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2005年10月 1日

ザリガニ料理

 2001年5月下旬、本欄の前身である『小閑雑感 Part 1』で、私はアメリカザリガニが東京の河川や臨海公園で大発生していたことに触れたが、その時、このザリガニは1930年ごろ日本に移入されたが北海道にはいないと書いた。平凡社の『世界大百科事典』にそう書いてあったからだ。ところが、今日の『朝日新聞』夕刊には、阿寒湖のザリガニがフランス料理の食材として人気を呼んでいる、と書いてあった。もともと日本にいた品種ではなく、北海道大学の教授の名前からとった「ウチダザリガニ」という種で、マス科の魚の餌としてアメリカから移植したらしい。「北海道では1930年に摩周湖に放流し、道東全域に分布している」そうだ。これがアメリカザリガニとどう違うか定かでないが、アメリカから来たザリガニであることは確かだ。「弘法」ならぬ「百科事典も筆の誤り」ということか。

 記事によると、このザリガニのおかげで在来種のニホンザリガニやタニシが姿を消し、天然記念物のマリモも被害に遭って地元では困っていたところ、誰かセンスのある人がこれに「レイクロブスター」という名前をつけて食材として売り出したところ、「美味である」ということになったというから不思議だ。今では阿寒湖畔の飲食店でスープ、天婦羅、カルパッチョ、姿ボイル焼きなどになって評判がいいばかりでなく、遠く首都圏や関西の有名レストランからも注文が舞い込んでいるという。
 
 上記した4年前に書いた文章の中で、私は生態系のバランス維持を考えてこう言っている--「人間はすべての生物の“天敵”だから、“ひとり勝ち”している外来種には効果がある。どなたかアメリカ人に倣って、東京で『ザリガニ料理』を始める人はいないだろうか? そうすれば、日本ザリガニだけでなく、カエルもゲンゴロウもヤゴも救えるかもしれない」。

 これを読んだ誰かがザリガニ料理を始めたわけではないだろうが、人間は似たようなことを考えるものである。東京でこれを味わいたい人は、新宿のオテル・ドゥ・ミクニへ行かれたい。500円の缶入りスープも販売しているそうだ。8月9日付の本欄では、アメリカ東部のメイン湾でロブスター(ウミザリガニ)の豊漁が続いていることを書いたが、日本でもザリガニ料理が受け入れられてきたことで、彼らにとっては厳しい時代が到来したのかもしれない。

谷口 雅宣

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