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2005年6月13日

杏 と 李

昨日、梅の実が色づいた話を書きながら気になっていたのは、アンズの実のことである。アンズの木は我が家にはないが、仕事場の近くの東郷神社の境内に、高さ6メートルほどの立派な木が立っている。去年の今ごろ、ジョギング後のストレッチをしに境内へ行ったとき、拝殿前の楠の下で、近所の子供たちが黄色い実を集めて遊んでいるのを見つけ、親樹を探したのである。親樹は、拝殿に向かって右側の道路脇にあった。その時は雨のあとだったせいか、20~30個も落ちていた。上方を見れば、どれが親樹かすぐ分かった。ストレッチを終って拝殿前へもどると、もう子供たちの姿は見えず、黄色いアンズの実だけが岩の割れ目に並んでいた。

杏子の実集めし岩や子ら思う

実はこの句は最初、「スモモの実……」と書いてあった。私が混同していたのだ。それを自分のウェッブサイトにも掲示してしまった。スモモは「李」でアンズは「杏」だ。字が似ているだけでなく、互いにバラ科で同じころに咲き、同じころに実をつける。しかし、実の色が違う。アンズは黄色だが、スモモは赤だ。岩の割れ目に並んでいたのだから、黄色いアンズでなければならなかった。

スモモの方がアンズより大型で、味もいいことになっている。「プラム(plum)」はスモモのことだが、私は最近まで、あの黒紫色のドライフルーツのプラムと、赤くジューシーなスモモが同じ果物であることを知らなかった。ついでに言えば、健康食品として知られる「プルーン」もスモモの西洋種だ。こう書くと、スモモの方がアンズより良さそうに聞こえるかもしれないが、アンズはジャムにすると香りが引き立ち、スモモよりおいしい。(私の独断!)また、アンズの種からは漢方薬が作れるだけでなく、杏仁豆腐の原料ともなる。

アンズは梅と関係が近く、交雑が可能という。だから昨日の梅の話で、アンズが呼び出されてきたのかもしれない。梅の実が色づけば、アンズも熟れ時に違いないと思った。

梅雨入りが嘘のように青空が広がった今日の午後、ジョギングの帰りに東郷神社へ寄った。案の定、アンズの実はいくつか落ちていた。が、去年と比べると数が大分少なく、色もまだ薄い。と、近くで箒を持って掃除している人がいる。付近には、濃い紫色の桜の実が一面に落ちていて、果汁がアスファルトの道路を点々と染めている。掃除したい気持は分かるが、緑の木陰に黄色の実が落ちている風情はまた格別なのだ。

杏落つ庭を掃く人しばし待て

谷口 雅宣

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