は、京都議定書が期限切れとなる2013年以降の温暖化防止をどのように進めるかという大枠を決めることだが、これが難航しているらしい。京都議定書では、温室効果ガスの削減義務をもっぱら先進諸国に課していたが、この義務を途上国にも課すべきだとの先進国の考えに対し、途上国側が反対しているからだ。また、議定書に参加しなかったアメリカは、「議定書条約交渉の下でのいかなる議論にも反対する」との態度を示しているという。
 
 12月6日付の『ヘラルド朝日』紙によると、難航している原因の一つは、京都議定書での約束--先進38ヵ国が温室効果ガスの排出量を1990年のレベル以下にするという約束--が、さらなる排出削減への第一段階として捉えられているからという。次の段階として考えられるのは今、急速に経済成長を続けている中国やインドにも同様の義務を課すことだが、両国はこれに猛然と反対している。そして、この中国とインドの態度がアメリカの反発を招いてきた。人口において世界最大の中国と第2位のインドが、誰も予想しなかったような勢いでエネルギーを消費していながら、排出削減の義務を追わないのでは実効性がないというわけだ。この議論の背後にあるのは、「主要な温室効果ガスである二酸化炭素は、現状においてはあらゆる経済活動の副産物である」という考えだ。すなわち、経済発展と温室効果ガスの削減は両立せず、どちらを採るかと問われれば、ほとんどの国は経済発展の方を選ぶのである。
 
 しかし、本当にそうだろうか、と私は思う。10月24日の本欄で述べたように、アメリカ南部を襲ったカトリーナやリタのような巨大暴風雨が、温暖化によって増えつつある。そういう極端な気象(extreme weather)が増えるならば、経済発展は災害の被害によって帳消しになるか、もっと悪い場合は“マイナス発展”を招くことになる。温暖化と経済とのこのような関係は政策立案者には自明のはずだが、外交の舞台ではあまり問題にされないようだ。それよりも、彼らは地球温暖化はもはや不可避と考え、将来の温暖化した地球環境の中でどのように自国民や国益を守るかを模索し始めたのだろうか。
 
谷口 雅宣

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