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2005年8月18日

日本の水資源

 8月4日の本欄で「ペットボトルの水」のことを書き、それが地球温暖化に貢献するだけでなく、主たる消費者である先進国の人間によって世界の水の値段が吊り上がっているとの批判を紹介した。が、その際、「日本には水が豊富にあるから渇水問題は当分深刻化しまい」などと考えていた。ところがその後の猛暑で、東海以西に雨が少なくなり、給水制限をする県も一部では出てきた。今日は、恒例の大祭のために京都府宇治市へ来ているが、車中から見た宇治川の水位は例年より低かった。そんなところに、新幹線内で『ウェッジ』8月号に掲載された「日本の水神話は崩壊寸前」という記事を読んだ。そこには、「一人当たりの量では、日本の水資源は決して豊富ではない」と書いてあった。

「水資源量」という概念がある。それは、国土に降った雨や、外国から流れ込んできた河川の水量の合計から、蒸発する量と下流の外国へ行ってしまう分を差し引いた量だ。日本の場合は、降水量 -(河川から海への流出量+蒸発量)ということだろう。この量を人口で割ると、国民一人当たりが利用可能の水量となる。国土交通省によると、日本のこの量は年間3,337立方メートルで、世界で「91位」という。(9位ではない!) この量はトルコより少なく、イラクよりわずかに多い程度だという。同じ計算式を関東地方に当てはめると、一人当たりの水資源量は905立方メートルとなり、“砂漠の国”と思われているモロッコやエジプトとほぼ同じ水準なのだという。

 この話を妻にしたら「信じられない」という顔をした。
妻「でも、日本はトルコやイラクより緑の森がずっと豊かにあるのに……」
私「あの計算式には既存の地下水は含まれてないからね。その地下水のおかげで森林があるんじゃないの」
妻「“91位”が悪いってわけじゃないでしょ?」
私「日本に特別豊富に水があるわけじゃないってことだと思うけど」
妻「水の質の問題は?」

 この水資源の問題は、なかなか分かりにくい。なぜなら、地球は“水の惑星”で水自体は豊富にあるからだ。上の計算式には「地下水」が含まれていないだけでなく、国外からの輸入量も含まれていない。因みに、この記事にあるミネラルウォーターの使用量は、国産と輸入を合わせた量が1986年に8万2179キロリットルだったのが、2003年には146万4077キロリットルにまでなっている。17年で18倍だ。これに比べて国内の年間使用量は、1975年の850億立方メートルから、2001年の859億立方メートルへと微増しているにすぎない。このうち増加しているのが生活用水の利用で、1975年の88億立方メートルから2001年には143億立方メートルまで増えた。農業用水や工業用水への利用は、逆に減少している。つまり、我々が一般家庭で使う水とペットボトルの飲料水の使用量が、どんどん増えていることになる。

 日本の水資源は“特別に豊富”という考えはそろそろ改めて、水道水が飲める有りがたさに感謝しつつ、水を大切に使わなければならないと思う。

谷口 雅宣

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コメント

 初めまして。日本における一人当たりの利用可能な水資源の量が砂漠の国々と比べても少ない事は20年くらい前から言われていた様に思います。日本の国土に降る雨の量は多くとも、人口が多いために一人当たりの水資源は少ない様ですね。私の住む地方も7月下旬から給水制限が行われています。昨日今日とまとまった雨が降りましたので、どうにか水不足は解消されるのではないかと思いますが、一滴の水も無駄にしてはならないのだと感じました。

投稿: アッテンボロー | 2005年8月19日 01:38

はじめまして。
日本の水資源は、完全に輸入超過だという話があります。
農産物を輸入したとき、その作物を育てるのに使われた現地の水は、実際には「作物の消費国が必要とする水」だという考えで勘定するのです。
自分で計算したことはないのですが、たとえば下記のページなどは参考になると思います。(2002年の記事です)
http://eco.goo.ne.jp/business/csr/ecologue/wave16.html

投稿: 松永 | 2005年8月19日 20:28

谷口 雅宣先生
人間の行為によって、水の自然の営みをややカットしている部分があると思います。
それは、雨によってもたらされた水が、アスファルトコンクリート等がなければ地中に浸透して行くのですが、それがあるために、地中に浸透して行けない水があるということです。
但し、今日では、透水性舗装等がありますので、それが施工されている箇所は、水を通しております。が、その面積はあまり多くないと思われます。
人間が生活して行く上では、建物も道路も飛行場等…、も必要ですが、それによって自然の営みにブレーキをかけている部分も確実にあるのではないか?と思いまして、書き込みを行った次第であります。
志村 宗春拝

投稿: 志村 宗春 | 2005年8月21日 00:23

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