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2005年9月15日

石油高騰の“効果”は? (2)

 9月7日付の本欄で石油の値段が高いことの「よい効果」について書いたが、それを裏づけるようなニュースが報道されている。その一つが、自動車各社によるハイブリッド技術の採用である。15日付の『産経』と『朝日』によると、ホンダが22日に、米欧に続いて日本でも「シビック」のハイブリッド版を発表するらしい。BMWは今月7日、GMとダイムラー・クライスラーが共同開発するハイブリッド車との提携に加わり、ポルシェはVWと組んでSUV車「カイエン」のハイブリッド版の開発を行い、2010年までの発売を目指すという。一方、すでにVWと提携しているアウディは「Q7ハイブリッド」をこのほど公開し、2008年中に発売することを発表した。フォードはすでにトヨタの技術を導入して、昨秋から米国でSUVのハイブリッド車を発売しており、同じくトヨタの技術を使っている日産も来年、新たに「アルティマ」のハイブリッド版を米国で発売するらしい。

 ハイブリッド車の販売は日本よりは北米を中心に好調で、今年の1~8月の実績は全世界で約20万台という。うち8割近くがトヨタ車で、それをホンダが追う形になっている。私が不満に思うのは、トヨタもホンダも最大の市場である北米を優先している点で、日本では買える車種も少なく、注文してから入庫まで何ヶ月も待たねばならない。また、販売台数もさほど多くない。トヨタの販売目標は2010年度に年間100万台で、ホンダは2007年以降、年間7万台だ。BMWのヘルムート・パンゲ社長は、ハイブリッド車のシェアは10年後も「最大で3%」としか見ていない。これは当分、燃費のいいディーゼル車でいけるとの判断によるものらしい。

 ところで、日本でのガソリンの販売価格が1リットル130円台に達したことで、消費者の約半分は生活防衛のために自動車に乗る機会を減らしているらしい。今日付の『産経』が、石油連盟のアンケート調査の結果をそう伝えた。7月末から8月末までの間、インターネットを通じて約2万8000人の消費者から得た回答をまとめたもの。ガソリンの消費を「節約している」と答えた人は48.2%で、「節約したいができない」と答えたのは39%、残りの12.8%は「節約していない」という。節約している人のうち「近くへの利用を控える」人が44.9%、「レジャーに行く回数を減らす」人は26.2%、「公共交通機関を利用する」人は11.1%だという。わが家の場合は、1リットル120円台に入ったころから、上記3つの方法を組み合わせている。しかし、これは“節約”のためだけでなく、健康のために「歩く」ことを心がけるようになったからでもある。そういう意味では、石油の値上がりは都会の人々の健康増進の効果があるのかもしれない。

 もう一つの“効果”は、原料高騰のためにレジ袋が“有料化”を余儀なくされそうな情勢になってきたことだ。今日付の『朝日』は「レジ袋メーカー苦境」という見出しで6段組みの記事を掲載しているが、メーカーの立場では確かに“苦境”と言えるかもしれないが、地球環境の立場から考えれば、これまでのような無料のレジ袋が「有害」なことは明確だ。国内で消費されるレジ袋は年間300億~500億枚と言われていて、これを廃棄物として処理するためのコストと環境への影響は大きい。それが消費者のレベルで有料化されれば、無駄遣いや廃棄量が減ることは明らかだ。しかし問題なのは、レジ袋メーカーには中小企業が多く、納入先のスーパーなど大企業に対し、価格転嫁がしにくい点だろう。しかし、ちょうど環境省が有料化を考えているのだから、スーパー業界は「レジ袋は原則有料」という合意をし、地球環境保全に取り組んでもらいたいと思う。

 「環境へのコストは消費者が支払う」--そういう社会的合意が、これからの時代には必要と思う。そうしなければ、我々はもっと高いコストを台風や気候変動の形で支払うことになるのだから。
 
谷口 雅宣

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