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2005年10月24日

ハリケーン「α」

 昨日、仙台市で行われた生長の家講習会の午後の講話で、台風やハリケーンなどの暴風雨の“巨大化”と地球温暖化の関係について触れた。このことはすでに9月12日の本欄でも書いているが、科学者の現在の見解は「温暖化によって暴風雨は巨大化する傾向があるが、発生頻度に影響はない」というものだった。しかし今、アメリカのフロリダ半島に上陸しようとしているハリケーン「ウィルマ」は、ハリケーンとしては今年21番目のもので、それ以降に発生するハリケーンの名前はもう用意してないのだという。そして、今日(10月24日)付けの『朝日新聞』では、このほどプエルトリコ南方で発生した熱帯低気圧が発達し、今期22番目のハリケーンとなり、発生最多記録を更新した、と伝えている。

 日本では、台風の呼称は発生順に番号を振っていく単純なものが使われるが、アメリカでは毎年、シーズン到来前にその年に予想されるハリケーンの名前を「21」だけ、アルファベット順に用意しておくのだという。だから、「カトリーナ(Katrina)」の後には「リタ(Rita)」が来て、今は「ウィルマ(Wilma)」なのだ。なぜ「21」かというと、過去の記録からそれ以上多く発生することは予想できなかったからだ。ところが今期は22番目が発生し、名前は「アルファー」とつけられた。これは、もし万が一にも21個以上が発生した場合、「22」個目以降はギリシャ文字のアルファベットで呼ぶ--つまり、アルファー、ベーター、ガンマー……--と決まっているからだ。こういう事実を考慮してみると、温暖化の影響は暴風雨の「巨大化」だけでなく「発生件数」の増加ももたらしているように思えるのだ。

 アメリカの時事週刊誌『Time』は10月3日号でこのハリケーンの巨大化の問題を特集し、科学者のいろいろな研究結果を紹介している。その中で興味深いのは、9月16日に発行された『Science』誌で、科学者グループが1975年から2004年までに太平洋、大西洋、インド洋で発生した大型暴風雨の数と規模を比較した研究である。それによると、カテゴリー1から3までの暴風雨は若干減少した一方で、カテゴリー4~5の巨大暴風雨の発生が劇的に増加しているというのだ。同誌に掲載されていたグラフ(下図)を見ると、その傾向が一目瞭然である。

m_Hurricanes

 ちなみに、米国の分類で「カテゴリー5」というのは最大瞬間風速が69メートル以上の暴風雨を指し、「カテゴリー4」は同58メートル以上のものをいう。また、このグラフで最上段にある「西太平洋」で発生したハリケーンのほとんどは「台風」のことである。アメリカへ上陸するのは「北大西洋」で発生するものだから、2つの海域での発生数が著しく違うことが分かる。そして、このグラフを見て不思議に思うのは、日本は大型暴風雨がこれだけ頻繁に来る“通路”になっているにもかかわらず、アメリカ南部を襲った「カトリーナ」「リタ」そして「ウィルマ」のような深刻な被害がこれまで出ていないことである。昨年は10個の台風が上陸し、被害もだいぶ大きかったが、それでも「都市が一つ壊滅する」などということはなかった。また、今年は特に上陸が少ない。これが「嵐の前の静けさ」でなければいいと願うばかりである。
 
谷口 雅宣

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