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2005年9月28日

ブッシュ氏、節約を説く

 高止まりしている石油の値段のおかげで、世界の自動車各社はハイブリッド技術への参入を次々と表明しているが、2つのハリケーンの被害をまともに受けたアメリカでは、ブッシュ大統領がついに「ガソリンの節約」を公の場で訴えた。これは大いに称賛されるべきことだ、と私は思う。アメリカのメディアもそれを取り上げ、大統領は“心変わり”したと言わんばかりだ。なぜなら、ガソリンに限らず、何でも「消費」の増大は経済を拡大させるとの考えからブッシュ氏は京都議定書から脱退したし、何よりも地元のテキサス州にとっては石油産業は重要だからだ。

 9月28日付の『ヘラルド朝日』紙によると、ブッシュ政権の経済政策は、長らく環境保全や節約よりも新規の生産を重視してきたことは有名で、2001年には、チェイニー副大統領が節約は「個人的な美徳」だとして政策から切り離し、大統領報道官だったフレッシャー氏は、エネルギーの消費量を減らすべきかとの記者の質問に対して、「それには大いに反対!」と答えた。そして、「大統領は、それ(エネルギーの大量消費)はアメリカの生き方だと信じている。政策決定者の目標は、そういうアメリカ人の生き方を保護することだ」とまで語っていた。

 その大統領が今回、ハリケーンの被害が深刻であることを強調した後、「必要でない旅をしなければ、皆助かる」とガソリンの消費を節約することを訴えた。それだけでなく、大統領は連邦政府の機関に対してエネルギーの消費を減らし、職員はできるだけ公共交通機関を利用することを求める大統領令にも署名した。ただし、ブッシュ氏の今回の発言が彼の「政策転換」を意味しているかどうかは、定かでない。というのは、自動車各社に対する「燃費の基準」を引き上げることはまだしてないし、節約を訴えても、それを具体的に進める方策については何も言及していないからだ。今のところ“精神論”を説くことで、燃料の需要が高まる冬場を乗り切るつもりなのかもしれない。

 公共交通機関が発達した日本に比べると、アメリカでは車がなければどこへも行けないほど、交通を自動車に依存している。だから、ガソリン税も日本ほど高くないのだが、今回のハリケーンの襲来で、結果的にはガソリン税を値上げしたのと似たような結果になっている。これを機会に、アメリカ社会が「節約」や「エネルギー効率」を重視する方向へ転換してくれればいい……などと思うのは過分の期待だろうか。

谷口 雅宣

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