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2005年9月 3日

福岡から

 生長の家の講習会のため午後、福岡へ飛んだ。関東地方はこのところ、朝晩がしのぎやすくなっていたが、この地は厳しい残暑の只中だった。博多駅近くのホテルにチェックインしてまもなく、妻と二人で散歩に出た。気温は34℃だと聞いていたが、人々は暑そうな顔をしないで街を闊歩している。私もそれに負けじと、スーツの上着を脱がずに歩いた。天神までバスで行って、地下の文具店で葉書を眺めていたら、珍しく原稿用紙目の入ったのが売られていた。私は文章を書くのに原稿用紙を使わなくなって久しいが、この枡目の並んだ用紙の表面をじっと見ていると、何か文字を書きたくなってくるから不思議だ。少し迷ったすえ、思い切って2枚買った。その後、近くの書店へ足を延ばして、葉書を買ったのと似た気持で、レヴィ=ストロースの本を2冊買った。PostcardM


 4月13日付の本欄でも本との“予期せぬ出会い”のことに触れたが、今回もそれに近い。レヴィ=ストロースは「Levi-Strauss」と書くといえば、ジーンズのことを思い起こす人もいるだろうが、この場合はジーンズではなく「神話学」であり「人類学」である。1908年生れのフランス人で構造人類学の創始者であり、世界中に散らばっている神話の中に、共通する意味を読み解く人だ。彼によれば、構造主義的アプローチとは「外見上の相違のなかに不変の要素を求めるもの」である。どこかで聞いたことがある言葉ではないだろうか? 生長の家の「万教帰一」の考え方は、多くの宗教の教えや儀式の外見上の相違の奥に、共通する真理や心的態度を認めるものだ。7月6日と8月7日の本欄でも触れたジョン・ヒックの「宗教多元主義」とも共通する。読みたいと思っていた本に予期せずに遭遇できるのは、幸運以外の何ものでもない。

 ところで、アメリカ南部を襲った巨大ハリケーンのことで、同国の勅使川原淑子教化総長から第一報をいただいた。それによると、被害の大きかったアラバマ、ルイジアナ、ミシシッピの3州には信徒(聖使命会員)はいないとのこと。月刊誌の読者は2名ほどいるが、その人たちの消息は分かっていないという。現在のところ、アメリカ赤十字社を通しての募金活動が個人レベルで始まっている。

 それから、ハリケーンの規模を示す「カテゴリー1~5」と、日本の台風との関係がよく分からなかったが、『西日本新聞』の今日(9月3日)の夕刊に、その説明があった。それによると現在、沖縄県に接近中の台風14号を気象庁は「大型で非常に強い」と表現しているが、これが「カテゴリー5」に相当するらしい。「カトリーナ」は上陸直前、中心気圧902ヘクトパスカル、最大風速約75メートル、最大瞬間風速約90メートルで、風速25メートル以上の暴風域は半径約220キロだった。それと比べると、台風14号は3日午前9時現在、中心気圧935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速45メートル、暴風域は280キロという。風速がカトリーナよりやや劣るが、これが次第に強くなる可能性もあるという。また、米軍のデーター解析によると、台風14号の最大風速は「66メートル」になるそうだ。これは、アメリカでは「1分平均」の値を計算するのに対し、日本では「10分平均」で計算して「最大風速」とする違いによるらしい。

 ということで、アメリカ南部に続いて、我々東アジアの人間も同様の経験をすることになるかもしれない。九州、沖縄地方の皆さん、台湾の皆さんは、充分に警戒してください。

谷口 雅宣

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