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2005年10月26日

緑のインコ

 昨日、ジョギングで明治神宮外苑へ行ったとき、紅葉しかかったケヤキの上方から聞き慣れた甲高い鳥の鳴き声がするのに気がついて、その姿を目で捜した。ケヤキにはまだ緑の葉も多く、ヒヨドリなど別の鳥の声もするので、その甲高い声の主を見つけるのが難しく結局、姿を見ずじまいになった。が、一羽だけの声ではなく、5~6羽の集団で鳴く声のように聞こえたので、少し安心した。この神宮外苑には、尾の長い、鮮やかな黄緑色のインコが何羽も棲みついている。1ヵ月前ぐらいには、そのインコが上空でカラスに追われる光景を目にして、私は気をもんだ。体長は40センチぐらいで、カラスより一回り小さいから、やられてしまうかもしれないと思ったが、体が小さい分小回りがきくようで、黒い鳥の追撃からなんとか逃れ、木の繁みの中へ姿を消した。

 このインコの一団を目撃したことがきっかけで数年前、「飼育」という短篇を書いた。外来種の鳥が東京でたくましく生きている事実を知った主人公が、自分の家で飼っているブンチョウを逃がす決断をするという話である。ところが今日の『朝日新聞』の夕刊に、「お騒がせ外来生物」という連載記事の第5回として、そのインコが写真入りで取り上げられていた。見出しには「こんなに増えて大丈夫?」とある。名前は「ワカケホンセイインコ」といって東京都内にざっと1200羽もいるのだそうだ。特に、目黒区の東京工業大学大岡山キャンパスには集団のねぐらがあって、1200羽はそこで夜を過ごし、日の出とともに散っていくらしい。もしこの記述が正しいとすれば、外苑のインコは夕方になると目黒区まで飛んで帰るということか。一方、同じ記事には、この鳥は20メートル近いケヤキの大木を繁殖に使うと書いてあったから、外苑のケヤキ(大木が何本もある)に巣を作っているのかもしれない。

 ワカケホンセイインコはインドの中部や南部、スリランカが原産で、日本にはペットとして入ってきたが、それが逃げ出して1960年代末から野生化しているという。「ワカケ」の意味は、首の周りに黒い輪がかかっているような模様があるからだろう。行動半径は20~30キロで、埼玉県所沢市や神奈川県相模原市でも見られるらしい。
 
 日本鳥類保護連盟は、この鳥を「特定外来生物」に指定するようにとの意見書を環境省に出しているという。理由は、花や実を大量に食べ、木の幹に穴を開けるから、木の洞を利用するムクドリやシジュウカラを圧迫するからという。「特定外来生物」とは、ブラックバスやカミツキガメのような生態系破壊の“悪者”につけるレッテルである。もっとていねいな言い方をすると、それは生態系、人の生命や身体、農林水産業への被害があると認めて国から指定されたもので、この指定を受けるとその飼育、栽培、保管、運搬、輸入が規制され、さらに深刻な被害がある場合には防除されることになっている。罰則も厳しく定められていて、それを販売もしくは頒布の目的で飼育すると、個人の場合は懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が課され、法人の場合は1億円以下の罰金となる。
 
 詳しい事情は知らないが、私が見たかぎりでは、この緑のインコは、外苑ではムクドリやシジュウカラと共存しているように見え、逆にカラスに脅かされているようだった。上記の記事では、自然保護協会の横山隆一理事は、「約15年前から1200羽程度で増えない。都市に生息が限定され、生態系への影響は見当たらない」と言っている。カラスが天敵の役割を果たしているならば、個体数は自然に調整されると思うのだが……。

 美しい鳥にはいてほしいが、自然は人間の美醜の感覚に気を使ってくれないこともあるようだ。

谷口 雅宣

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