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2005年6月19日

政治家と顔

6月11日の本欄で、人間の脳内にある“顔細胞”の話をして、我々の視覚がいかに“顔”のような形に敏感であるかを書いた。そこから考えると、「美容院」や「化粧品」「眼鏡」「顔写真」「隈取」「お面」など、顔と関わりが深いものが人間にとって重要であることが分かる。先に挙げたものに、結構我々は高額なお金を支払うことを厭わないのである。「人を外見から判断するな」とよく言われるが、そのこと自体、我々が人を外見--その重要な要素としての顔--で判断する傾向があることを暗示している。また「男は顔じゃない」と言う人もいるが、私の妻などは「男は顔よ!」とよく言って私を苦笑させる。(「女は顔」なんでしょうか?)

「政治家は顔か?」という命題はどうか。小泉首相、石原親子、橋本知事、JFK、レーガン大統領、ウクライナのユーシェンコ大統領……などの例もあるが、逆に大平正芳首相、岡田(民主党)代表、シュワルツェネッガー知事などのことを考えると、「顔じゃないな」とも思う。しかし、「顔がいい」ことが選挙に有利であることは誰も否定しないだろう。それを学問的に検証した結果が、このほどアメリカの科学誌『Science』(6月10日号)に発表された。プリンストン大学の心理学者、アレクサンダー・トドロフ博士らの研究によると、人は選挙の時、候補者の顔を見て能力・力量を判断し、それを基準にして投票するのだそうだ。「所属政党や候補者の政策、さらに人格も考慮に入れて理性的に投票する」と考えられていたのとは、かなり違う結果だ。

この研究では、2000年、2002年、2004年に行われたアメリカの上下両院の選挙候補者2人の写真をペアにして被験者に見せ、どちらが「有能な政治家か」の判断をさせたという。このとき、被験者が写真の政治家のいずれかを知っている場合には、知らない政治家のみのペアに変えてやったという。だから、実験では「顔写真」だけから政治家の有能さを判断させたことになる。こうして多数の被験者から回答を得た結果と、実際に行われた選挙での投票結果を比べてみると、アメリカ上院の選挙では2000年の結果の73.3%、2002年の72.7%、2004年の68.8%が、「顔だけの判断」で説明できる結果になったという。下院の選挙との比較は、2002年が66.0%、2004年が67.7%だった。

ここで興味が湧いてくるのは、実験で使われた「ペア」の内容だ。それは“大人っぽい”(mature-faced)顔と“子供っぽい”(babyfaced)顔だという。そして、“子供っぽい顔”の特徴は、丸顔、大きい目、小さい鼻、広い額、小さいアゴなのだそうだ。読者は、鏡の前で自分の顔を眺めてみてはどうだろう? 特に政治家と、将来政治家を目指している人は!

谷口 雅宣

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