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2005年9月20日

テレビがなおった!

 わが家の居間にあるテレビがなおった。メーカー系の出張修理会社から技術者が一人来て、1時間もかからない作業で、3点の小さい部品を交換して終りだった。何かあっけなくて、妻と顔を見合わせた。というのは、ここ4~5ヵ月もの間、我々はこのテレビを廃棄して、新型を買わないといけないかもしれないと思案に暮れていたからだ。何を大げさな、と思うかもしれないが、最近のテレビ放送は「ハイビジョン放送」とか「衛星デジタル」とか「地上波デジタル」とか難解なものが次々と出て、そういう高画質、高音質の放送の価値が分からないまま、受像機の方も「プラズマ」とか「大画面液晶」とか「投影式」とか、違いや長所短所がよく分からないものがズラリと提供されている。何をどう選べば、どれとどう違い、どんな用途に合うのかなど、研究しているだけで時間がどんどんたっていく。この“豊かさ”ゆえの選択の煩雑さは、できたら避けて通りたかったのだ。

 しかし、それが不可避かもしれないと思わせることが4~5ヵ月前に起った。テレビの放送中に「映像が突然つぶれる」という現象が、時々起こるようになったのだ。何の前触れもなく映像が縦につぶれて、スマートな女優さんもデブデブになる。最初は、映像が普通の三分の一ぐらいのサイズに縦につぶれていたが、そのうちに四分の一につぶれるようになった。こうなると、何が映っているのか見ても分からない。そんな異常な状態が電源を入れている間ずっと続くなら、早く諦めがつく。が、皮肉なことに、時々正常の大きさにもどるのである。そして10分ほどたつと、またつぶれる。こんなことを繰り返しているうちに何ヶ月もたってしまった。

 問題のテレビは、日本ビクターのAV-33BS2という機種で1990年製だから、もう15年使っていることになる。33インチの大画面型をバブル期に買ったのだ。9月18日に米子市で行われた生長の家講習会で、私はこのテレビのことを少し話した。「我々の日常生活の中での選択が、地球環境の将来を決定する」ことの例に出したのだ。古い電気製品を新しい省エネ型のものに買い換えることが、必ずしも地球温暖化の防止に役立たないので、私も悩んでいると言った。廃棄物処理やリサイクルをするにも、二酸化炭素や熱は排出されるからだ。しかし、テレビは私の重要な情報源の一つだから、見ないわけにはいかない。画面に何が映っているか分からないような状態になれば、買い換えるしかない。もうその時期が来ているのだと半ば諦めていた。

 それなのに、ビクターの技術者が背面を開いて部品を取り替えただけで、すぐなおった。当たり前といえば当たり前なのだが、これまでウジウジと悩みながら、早期に“プロ”の診断を受けなかった自分の愚かさを思い知った。「ビクターさん、ありがとう!」と言いたい。これで当分は、難解なデジタル放送や新型薄型テレビの誘惑を感じないですむ。ちなみに、交換した3つの部品の値段は合計で1200円。しかし、これに技術料8200円と出張費1800円の計1万円を加えて、請求書の総額は税込み1万1760円だった。「もったいない」の実践と言えるかどうか自信はないが、日中の電力使用量のいくらかは太陽光発電で賄っているから、多少電力を食う旧型テレビの使用でも大目に見てもらいたい。

谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生

実は私も7月にテレビを修理しました。15年ほど前に夫が近所のリサイクルショップで買ったソニーの45インチ型です。ある日突然横縞がはげしく入って乱視になりそうだったので、買い換えようかどうしようか迷いました。ソニーのカスタマーサービスに問い合わせたところ、修理はまだ可能とのことで、さっそく技術者を手配してくれました。技術者の方はとても良心的で、すぐに修理は終わりました。交通費、材料費こみで1万円でした。あとどのくらいもつかどうかは保障できませんよと言われましたが、物を大切にしていた夫も満足してくれたかなと思うと、良いことをしたような気分でした。技術者の話では、最近はデジタル化の流れでブラウン管テレビはもう製造中止になって、修理してまで使う人は少ないため、技術者もリストラが激しいそうです。地味な仕事だけれど、こういう人達にもっとがんばって欲しいという願いを込めて、帰り際に「光の泉」を渡しました。

投稿: メイ 利子 | 2005年9月21日 10:05

メイさん、

 へぇー、15年前、大型テレビ……偶然の一致ですかね? 思い出のある品は、そう簡単に捨てられませんね。いい話、ありがとうございます。

投稿: 谷口 | 2005年9月21日 16:41

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