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2005年8月20日

信仰と進化論 (2)

 8月16日の本欄で、新ダーウィン派進化論に関してカトリック教会の内部で不協和音が生じているらしいことを書いたが、2つの科学誌がこのことを取り上げている。一つはアメリカの科学誌『Science』(8月12日号)で、もう一つはイギリスの『NewScientist』誌(8月13日号)だ。カトリック教会は、新法王ベネディクト14世になって、前任者の柔軟路線から方針転換するかどうかが注目されているが、進化論をどう考えるかが、教会と科学との関係を探る一種の“踏み絵”となると考えて、科学者たちは神経を尖らせているのだろう。つまり、進化論を受け入れれば、科学との関係は「方針転換なし」というわけだ。

『Science』は、7月7日付の『ニューヨーク・タイムズ』(日本では7月8日付『ヘラルド朝日』紙)に載ったウイーン大司教の論文が、アメリカの多くの科学者を心配させたと書いた後、8月の初めにバチカンの宇宙科学者、ジョージ・コイン氏(George Coyne)がイギリスのカトリック信者向け出版物で、大司教の論文が「すでに暗い影を落としている進化論論争をさらに暗くしている」と批判したことを取り上げている。またその記事には、ウィーン大司教の論文が出てまもなくの7月13日付で、アメリカのカトリック信者で進化論を擁護する3人の科学者が、新法王宛に手紙を出して、前法王の立場を再確認してほしいと要望したことが書いてあった。その中の一人が、私が先に触れたブラウン大学のケン・ミラー教授だ。これに対し、法王の科学面での助言者である生物学者、ピーター・レイヴン(Peter Raven)氏は、ウィーン大司教の論文は法王自身が認めたという証拠がないのに、科学者たちは“過剰反応”していると述べている。

『NewScientist』の記事は、もっと警戒的だ。同誌は、コイン氏のウィーン大司教批判論文の内容を紹介した後、コイン氏の批判に先立つ8月1日、ブッシュ大統領が「学校は知性ある設計の考え方を教えるべきだ」と発言したことを書き、さらに「教育とは、人々をいろいろな考え方に触れさせることを含んでいると思う」とのブッシュ氏の言葉も伝えている。まるで、ウィーン大司教とブッシュ大統領が“同一陣営”に所属しているとでも言いいたそうな書き方だ。

 ところで、前法王のヨハネ・パウロ2世が「進化論を認めた」とする1996年の文書を私は英語で読んでみたが、実に難解な文章でかつ、進化論については明確な肯定も否定も含まれていないので困ってしまった。どなたか、日本語の公式文書がある場所(URL)を教えていただけないだろうか?

谷口 雅宣

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