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2005年6月16日

“燃える中国”は電力不足

小泉首相が推進する“クールビズ”は、軌道に乗るだろうか? 夏場のエアコン使用による電力需要を減らし、温室効果ガスの排出削減を狙うものだから、その努力は誉められるべきだろう。私もエアコンの使用を減らすことは大賛成で、すでに数年前から実施している。実際、昨夏は仕事場のエアコンは2~3日しか使わなかったと思う。日本では数年前、原発をめぐる相次ぐ不祥事の影響で、夏場に原発の運転が停まって電力不足になったことがある。しかし、そういう異常事態がなければ、夏場の需要を満たすだけの電力供給に不安はない。ところが経済が真っ赤に燃える中国では昨夏、通常の電力需要が底上げしてきたため、工業都市・上海を初め広範囲(27省中24省)で、エアコンの使用が引き金となって停電が起こった。つまり、経済発展の勢いに電力供給能力が追いつけなくなっている。今年も、その“恐怖の夏場”が近づいてきた。

6月16日付の『ヘラルド朝日』紙によると、上海市はこのほど、市内の工場主たちに夏場の操業の短縮を要望し、電力料金の値上げも視野に入れているという。夏場の需要に対し、約200万キロワットの不足が予測されているからだ。2週間前の6月1日、北京市も同様の要望を出したという。それは、7~8月の間、場合によっては市内の工場に対して交替で1週間の操業停止を要請するかもしれないというのだ。なぜなら、1350万人を抱える市内の夏場の電力需要は、昨年に比べて13%増加し、1070万キロワットに達すると予測されるからだ。中国全体での電力不足は、昨年は3万メガワットだったが、その後の発電能力の拡大(約15%)によって不足は軽減したとはいえ、今年の不足量は2万5000メガワットほどになるという。そして、日本にとって重要なことの一つは、中国の電力の多くは、あまり効率のよくない火力発電所で石炭を燃やして作られていることだ。つまり中国大陸では、昨年以上に煤煙や温室効果ガスが排出され、酸性雨が(日本にも)降るということになる。

こういう話を聞くと、素朴な疑問が湧いてくる。中国は社会主義とは言いながら、多くの資本主義・自由主義的制度を採用してきた。では、電力料金はどうなっているのか? これが需要と供給の関係で決まるならば、中国の電力料金は上昇し、それを使って生産される製品の値段も上がるだろう。そうすれば国際市場での中国製品の競争力は弱まる。そういう結果を避けたいために、中国政府は電力料金を統制しているのか? しかし、操業短縮を実施すれば製品の供給量を減らすことになるから、やはり製品の値段が上がることになるだろう。では、ダムや原発を増設して電力供給能力を飛躍的に増やしたらどうか? ここにも環境への影響の問題がある。だから、「中国産品は安価だから」という単純な動機で我々が消費活動を続けることは、もう考え直すべき時期に来ているのだ。

今夏、エアコンを使うとき、また中国産品を買うとき、我々日本人もそういう“複眼的”思考をしてみてはどうだろう?

谷口 雅宣

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コメント

谷口雅宣先生

いつも先生のブログを楽しみに拝読しています。先日、実家の義姉が「ナント900円で子供の夏布団を買ったのよ」と喜んでいました。地方では大型ショッピングセンターが人気で、多くの人は、週末には「安く沢山」買えるそうした大型店へ家族とショッピングに出かけます。その「900円」の夏布団が中国産品かどうかは分かりませんが、喜んでいる義姉の顔を思い浮かべつつ複雑な心境でした。日常の私達の選択には"複眼的"思考が大切だと思いました。もちろん私自身、まだまだ実践出来ていいことは沢山ありますが、努力したいと思います。

日本の二酸化炭素削減6%を目指す国民的プロジェクトとして、「チーム・マイナス6%」という取り組みを見つけました。ご参考までに下記にアドレスご紹介します。
http://www.team-6.jp/index.html?page=0

メイ 利子 拝

投稿: メイ 利子 | 2005年6月17日 15:18

メイさん、

 コメントありがとう。

 ホントに、買い物というのは難しいですね。
先日、知り合いの人が100円ショップで時計を
買ってきてくれました。「時計」ですよ! 結構、使えるのです……。

 だから、“複眼的”思考はお金がかかるのです。(笑)

投稿: 谷口 | 2005年6月17日 21:47

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