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2005年10月31日

鉄で鉄を走らせる

 人間はスゴイことを考え出す--という感想をもった。無公害で水以外排出しない近未来の自動車として燃料電池車が脚光を浴びているが、エンジニアの中には、鉄などの金属粉末を燃料とするエンジンの開発に取り組んでいる人がいるという。理由は、(彼らによると)無限のリサイクルが可能だからだ。私のような素人には信じられないような話だが、鉄やアルミニウムを極細な粉末にすると、極めて化学反応しやすくなり、よく燃えるらしい。しかし、二酸化炭素も、埃も、煤も、酸化窒素も排出しないだけでなく、燃えた粉末を少量の水素に通すとまた元にもどり、何回でも燃やすことができるそうだ。そのためのエンジンの開発がすでに行われているというのだ。10月22日付の『NewScientist』誌が特集記事の中で伝えている。

 この記事によると、スペースシャトルを打ち上げるロケットや魚雷等には、アルミニウムなどの金属粉末が燃料としてすでに使われている。米テネシー州のオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)のデーブ・ビーチ博士(Dave Beach)はそのことに注目し、同僚の数人と研究した結果、鉄を直径50ナノメートル(5億分の1メートル)の粉末にすると、250℃ぐらいの温度で簡単に燃えることを確認した。そして800℃ぐらいに達して動力として使えるようになるが、溶けたり、気化したりせず、単に酸化鉄になることが分かった。そして、この粉末の大きさを調節することによって、燃えるときの温度を調節できることも分かった。さらにこの酸化鉄の粉末は、高熱時に水素を通すと鉄にもどり、副産物として水だけが出る。ということで、この金属燃料を使ったエンジンの開発に力を入れている。

 ただ、大きな問題が一つあるらしい。それは、燃料とする鉄が重いことだ。金属だから当然だ。だから、ガソリンや軽油は満タンの時は重くても、車を走らせているうちに軽くなるのに比べ、金属燃料は燃えても気化しないから、燃料が燃え尽きるまで満タンのままの鉄の重さは変らない。これは明らかに、水素を燃やす燃料電池車より不利な点だ。が、有利な点もある。それは、自動車自体が鉄製だから、自動車が世の中に存在する限り金属燃料車は鉄のスクラップを使えるから、燃料に困ることはないことになる。

 金属燃料車を支持する人の中には、水素を燃やす燃料電池車が環境に有害な影響を与えないか心配する人もいるという。なぜなら、燃料電池から出る「水」が温暖化や災害の新しい要因になるかもしれないからである。水は蒸発し、やがて雲になる。そして、雲はやがて雨となって地上に落ち、海へ向う。今、氷河や極地の氷が溶けることで海面上昇が心配されているが、将来、全世界を走る無数の燃料電池車が排出する水が、台風の大型化や海面上昇を再び引き起こさないと誰が断言できよう--というわけである。

谷口 雅宣

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コメント

谷口 雅宣 先生:

昨日、ニュースで日本が大雪に見舞われ、新潟では停電が起きたという話を見聞しました。娘の友達がスリープオーバーで我が家に来ており、夜中の2時近くまで彼女らの笑い声に眠れず、思わず叱りとばしました。その後、夢うつつのうちに、先生のブログを思い出し、雪のための停電でも、自動車のエンジン程度の大きさで、車ほどの値段で半永久的な自家発電ができるのであれば、多少重くても移動させる分けではないので、新潟のような大雪の地域には風力や太陽光発電よりこのエンジン型自家発電を備えるとよいなと考えました。早く実現すると困っている人も助かるのではないかと思います。

川上真理雄 拝

投稿: Mario | 2005年12月24日 04:23

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