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2005年9月25日

原油高は一時的?

 本欄ではこれまで何回か、化石燃料に代わる自動車用燃料の開発と利用について書いたことがある(5月6日、26日、7月19日)。それは「次世代自動車用燃料」とも呼ばれているもので、GTL、DME、バイオディーゼル、バイオエタノールなどの名前が挙がっている。このうち「バイオエタノール」は、ブラジルではすでに30年も前からサトウキビを原料としたものを自動車用燃料として使ってきたことにも触れた。これを日本に輸入してガソリンと混合して使う計画が動き出していて、2008年からこの混合燃料が日本で販売されるとの情報も紹介した。ただし、当初の混合比率は「7%」とのことである。--こういう動きを一早く掴んで、国内でバイオディーゼルを生産する計画が進んでいるようだ。

 今日は生長の家講習会のため函館市に来ているが、9月25日付の『北海道新聞』によると、社団法人「北海道総合研究調査会」は、留萌管内の遠別町と空知管内の栗沢町の2戸の農家の協力をえて、それぞれ1ヘクタールの畑に燃料用のナタネを撒いたという。ナタネ油からバイオディーゼルを採るためである。また、ナタネの花は景観上も美しいことが、もう一つの理由らしい。同会の予定では、収穫は来年7月末で、約2000リットルの燃料が生成できる見通し。この記事によると、現在旭川などでは、古くなった食用油を回収してディーゼル燃料に再生する取り組みが行われているが、その場合のコストよりも、ナタネ油からの製造コストの方が少し高くなりそうだという。同会では今後、肥料代や人件費などのコストを下げる努力をするとしている。
 
 ところで、昨日(9月24日)の『日本経済新聞』に現在の原油高が“石油危機”ではないかどうかについて、2頁にわたって特集記事が掲載されている。『日経』の結論を先に言えば、「日本経済は原油を効率よく使う体質変換が進んでいるため、1バレル70ドル程度の価格なら実質経済成長は確保できる」というもの。同紙の記事に引用されている専門家の見解は、総じて楽観的だ。「足元の原油供給は足りている」(ジャパン・エナジー)。ハリケーンの被害を受けたアメリカの精製施設の復興に多少時間がかかるが、「その後は売り圧力が高まるシナリオも考えられる」(住友商事)。かつての石油危機が“供給不足型”だったのに比べ、現在の原油高は“需要牽引型”だから、「原油高と世界景気の拡大は共存できる」(JPモルガン証券)などだ。しかし、第二次石油危機当時の原油の値段を現在の物価水準に換算すると「1バレル80ドル強」になるから、そのレベルに近づくと「油断できない」情勢になるという。

 “明るい材料”をさらに付け加えれば、OPECが20日の総会で石油増産を見送ったように、現在の問題は原油の供給不足ではないとの認識が大勢を占めていること。また、アメリカのエネルギー省が21日に発表したガソリン需要(4週間平均)では、前年同期に比べて3%減となったことがある。つまり、今回の原油高の原因は「アメリカの国内問題」だとの認識が根強くあるように思う。しかし、これらすべての分析は、恐らく「石油生産のピークはまだ来ない」との前提に基づいている。この前提が崩れたときの衝撃が、21世紀の最初の(そして多分最後の)「石油ショック」となるに違いない。

谷口 雅宣

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